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AIによる顔面骨骨折の画像診断補助システム

情報更新日 2024年6月12日

シーズ情報

キーワード

CT画像 データベース 診断補助システム

分野

形成外科 データベース AI

概要

顔面骨骨折の診断にはX線CT撮影は必須であるが、慣れていない医師にとってはその読影は簡単なものではない。顔面骨骨折は受傷後2-3週で骨癒合が進むため、それ以降の時期に骨折が指摘された場合、骨折の整復は極度に難しくなる。そのため比較的早い時点で専門医に手術の適否をコンサルトすることが重要である。
顔面骨骨折の画像診断補助システムの構築を目指し、診断のために撮影される頭部・顔面のCT画像を集積し、顔面骨骨折の診断のための人工知能システムを開発している。
顔面骨骨折の多くは片側に起こり、反対側の健側は正常状態を留める。健側データを集積してゆくことで現在日本在住者の頭蓋顔面骨の状態を3次元データとして構築する。

何が新しいか?

現在、日本人の頭蓋、顔面骨の形状3次元データは特定個人あるいは小さな規模で集積されたものしか存在しない。コーカソイドとモンゴロイドの頭蓋顔面骨格では様々な差異が認められており、日本での診療のためには、日本で得られたデータに基づいて学習させたシステムが必要である。

他の研究に対する優位性は何か?

前向き研究により、日本在住者の頭蓋顔面骨の3次元データベースの構築も含めた同意を取得して、10施設共同で顔面骨骨折の診断のために撮影された画像データを集積している。
UMIN試験ID:UMIN000039624 「顔面骨骨折の画像診断への人工知能の応用」

どのような課題の解決に役立つか?

人工知能システムによる顔面骨骨折の診断補助システムが構築されれば、顔面骨骨折の診断精度が向上し、専門医でなくても見落としが少なくなる可能性がある。また、遠隔地からの自動診断補助が可能となり、ひいては受傷者のQOL向上、社会復帰促進が期待される。

他への応用・展開の可能性

顔面骨骨折では片側の骨折であることが多く、その場合対側は健常な状態をとどめている。健常部分を集積することで、現在の日本人はどういう顔面骨格をしているのかを探る。
過去にない規模でのデータ集積により、現代日本人の標準的骨格モデルを構築できると後世の日本人の骨格が、食餌や環境の影響により変化するのかなどのベースとすることができる。また過去に埋葬されたヒトとの比較や、他人種との比較など文化人類学的な検討が可能となる。
また有限要素法モデルなどコンピューターシミュレーションを行う際に日本人のデータで行うことができるようになるとともに、眼鏡や各種ウエアラブルデバイス、ヘルメットや帽子などのデザインなどへの適用など産業上も有用である。

関連する特許

参考図表

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研究者情報

氏名 西本 聡
所属 医学部 形成外科学
専門分野 形成外科 頭蓋顔面外科
学内共同研究者 石瀬 久子、藤原 敏宏、河合 建一郎、垣淵 正男、中島 考陽
関連リンク 講座紹介HP

企業との協業に何を期待するか?

・現代日本人の標準的骨格モデルの構築への協力
・顔面骨骨折の画像診断補助システムの精度の向上

本研究の問い合わせ先

兵庫医科大学 大学事務部 研究推進課
E-mail: chizai@hyo-med.ac.jp
Tel: 0798-45-6488

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