3-ハロアラインを生成するための合成中間体及びその反応を利用した芳香族化合物ライブラリ
情報更新日 2023年7月31日
シーズ情報
キーワード
アライン、ベンザイン、ハロゲン、芳香環、多環性複素環
分野
化学、薬学
概要
アライン(1,2-ベンザインまたはo-ベンザイン、単にベンザインとも言う)は、芳香環上に三重結合を有する反応性の高い化学種の総称である。アライン(C)は反応性に富むため、従来法では困難な多環性複素環類等の生物活性物質や機能性分子の合成など多方面で利用されている。
従来のアライン生成の前駆体(1)を合成するための従来の方法では、ハロゲン-リチウム交換反応を経由するため、目的の位置にハロゲンを選択的に導入し、あるいは除去するという多数の工程の実験操作が必要となっていた。また、ハロゲン置換された炭素六員環芳香族化合物は、ハロゲン原子隣接位へのアニオンの生成に伴い、ハロゲン原子が脱離してアラインを生成することが知られていた。こうした背景から、ハロゲン置換された炭素六員環アライン前駆体化合物の系統的合成はほとんど行われていなかった。
また、アラインを経由する各種芳香族化合物の合成においては、置換基を有する非対称なアラインを基質として用いた場合、2つの位置異性体が生成する可能性があるため、より反応位置選択性の高い方法が求められていた。この反応位置制御の目的で、ハロゲン置換されたアラインは有効であるが、従来の方法では、前駆体合成に困難を伴うものであった。
今回のアライン前駆体(2)は、より簡便に合成可能で、かつ、その生成効率も従来の前駆体(1)より高いものである。本研究により、3-ハロアライン(C)を生成する前駆体化合物が提供され、併せて、その反応を利用した芳香族化合物ライブラリを提供する。
何が新しいか?
- より少ない工程数で、簡便に、様々なハロゲン置換されたアライン前駆体を合成することに成功した
- アラインの反応の位置選択性向上と反応性の向上を実現した
他の研究に対する優位性は何か?
- 従来のアラインの生成法と比較して製造コストを低減できる
- 従来のアライン前駆体からでは誘導できない化合物を合成することができる
どのような課題の解決に役立つか?
生物活性物質、医薬品、医薬品中間体や、電子デバイス材料(絶縁膜)などの機能性分子の合成などの合成効率向上
他への応用・展開の可能性
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関連する特許
3-ハロアラインを生成するための合成中間体及びその合成方法(特許第6461914号(2019年1月11日登録))
関連する論文等
- (前駆体合成として)Aryne Precursors for Selective Generation of 3‑Haloarynes: Preparation and Application to Synthetic Reactions. J. Org. Chem. 2020, 85, 13544−13556.
- (反応応用例として)Straightforward Synthesis of Dihydrobenzofurans and Benzofurans from Arynes. Org, Lett., 2013, 15 (15), 3938-3941.
- (反応応用例として)A Multicomponent Coupling Reaction Induced by Insertion of Arynes into the C=O Bond of Formamide. Angew. Chem. Int. Ed., 2011, 50 (29), 6638-6642.
研究者情報
氏名 | 吉岡 英斗 |
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所属 | 薬学部 基礎科学 |
専門分野 | 化学、薬学 |
学内共同研究者 | 宮部 豪人 |
関連リンク | ― |
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兵庫医科大学 大学事務部 研究推進課
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Tel: 0798-45-6488