臍帯血・末梢血由来Angiogenesis-inducing cells (AiC) を用いた新規血管再生療法の開発
情報更新日 2023年7月31日
シーズ情報
キーワード
血管再生、臍帯血、末梢血
分野
細胞治療、再生医療
概要
虚血性疾患を対象とした血管新生療法の細胞ソースとして血球系細胞が挙げられる。用いられる血球系細胞は骨髄液、臍帯血または末梢血の赤血球除去分画または単核球分画由来であり、具体的には、単核球分画から単離されるCD34陽性細胞や血管内皮前駆細胞(EPC)、あるいは単核球分画そのものを用いた検討がなされてきた。一方で、これら血球系細胞による血管新生効果はいまだ十分なものでない。我々はこれら血液系細胞をフィーダー細胞OP9と共培養することで、24時間以内に(1)血液系細胞の細胞死が減少すること、(2)培養される血液系細胞のストレスが低減すること、(3)血液系細胞が細胞ネットワークを形成すること、(4)製造される血液系細胞集団において、M2マクロファージの割合が増加すること、および、(5)マウス脳梗塞モデルにおいて、細胞移植によるその血管新生効果と脳梗塞後遺症の減弱を確認している(Sci Rep. 2023 Jan 6;13(1):262.)。さらに、我々は、OP9培養上清にて血液系細胞を培養することで、血液系細胞集団におけるM2マクロファージ分化を誘導できることを見出し、これらを知財化している(特願2022-154854)。
何が新しいか?
血液系細胞をフィーダー細胞OP9と共培養することで、血管新生を誘導する血球系細胞の樹立可能であることを見出したこと
他の研究に対する優位性は何か?
- 24時間以内という非常に短期間にM2マクロファージへの誘導を含むAiCを樹立可能である。
- 臍帯血だけでなく末梢血や骨髄などの血液系細胞に応用可能である。
- M2マクロファージによる治療効果を期待できるさまざまな疾患への応用が期待できる。
どのような課題の解決に役立つか?
脳梗塞後の血管再生が内因性神経に寄与することを見出しており、AiCによる脳梗塞後の神経機能回復効果が期待される
他への応用・展開の可能性
- 虚血性疾患全般(脳梗塞、心筋梗塞、下肢虚血など)
- M2マクロファージが病態改善に寄与しうる疾患(膠原病、間質性肺炎、肝炎、腎炎など)
関連する特許
特願2022-154854「血管新生を誘導する細胞集団の製造方法」
研究者情報
氏名 | 山原 研一 |
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所属 | 医学部 先端医学研究所 分子細胞治療部門 |
専門分野 | 細胞治療、再生医療 |
学内共同研究者 | 吉村 紳一、中込 隆之、藏本 要二、土江 伸誉 |
関連リンク | シーテックスHP(大学認定ベンチャー) |
企業との協業に何を期待するか?
製薬企業などとの協業により、臍帯血・末梢血由来AiCを用いた血管再生療法の開発に関する共同研究の実施など
本研究の問い合わせ先
兵庫医科大学 大学事務部 研究推進課
E-mail: chizai@hyo-med.ac.jp
Tel: 0798-45-6488