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妊娠の成立と維持に関する免疫担当細胞の関与の解明と新規治療の開発

情報更新日 2023年7月31日

シーズ情報

キーワード

免疫担当細胞・NK細胞、サイトカイン、不妊、不育症

分野

産婦人科学、生殖

概要

近年の晩婚化・晩産化に伴い、不妊に悩む方々が増え、その対策が急務となっている。一方、末梢血、子宮内膜に存在するNK細胞は妊娠の成立、維持において重要な役割を果たしていると考えられるが、その詳細は明らかではない。NK 細胞は細胞傷害とサイトカイン産生という二つの大きな働きを有しており、NK 細胞表面に発現するNatural Cytotoxicity Receptor (NCR)の一つであるNKp46はこれら双方に関与すると考えられ、不育症や着床不全などの生殖異常ではその発現に異常を来すことが知られている。
本研究は、生殖におけるNK 細胞の機能分担と機能発現の解明を進め、妊娠の成立・維持におけるNK 細胞の関与、不育症や着床不全におけるNK 細胞の関与およびその制御法を明らかにすることを研究目的とする。本研究は、不妊に係る治療の方針決定や治療法の開発に活かすことが期待できるなど、上記の課題解決に繋がりその意義は大きい。

何が新しいか?

  • 独自の研究シーズ・コンセプトであること:妊娠の成立および維持において免疫機構、とりわけNK 細胞の機能分担と機能発現の適正化が重要である
  • 子宮内膜を精液で刺激することにより不妊・不育症の治療方針を決定するような検査法・治療法は存在しない

他の研究に対する優位性は何か?

  • NK細胞(表面マーカー、サイトカイン産生)用いた独自の不妊・不育症の検査法へ有用性を示す多くのデータと検査に関わるノウハウを保有していること
  • また、実際の治療方針決定に有用であったことを示す多くの実績があること

どのような課題の解決に役立つか?

近年の晩婚化・晩産化に伴う不妊症、不育症の対策が喫緊の課題である。
本研究シーズは、不妊症、不育症の病態把握、さらには新たな検査法や治療法の確立に繋がる可能性がある。

他への応用・展開の可能性

関連する特許

関連する論文等

  1. Taima A, Fukui A, Yamaya A, Yokota M, Fukuhara R, Yokoyama Y: A semen-based stimulation method to analyze cytokine production by uterine CD56(bright) natural killer cells in women with recurrent pregnancy loss. J Reprod Immunol 2020;142:103206.
  2. Mai C, Fukui A, Takeyama R, Yamamoto M, Saeki S, Yamaya A, Kato T, Ukita Y, Wakimoto Y, Shibahara H: NK cells that differ in expression of NKp46 might play different roles in endometrium. J Reprod Immunol 2021;147:103367.
  3. Takeyama R, Fukui A, Mai C, Yamamoto M, Saeki S, Yamaya A, Shibahara H: Co-expression of NKp46 with activating or inhibitory receptors on, and cytokine production by, uterine endometrial NK cells in recurrent pregnancy loss. J Reprod Immunol 2021;145:103324
  4. Yamamoto M, Fukui A, Mai C, Saeki S, Takayama R, Wakimoto Y, Yamaya A, Kwak-Kim J, Shibahara H: Evaluation of NKp46 expression and cytokine production of decidual NK cells in women with recurrent pregnancy loss. Reprod Med Biol 2022;21:e12478.

参考図表

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研究者情報

氏名 福井 淳史
所属 医学部 産科婦人科学
専門分野 産婦人科学、生殖
学内共同研究者 柴原 浩章、山谷 文乃、竹山 龍、佐伯 信一朗
関連リンク 研究室HP

企業との協業に何を期待するか?

企業や他の医療機関との協業により、以下に示す本研究シーズの特徴を応用し、新たな検査法、治療法開発に繋がる共同研究の実施などを期待する。

  • 新しい妊娠成立、維持に関するマーカーを測定可能になることが予想され、それを用いて妊娠成立・維持の指標にすることができる。
  • これまでとは全く違う切り口の体外受精の適応が出てくるため、不妊治療の適応拡大に繋がる。
  • 本測定系を広く施行可能にすることで新たな不妊症・不育症の診断を可能にする。

本研究の問い合わせ先

兵庫医科大学 大学事務部 研究推進課
E-mail: chizai@hyo-med.ac.jp
Tel: 0798-45-6488

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