呼吸制御による課題パフォーマンス向上およびストレス低減効果
情報更新日 2023年7月31日
シーズ情報
キーワード
呼吸、認知機能、ストレス低減、自律神経
分野
認知神経科学、脳機能イメージング、心理生理学
概要
近年、ヨガや坐禅、瞑想の技法を用いた呼吸法は、ストレス性精神疾患も含め、ストレス低減効果をもつことが知られ、その効果について、広く注目されています。そのときの呼吸因子は、身体だけでなく、脳にも作用しますが、特に、脳ネットワーク活動において、呼吸因子がどのような影響を与え、最終的にストレス低減効果を生み出していくのか、ほとんどわかっておりません。私たちは、このような呼吸因子による認知神経基盤への作用をすでに一部、明らかにしています。そこから、集中力や注意力を伴う課題パフォーマンスの向上、さらにはストレス低減効果を導く脳ネットワーク活動を具体化する研究に取り組んでいます。
何が新しいか?
呼吸因子による認知神経基盤への作用を明らかにした点
他の研究に対する優位性は何か?
局所脳活動・脳波・自律神経活動(RSA振幅)・瞳孔径の変化などの同時モニターによるセンシング・解析する点
どのような課題の解決に役立つか?
呼吸因子の解析などにより、課題パフォーマンス向上やストレス低減効果を生み出す科学的根拠を示す可能性がある
他への応用・展開の可能性
将来、より効果的で新しい記憶力・集中力・注意力の改善法、ストレス低減法として幅広く発展し、応用されていく可能性を秘めています。
関連する特許
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関連する論文等
- Nakamura NH, Furue H, Kobayashi K, Oku Y. (2023) Hippocampal ensemble dynamics and memory performance are modulated by respiration during encoding. Nature Communications. 14:4391.
- Nakamura NH, Fukunaga M, Yamamoto T, Sadato N, Oku Y. (2022) Respiration-timing-dependent changes in activation of neural substrates during cognitive processes. Cerebral Cortex Communications. 3:tgac038.
- Nakamura NH, Fukunaga M, Oku Y (2019) Respiratory fluctuations in pupil diameter are not maintained during cognitive tasks. Respiratory Physiology & Neurobiology. 265:68-75.
- Nakamura NH, Fukunaga M, Oku Y (2018) Respiratory modulation of cognitive performance during the retrieval process. PLoS ONE. 13:e0204021.
研究者情報
氏名 | 中村 望 |
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所属 | 医学部 生理学 生体機能部門 |
専門分野 | 認知神経科学、脳機能イメージング、心理生理学 |
学内共同研究者 | 越久 仁敬 |
関連リンク | 研究者HP |
企業との協業に何を期待するか?
- 課題パフォーマンスを向上させ、ストレス低減効果を生み出す呼吸因子をベースとし、それに関連する局所脳活動・脳波・自律神経活動(RSA振幅)・瞳孔径の変化などを同時にモニターすることで、より効果的なパフォーマンス向上トレーニング法やストレス低減トレーニング法などを開発する。
- 上記のトレーニング法をサポートする機器(それぞれの因子の同時モニターなど)を開発する。
本研究の問い合わせ先
兵庫医科大学 大学事務部 研究推進課
E-mail: chizai@hyo-med.ac.jp
Tel: 0798-45-6488