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脳梗塞病態時に特異的に誘導される内在性幹細胞を標的とした新規神経再生療法の開発

情報更新日 2023年7月31日

シーズ情報

キーワード

幹細胞、脳梗塞、神経再生、外傷性脳疾患、再生医療

分野

中枢

概要

近年、再生医療はめまぐるしく進歩しており、幹細胞を応用した再生療法の開発が期待されています。当部門では、脳梗塞作製マウスを用い、脳傷害病態下に生体内に誘導される自己の内在性神経幹細胞の発掘を独自に試み、その活用による神経再生療法を目指してきました。その結果、脳梗塞後の脳組織(脳梗塞巣)には成熟したニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイトは消失するものの、これらの三系統に分化する能力を持つ内在性神経幹細胞 (傷害誘導性神経幹細胞:injury-induced stem cells: iSCs) が産生されていることを世界に先駆けて発見し、その単離にも成功しました(European Journal of Neuroscience, 29, 1842-1852, 2009)。当部門では、このiSCsを用い、神経再生メカニズムの解明及び新規神経再生療法の開発に取り組んでいます。また、ヒトの脳梗塞巣においても神経分化能を有するiSCsが存在することが明らかになりつつあります(Stem Cells and Development, 26, 787-797, 2017)。従って、これらの幹細胞に対する増殖、神経分化規定因子などの同定は、新規神経再生療法の開発に繋がると考えられます。

何が新しいか?

従来は壊死した神経細胞と炎症担当細胞のみが存在すると考えられてきた脳梗塞巣内に、内在性の傷害誘導性幹細胞 (iSCs)が存在することをマウスのみならずヒトでも実証した。
iSCsによる脳梗塞後の神経機能回復促進の可能性を支持するin vitro、in vivoデータを得た。

他の研究に対する優位性は何か?

先行する再生医療等技術に対し以下の優位性がある。

MSCに対する優位性
MSCは骨、脂肪、軟骨などの中杯葉系の細胞には分化するものの、iSCsとは異なり、電気生理学的に機能的な神経細胞には分化しない。

その他の技術に対する優位性
ES細胞、胎児細胞、iPS細胞などに由来する神経幹細胞等には、発癌性、倫理面、拒絶反応などで重大な課題が多く残されているが、iSCsはこのような問題点を回避可能である。

iSCsの独自性
iSCsは脳傷害後の再生過程で出現する幹細胞であることから、自己の組織修復プログラムを応用した再生治療が期待できる。

どのような課題の解決に役立つか?

脳梗塞後の神経機能回復

他への応用・展開の可能性

外傷性脳損傷後の神経機能回復

関連する特許

特許第4481706号:発明の名称「脳梗塞疾患モデルマウス」

参考図表

研究者情報

氏名 中込 隆之
所属 医学部 先端医学研究所 神経再生研究部門
専門分野 中枢
学内共同研究者 土居 亜紀子
関連リンク 講座紹介HP

企業との協業に何を期待するか?

当部門では、脳梗塞巣より単離・樹立した傷害誘導性幹細胞(iSCs)をストックしており、貴社の有する薬剤や化合物などが、iSCsに対していかなる効果(iSCsに対する増殖能や細胞保護作用の評価、iSCsの神経分化能の評価など)を有するかを調べることが可能です。また、ヒット化合物などを対象とした創薬開発の共同研究を提案させていただくことも可能です。

本研究の問い合わせ先

兵庫医科大学 大学事務部 研究推進課
E-mail: chizai@hyo-med.ac.jp
Tel: 0798-45-6488

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