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糖尿病患者における低血糖を含めた血糖変動と糖尿病合併症との関連についての多施設共同研究(Hyogo Diabetes Hypoglycemia Cognition Complications study:HDHCC研究)

情報更新日 2023年7月31日

シーズ情報

キーワード

睡眠の質、代謝、認知機能、自律神経

分野

生活習慣病・心血管リスク因子に関わる研究

概要

本研究は、糖尿病患者をはじめとした動脈硬化性疾患のリスク因子をもつ患者を対象とし、認知機能障害および動脈硬化性疾患の発症・進展に関連する要因について明らかにすることを目的とした多施設共同のコホート研究です。2018年の開始から2023年3月時点で516名が登録され、現在も新規登録と追跡を並行して行っております。本研究では、持続グルコースモニター(CGM)を用いた血糖変動の評価をはじめ、加速度計を用いた睡眠状況の他覚的評価、腸内細菌叢とその代謝産物の評価、認知機能スコアおよび頭部MRIをはじめとした脳画像マーカーの評価を行い、これらの相互関連について追跡調査を行っています。
これまでに、①糖尿病罹病期間と糖尿病合併症がCGM由来の血糖管理指標の悪化と関連すること、②高齢者において低血糖リスクのある糖尿病治療薬の使用はCGM由来の低血糖指標の悪化リスクを高めることを報告しました(関連論文1)。また、糖尿病患者の炭水化物摂取量がCGM由来の血糖管理指標および動脈硬化指標に与える影響は限定的であることを報告しました(関連論文2)。さらに、1型糖尿病コホートとの統合解析により、HbA1c、グリコアルブミンとCGM由来の血糖管理指標との関連について明らかにしました(関連論文3)。
今後はとくに血糖変動や睡眠障害と認知機能障害との相互関連について明らかにする予定であり、認知機能低下予防のターゲットが見出せることが期待されます。

何が新しいか?

血糖管理悪化-睡眠障害-認知機能障害が互いに悪影響を与えることが想定されているが、この相互関連に着目した前向き研究はほとんどない。

他の研究に対する優位性は何か?

本研究は、血糖変動、睡眠の質、認知機能障害、動脈硬化性疾患などについて総合的に評価と追跡を行うという点で独創的である。

どのような課題の解決に役立つか?

睡眠障害は糖尿病や動脈硬化性疾患のみならず、認知機能障害とも関連することが報告されており、その対策が課題である。
本研究により、認知機能低下予防や診断に関わる新たな標的分子などが見出せることが期待される。

他への応用・展開の可能性

糖尿病を有さない患者においても同様な解析が可能である。
サブ解析として脳容積・虚血・脳血流・アミロイド蓄積などの予知因子の解析も可能である。

関連する特許

参考図表

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研究者情報

氏名 小山 英則
所属 医学部 糖尿病内分泌・免疫内科学
専門分野 生活習慣病・心血管リスク因子に関わる研究
学内共同研究者 楠 宜樹、小西 康輔、角田 拓、大東 真菜、大杉 敬子、井上 真希、井上 智香子、高木 彩好
関連リンク 研究室HP

企業との協業に何を期待するか?

動脈硬化性疾患をはじめとした心・血管合併症や認知症機能障害の発症および進展に関わる新たなバイオマーカー探索、新たな診断・治療デバイスの開発などさまざまな共同研究が想定されます。

本研究の問い合わせ先

兵庫医科大学 大学事務部 研究推進課
E-mail: chizai@hyo-med.ac.jp
Tel: 0798-45-6488

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