睡眠、疲労、自律神経機能などの生活関連因子が及ぼす生体ストレス応答研究(Hyogo Sleep Cardio-Autonomic Atherosclerosis Study:HSCAA研究)
情報更新日 2023年7月31日
シーズ情報
キーワード
睡眠の質、代謝、認知機能、自律神経
分野
生活習慣病・心血管リスク因子に関わる研究
概要
日々の睡眠や疲労度、日中活動度、自律神経機能を客観的、網羅的に評価し、内分泌・代謝疾患の病態・予後を追跡し、睡眠や疲労、自律神経機能障害など生体ストレスの意義を明らかにすることを目的としたHyogo Sleep Cardio-Autonomic Atherosclerosis (HSCAA)コホート研究を2010年から実施している。2022年末時点で約1,200人の患者が登録され、平均3.6年の追跡を受けている。
最近では、睡眠の「質」の低下がインスリン分泌能及び感受性低下と関連すること(Kakutani-Hatayama M, et al. Metabolism Open 2020, 6:100033)、自律神経機能と左室拡張能の指標との関連(Morimoto A, et al.Metabolism Open 2020, 5: 100025)、腎機能障害を有していない糖尿病患者での睡眠の「質」の低下及び自律神経機能障害の腎機能悪化のリスクについて相次いで報告した(Kadoya M et al. Sci Rep2021, 11: 19048)。
何が新しいか?
日々の睡眠や疲労度、日中活動度、自律神経機能を客観的、網羅的に評価し、内分泌・代謝疾患の病態・予後との関連性を明らかにする点。
他の研究に対する優位性は何か?
多くの登録者(約1,200人の患者)による登録時および追跡データを保有しており、種々の解析に応用可能である。
- 登録時のアクティブトレーサー(24時間、自律神経機能評価)およびアクティグラフ(睡眠評価)のデータ
- 長期間(平均3.6年)の追跡データ
どのような課題の解決に役立つか?
糖尿病患者において、心血管イベントを早期に予測、あるいは把握することが重要な課題である。
本コホート研究で取得したデータを解析すれば、新たな心血管障害を予測するバイオマーカーが見出される可能性がある。
他への応用・展開の可能性
睡眠・ストレスといった切り口からの新たな商品開発の可能性がある。
これからのWithコロナの時代、デジタル化に伴う生活環境の変化から、特に睡眠の「質」の重要性が認識されるようになっており、この視点から将来の健康を維持するための商品開発を後押しできる可能性がある。
関連する特許
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関連する論文等
研究者情報
氏名 | 小山 英則 |
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所属 | 医学部 糖尿病内分泌・免疫内科学 |
専門分野 | 生活習慣病・心血管リスク因子に関わる研究 |
学内共同研究者 | 角谷 学 |
関連リンク | 研究室HP |
企業との協業に何を期待するか?
良好な生活関連因子の維持を目指すことは、結果として様々な代謝疾患や心腎機能の維持に貢献できる可能性あり、睡眠や疲労軽減関連の製品に付加価値をつけることができ、社会的インパクトも大きくなる可能性がある。
生活関連因子がもたらす効果についてのメカニズムはまだまだ未解明な部分も多く、並行して当科で実施している基礎研究とも絡ますことができれば、新たなサロゲートマーカーの確立などを目指せる可能性も秘めている。
このサロゲートマーカーを利用した新たな医療機器の開発にも道筋をつけることができるかもしれない。
本研究の問い合わせ先
兵庫医科大学 大学事務部 研究推進課
E-mail: chizai@hyo-med.ac.jp
Tel: 0798-45-6488