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エクオールによる敗血症時の過活性化好中球機能制御についての検討

情報更新日 2023年7月31日

シーズ情報

キーワード

敗血症、自然免疫、好中球、好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps)、女性ホルモン

分野

救急・集中治療医学

概要

敗血症予後には性差が存在し、男性ホルモンは予後悪化に、女性ホルモンは予後改善に効果的である。一方、敗血症性臓器障害や播種性血管内凝固(DIC)の一因となる好中球機能として、好中球細胞外トラップ(Netrophil extracellular traps;NETs)の過剰産生があり、昨今のCOVID-19肺炎においてもNETs形成が重症化に関与する報告がある。
我々は女性ホルモン類似物質であるエクオールがヒト好中球のNETsを抑制し、かつ好中球貪食能は維持することを明らかとした。エクオールは大豆由来の女性ホルモン類似物質であり、比較的安価に産生され、代謝もスムーズである。かつ、女性ホルモン様作用はエストラジオールなどに比べ小さいことから、副作用の面でも安全性が高いと考えられる。

何が新しいか?

敗血症予後の性差に着目し、敗血症治療に女性ホルモン類似物質であるエクオールを応用する点

他の研究に対する優位性は何か?

好中球の過活性化(NETs増大)は臓器障害や血栓増加など病態悪化の一因となる一方で、好中球は感染防御には必須の細胞であり、長く機能を抑制することは病態に不利益となる可能性もある。
このため、急峻な効果をもたらす薬剤としてではなく、病態改善のベースラインを保つような役割として、代謝が良く、大豆由来のため比較的安価に生産できるエクオールを用いれば、急性期病態における予後悪化を予防する方法として有用ではないか。

どのような課題の解決に役立つか?

敗血症だけでなく、自己免疫疾患やCOVID-19肺炎では過剰な免疫に伴うNETs増大の関与が示唆させている。
エクオールによりNETs増大を緩和するデータを取得しており、上記課題解決に繋がることが期待される。

他への応用・展開の可能性

関連する特許

参考図表

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研究者情報

氏名 石川 倫子
所属 医学部 救急・集中治療医学
専門分野 救急・集中治療医学
学内共同研究者 小濱 圭祐、村上 博基、井上 岳人
関連リンク 講座紹介HP

企業との協業に何を期待するか?

製薬企業との協業により、食品としては開発されているエクオールを輸液として開発したい。

  • 急性期における輸液に必要に応じてエクオールを追加することにより、好中球機能を過剰に活性化を防ぎ、血管内皮保護や臓器障害抑制を可能にするのではないかと考えている。
  • また、NETsは、敗血症だけでなく、自己免疫疾患やCOVID-19肺炎などとの関連性も報告されている。これら過剰な免疫が関与する疾患へのエクオールの応用も考えられる。

本研究の問い合わせ先

兵庫医科大学 大学事務部 研究推進課
E-mail: chizai@hyo-med.ac.jp
Tel: 0798-45-6488

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