専門外来について

項目をクリックしてください

筋・代謝・遺伝外来

小児筋疾患には、遺伝性の筋ジストロフィー、先天性ミオパチー、脊髄性筋萎縮症から皮膚筋炎、重症筋無力症などの自己免疫疾患まで、多くの疾患が含まれます。私たちは、これらの疾患に対し、遺伝子解析、筋生検などの手法により的確な診断を行い、治療法を決定しています。また、遺伝性の様々な先天代謝異常症や糖尿病など代謝異常症に対し、日々の管理から急変時の対応を含め、患者さんをトータルにケアする診療を行っています。そのような中で、特に重点をおいている医療は以下のものです。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する分子治療法の開発と実践

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、頻度の高い遺伝性筋疾患ですが、未だ根治治療法はありません。そのような中、私たちは、自らが開発したアンチセンスオリゴヌクレオチドによるエクソンスキッピング誘導治療の開発、そして臨床の現場での実践を行なっています。また、日本医師会治験促進センターの支援を受け、アルベカシンによるナンセンス変異リードスルー誘導治療の医師主導治験を行っています。これらの治療法は、患者さんの遺伝子異常に応じた、オーダーメイドの分子治療です。一方、遺伝子異常の種類に関わらず、患者さんではプロスタグランジンの産生が亢進していることを明らかにしました。現在、プロスタグランジン産生を抑制する治療の臨床医研究にも取り組んでいます。

先天代謝異常症の診断・治療

現在、タンデムマスによる新生児代謝異常症のマススクリーニングが行われています(兵庫県では2012年より)。このスクリーニングにより乳幼児に突然死を起こすような疾患を早期に診断し治療することにより、突然死を未然に防ぐことができます。私たちは、このマススクリーングで精密検査が必要になった赤ちゃんに対する的確な診断、そしてその後の治療を行なっています。

遺伝性疾患への包括的医療の実践

筋疾患・代謝疾患のみならず、多くの小児疾患に遺伝が関与しています。そのような疾患の患者さんに対し、臨床遺伝専門医による診断・治療を行っています。さらに、臨床遺伝部、産婦人科など院内各診療科との連携のもと、遺伝子診断・遺伝相談など患者さん・ご家族のニーズに応じた診療を行っています。

腎臓外来

腎臓専門外来では小児腎疾患(急性腎炎、慢性腎炎、ネフローゼ症候群、急性腎不全、先天性尿路奇形、慢性腎不全、水電解質異常、夜尿症、腎移植)を専門に診療を行っています。行政の保健事業を積極的に支援しており、学校検尿で異常を指摘された子供さんの診断、治療を行っています。診断に関しては過去20年間で約1000例の小児に対する腎生検(腎臓の組織を針で一部採取し、顕微鏡などで詳しく調べる検査)を行っていますが、大きな合併症はなく安全に行うことができています。
また、腎疾患以外の疾患(血液疾患、消化器疾患、中枢神経疾患等)で血液浄化療法(血液から不要、あるいは有害な物質を取り除く治療)を腎透析科、泌尿器科、集中治療室と協力して治療を行っています。小児の腎移植を行うにあたっても積極的に関わり、術後の輸液管理(点滴管理)、免疫抑制剤の管理を行っています。当腎グループは学校検尿異常の精査から腎移植、腎移植後管理まで行い、一貫した治療、管理を行うことができます。
研究においては臨床的、基礎的研究を行い、国内、国際学会での発表を行っています。我々は常に知識のアップデートを行い、小児腎疾患患者さんに対して安心安全かつ最先端の治療を提供したいと考えています。

血液・腫瘍外来

血液腫瘍専門外来では白血病や悪性リンパ腫、骨髄異形成症候群などの血液腫瘍疾患をはじめとして、再生不良性貧血、自己免疫性血小板減少症、免疫不全疾患など血液疾患全般の治療を行っています。各種幹細胞移植も難治性血液腫瘍疾患に対してこれまで90例に行っています。 また神経芽細胞腫、ウイルムス腫瘍、横紋筋肉腫、骨肉腫、奇形腫、ランゲルハンス細胞組織球症、肝芽腫、脳腫瘍などの各種小児固形腫瘍疾患についても、各疾患の治療研究グループに属し、小児外科や脳神経外科・整形外科・放射線科などと連携し、化学療法・手術療法・放射線療法・造血幹細胞移植などによる集学的治療を行っています。 長期入院中の子供たちには院内学級(小学校、中学校)を設置しており、年齢にあわせて保母さんや学生ボランティアのサポートも適宜お願いしています。
外来治療においては、血友病などの出血性疾患に対し、治療、日常生活の指導、在宅自己注射の早期導入に力を入れています。また、好中球減少症や先天性溶血性貧血、免疫不全疾患などの治療も行っています。

治療研究参加グループ一覧: 日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)、日本小児神経芽細胞腫(JNBSG)、日本ウィルムス腫瘍スタディーグループ(JWiTS)、日本横紋筋肉腫研究グループ( JRSG)、日本小児脳腫瘍コンソーシアム、日本ランゲルハンス細胞組織球症研究グループ(JLSG)、日本小児肝癌スタディーグループ( JPLT)など

アレルギー外来

兵庫医科大学小児科学講座小児アレルギー外来は下記の小児アレルギー疾患を対象に、個々の症状にあったオーダーメイドの治療を心がけています。
1.気管支喘息(アトピー咳嗽)
2.アトピー性皮膚炎
3.食物アレルギー
4.蕁麻疹(急性、慢性)

1.気管支喘息

小児気管支喘息の病態生理に関しては、未だ解明がなされていないところも多く、特に低年齢ほど、症状の変化が著しく客観的指標が得られにくいため、不明な点が多いといわれています。診断、治療に関しては個々の情報、検査所見から正確に判断し、子供たちのQOL(生活の質)を下げることなく、個々の病状にあったオーダーメイドの治療を心がけています。
生活環境整備の指導、喘息日記の活用、ピークフローモニタリングなどを用い、症状を細かく観察した上で客観的指標を用いて重症度の評価を行い、適切な薬物療法を選択しています。
また在宅での吸入療法の指導も外来にて積極的に行っており、喘息発作での入院も減少傾向にあります。

2.アトピー性皮膚炎/3.食物アレルギー

小児のアトピー性皮膚炎は、近年増加傾向にあり、小児科外来でも診させていただくことが非常に多くなってきています。未だ病態生理に関しては解明されていないところも多く難治性の慢性の病気です。アトピー性皮膚炎はアレルギー的側面と非アレルギー的側面を併せ持つ厄介な病気ですが、意外と適切な軟膏療法と、徹底したスキンケアで改善される患者様も多数おられます。

乳児のアトピー性皮膚炎の約7割は、食物アレルギーが関与していると考えています。 しかし、現状ではアトピー性皮膚炎の診断が明確でない患者様も多く、不必要な食物制限を長期間に亘って実行し 発育発達障害を来している方も少なくありません。そのため当科では、まずスキンケア指導と適切な軟膏治療を行い、 アトピー性皮膚炎の治療を試みます。多くの患者様は改善傾向を示しますが、それでも皮膚症状の改善が得られず食物アレルギーが疑われる患者さん に対してはアレルギー検査RAST IgE検査、HRT検査(血液検査)、プリックテスト(皮膚テスト)を施行しています。さらに、食物日記への記入、必要に応じ疑われる食品に対する食物除去試験(外来)および食物負荷試験(入院)を施行しています。

我々は、アトピー性皮膚炎並びに食物アレルギーの原因食物を客観的かつ正しい方法で確定し、最小限の食物制限とすることが未来ある子供たちに対する最良の治療と考えています。 食物アレルギーが確認され、それがアトピー性皮膚炎の原因の1つとして考えられる時は、原因食物の除去を指導いたします。原因食物を特定し除去することにより当科外来通院中の乳幼児期の食物アレルギーによるアトピー性皮膚炎患者様は 皮膚症状の改善も著明にみられ、ステロイド軟膏も最小限の使用で済んでいます。また、食物除去を行うことによる栄養のかたよりがないように栄養指導も行っております。

我々は、アトピー性皮膚炎治療の効果判定においては、独自のスコアを取り入れ(アトピースコア)、より客観的かつ正確に判定することができます。

重症のアトピー性皮膚炎患者様に対しては、入院治療も行っています。 入院することにより悪化因子をより確実に把握することができます。さらに一日数回のスキンケアと一日3回の軟膏療法により 短期間の入院で大半の方は軽快します。
また入院中に、原因の把握とご両親にスキンケアと軟膏療法の方法を習得してもらうことにより、アトピー性皮膚炎の再増悪による 再入院はほとんどなくなります。

4.蕁麻疹(急性、慢性)

蕁麻疹は、皮膚(粘膜や皮膚深部にも現れることがあります)に限局性の浮腫と紅斑が出現する病気で、原因は多岐にわたりますが、約80%は特定することができません。つまり詳しい検査を行っても原因を明らかにできる例は少ないということです。しかしながら子供たちがかかると大変やっかいな病気です。現在はガイドラインもできあがり、副作用の少ない薬剤で治療することができるようになっています。

なお当小児科は日本アレルギー学会より教育認定施設に認定されており、診療のみならず教育にも力を入れております。

内分泌外来

内分泌専門外来では成長ホルモン分泌不全性低身長、思春期早発症、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、先天性副腎過形成症、副甲状腺機能異常症、糖尿病などのホルモンの異常を原因とした病気を診療しています。ヒトには数多くのホルモンが存在しています。成長ホルモン、甲状腺ホルモン、性ホルモン、副腎皮質ホルモン、副甲状腺ホルモン、インスリンなどですが、内分泌疾患とはこのホルモンバランスに異常を来して発症します。身体症状としては、低身長、高身長、身体的おませ、倦怠感、多汗、頻脈、落ち着きがない、多飲多尿など様々な症状が現れます。病気によっては早期の治療が功を奏しますので、早期発見、早期治療が重要となります。当内分泌外来ではこれらの疾患の診断から治療までを一貫して行っています。

神経外来

神経専門外来では幅広い神経疾患について診療を行っています。対象とする病気は多く、てんかん、脳性麻痺、神経筋疾患、末梢神経疾患、染色体異常症、奇形症候群、精神遅滞、発達障害など、その他の希少疾患を含めて小児神経疾患を全般的に診療しています。
てんかんについてはてんかん診療ネットワーク(http://www.ecn-japan.com/)の二次診療施設として診療を行っています。脳性麻痺、神経筋疾患については医療的ケアを必要とする場合が多く、それらの治療管理、急変時の入院対応などもおこなっています。近年よく耳にする“発達障害”についても診断や二次障害への対応などを行っています。その他、専門施設が少ないとされている小児の慢性頭痛の診療も積極的に行っています。受診の際には、まず小児科外来に相談くださいますようお願いいたします。