教室紹介 | 教授挨拶

難病であるUCとCDを総合的に対応いたします

炎症性腸疾患は、原因不明の難治性疾患が多く、代表的な疾患として潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)があります。両疾患とも厚生労働省の特定疾患(いわゆる難病)指定を受けています。これらの疾患の診断や治療に難渋することもしばしば経験します。また、生活習慣の欧米化に伴い、日本でも患者数の増加が著しくUCは約18万人、CDは約4万人と報告されています。
両疾患の治療に当たっては、厚労省研究班で作成された治療指針やガイドラインが使われます。しかしながらこのような標準的治療に抵抗する難治例や治療困難例も少なくありません。炎症性腸疾患(IBD)は内科的治療と外科的治療の両方が必要で、二つをうまく使い分けることが大切だと言われています。

兵庫医科大学では、IBDセンターを設立し、内科、外科の専門医が毎日外来診療を行っています。炎症性腸疾患外科の手術数は、UCは1950例を超えています。CDも1400症例を超え、のべ手術回数は2200回を超えています。

UC領域では病的粘膜をすべて切除する、大腸全摘・J型回腸嚢肛門吻合術を基本としていますが、年齢や括約筋機能に応じた術式の選択を行っています。最近増加している癌合併症例の術後補助化学用法は下部消化管外科と協力しながら行っています。

CD領域では、短腸症候群の防止のため、できるだけ切除範囲を少なくする術式を選んでいます。術後の再燃予防には薬物療法が必要ですが、これは炎症性腸疾患内科と協力しながら行っており、累積5年の再手術率は17%程度と良好な成績を得ています。

IBDセンター設立により難治性の炎症性腸疾患患者さんを、内科・外科が共観しながら、コメディカルスタッフと共に総合的な対応が可能となっています。また、遠方の患者さんや長期経過の患者さんには、病診連携・病病連携を通じて地域の医療機関と共同した治療を行うよう努めています。

炎症性腸疾患外科 主任教授
池内 浩基
池内浩基 主任教授