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兵庫医科大学医学会

薬理学

講座(部署)紹介

1. 神経系の分子生物学(特にヒスタミン神経系)
2. 薬物依存の形成メカニズム
3. ヒスタミン代謝関連遺伝子
4. 神経細胞、血管内皮細胞のアポトーシス関連遺伝子

研究の現状

概要
「ヒスタミン代謝」をキーワードとした研究を進めてきた。主題1、2は2005年以前より継続して研究中であり、一部の成果は既に国際誌に発表している。主題3はその後新たに研究を開始したテーマで、現在まで発表に至っていないが、興味深い実験結果が得られており、今後も研究を継続する予定である。

主題

1.薬物依存の形成メカニズム:
マウスを用いてメタンフェタミン連続投与により、行動感作(逆耐性)を形成するプロトコルを作成した。また、マウスにおいてメタンフェタミンで誘発される異常常同行動の分類法を作成した。

  1. A型モノアミン酸化酵素阻害薬のクロルジリンは、細胞外モノアミン濃度を高めると考えられ、同時投与によりメタンフェタミンの作用を強めると予想されたが、実際には、初回投与時の自発運動量増加も、連続投与による行動感作形成も、更に高用量での異常常同行動誘発効果も抑制することを明らかにした。この抑制は、セロトニン代謝の変化によって起こっているとの仮説を提出し、さらに詳細を検討中である。

  2. クロルジリン処置はモルヒネ単回投与による自発運動量増加も抑制した。これは、異常常同行動の増加を伴わず、鎮痛作用に対しては検定法やクロルジリンの用量によっては増強傾向が認められたが、少なくとも抑制されることはなかった。従って、クロルジリンは依存薬物による運動量増加を抑制することが示唆された。

  3. インドタバコの成分 Lobeline がマウスにおけるメタンフェタミン誘発異常常同行動を抑制することを明らかにした。

  4. マウスでの条件付け場所嗜好性(conditioned place preference; CPP)検定の装置を開発した。メタンフェタミンの依存判定にこの装置を用い、種々薬物の影響を検討中である.抗痙れん薬として開発され,臨床応用されているトピラマートは米国ではアルコール依存症への応用が試みられている。メタンフェタミン依存症への影響を検討するため、マウスでメタンフェタミン誘発条件付け場所嗜好性及び異常常同行動に対するトピラマートの作用を検討したが、抑制効果は見られなかった。

  5. ヒスタミン神経系はメタンフェタミンの作用に対して抑制的に作用するとの報告があった。マウスのヒスタミンの中枢神経系での不活性化を阻害すると、メタンフェタミン誘発異常常同行動のうちより重症と思われる噛み行動が減少し、嗅ぎ行動が増加することを報告した。この効果は中枢作用性の H1 受容体拮抗薬により消失したので、中枢ヒスタミン神経系は H1 受容体を介してメタンフェタミンの作用を弱めると考えられる。

  6. ヒスチジンの大量投与によって脳内のヒスタミンを増量すると、マウスのメタンフェタミン誘発異常常同行動は噛み行動が減少し、走行行動が増加した。この効果はH1受容体拮抗薬により消失した。

2.グリア細胞の活性化と細胞死:
虚血、炎症などによりミクログリア、アストロサイトの活性化が起こり、種々の液性因子の分泌が増加することが知られている。これらの現象のフィードバック機構の一部としてグリア細胞の細胞死が関わるとの仮説の元に、現在,研究を進めている。また、ミクログリアの遊走に対して影響のある細胞外情報伝達分子に関して研究している。

  1. ミクログリアを大腸菌リポ多糖で刺激すると活性化し、形態変化とともにTNFαなどの液性因子の分泌が増加することが知られている。我々は活性化状態のミクログリアは細胞内Ca2+増加刺激による細胞死の感受性が上がること、この時、非活性化状態で起こるアポトーシスが増加するのではなく、ネクローシスによる細胞死が増加していることを明らかにした。

  2. ミクログリアは細胞外ATPにP2Y受容体を介して正の走化性を示す。プロスタランジンE2(PGE2)はこの走化性を抑制することを報告した。この時、細胞内cyclicAMP濃度が増加しており,アデニル酸シクラーゼ活性化薬であるフォルスコリンもPGE2同様ATPに対する走化性を抑制した。拮抗薬、作動薬の作用プロファイルからはPGE2の作用はEP2受容体を介するものと考えられる。EP2KOマウスミクログリアはケモカイン,MIF1α、MCP1の発現が増加しているとの報告があることから、PGE2はEP2受容体を介してミクログリアの活性化に抑制的に作用すると考えられる。

3.ラット副腎髄質褐色細胞腫細胞PC12の細胞死:
PC12はコリン作動性、アドレナリン作動性神経様に分化させることができることから、神経細胞のモデルとして用いられている。PC12細胞においてドパミンや過酸化水素などの酸化ストレスによって引き起こされるアポトーシスをフェノバルビタールが抑制することを見出し、その機構などについて詳細を追求している。




自己評価・点検及び将来の展望
2005年からスタッフの入れ替わりはない。2005年以降、カテコールアミン、ヒスタミン/メチルヒスタミン定量システム、自動運動量測定装置、条件付け場所嗜好性測定装置などを整備することができた。いずれのテーマについても成果は一流誌に発表できているが、さらなる発展のためには今後はマンパワーと外部資金の獲得に努め、現在のテーマを継続するとともに、新たなテーマの開拓も必要であると考えている。

竹村 基彦 主任教授
竹村 基彦 主任教授
責任者| 竹村 基彦(主任教授)
専門分野:薬理学
准教授| 北中 純一
講師| 木村 信也
北中 順惠
TEL| -
FAX| -

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