飲酒に伴う高血圧発症の予測用ペプチドおよびそれを用いた飲酒に伴う高血圧発症の予測方法
情報更新日 2020年2月14日
シーズ情報
キーワード
アルコール 飲酒 高血圧 MALDI-TOF-MS 質量分析 BLOTCHIP ペプチド フィブリノーゲン 補体
分野
その他 予防医学
概要
習慣性飲酒は高血圧の重要なリスク要因であり、特に欧米人に比べてアルコール感受性が高い日本人では、飲酒が高血圧の原因として20~50%程度寄与していると報告されている。東洋人で多く見られるALDH2などのアルコール分解酵素の遺伝子多型と飲酒による血圧上昇との間には明らかな関連性は見られておらず、各個人で飲酒に伴う高血圧のリスクを評価する方法は開発されていない。こういったなか我々は、新規質量分析法であるBLOTCHIP®を用いたペプチドーム解析の結果、飲酒時の血圧低下と有意な関連性を示す3種類のペプチド(m/z1467, m/z2662, m/z2380)を検出した。構造解析の結果、m/z1467とm/z2662 はいずれもフィブリノーゲンα鎖の異なる断片ペプチドであり、m/z2380は補体C4aの断片ペプチドであることが明らかになった。そして、非飲酒時の血中m/z2380ペプチドのレベルが高い人ほど、飲酒後急性期の収縮期および拡張期血圧の低下が著しく、血中m/z2380レベルと飲酒後血圧低下の程度の間に有意な相関を認めた。飲酒による高血圧発症の機序としては、飲酒の急性作用である血圧低下に対する離断作用としての交感神経系の活性化が指摘されている。すなわち、飲酒時の血圧低下が著しい人ほど、繰り返しの飲酒習慣に伴う血圧上昇が大きくなる。したがって、血中m/z2380ペプチド濃度が高い人では、習慣性飲酒に伴う高血圧のリスクが高くなると予測され、m/z2380ペプチドは習慣性飲酒に伴う高血圧の有用なリスクマーカーになると考えられる。
何が新しいか?
他の研究に対する優位性は何か?
飲酒後の血圧低下と関連するペプチドを同定した最初の研究である
どのような課題の解決に役立つか?
他への応用・展開の可能性
研究者情報
氏名 | 若林 一郎(ワカバヤシ イチロウ) |
---|---|
所属 | 兵庫医科大学 環境予防医学 |
専門分野 | 予防医学 |
関連リンク | 研究室HP Research map |
企業との協業に何を期待するか?
今回見出されたバイオマーカー候補ペプチド測定キット(イムノアッセイ系など)の研究・開発での協業
本研究の問い合わせ先
兵庫医科大学 学務部 研究協力課
E-mail: chizai@hyo-med.ac.jp
Tel: 0798-45-6488