3-ハロアラインを生成するための合成中間体及びその合成方
情報更新日 2020年1月31日
シーズ情報
キーワード
アライン ベンザイン ハロゲン 芳香環 多環性複素環
分野
化学 薬学
概要
アライン(1,2-ベンザインまたはo-ベンザイン、単にベンザインとも言う)は、芳香環上に三重結合を有する反応性の高い化学種の総称である。アラインは反応性に富むため、従来法では困難な多環性複素環類等の生物活性物質や機能性分子の合成など多方面で利用されている。
アライン生成の前駆体を合成するための従来の方法では、ハロゲン-リチウム交換反応を経由するため、目的の位置にハロゲンを選択的に導入し、あるいは除去するという多数の工程の実験操作が必要となっていた。また、ハロゲン置換された炭素六員環芳香族化合物は、ハロゲン原子隣接位へのアニオンの生成に伴い、ハロゲン原子が脱離してアラインを生成することが知られていた。ヘテロ環六員環芳香族化合物は、芳香環上のアニオンがより安定で生成しやすいため、ハロゲン-リチウム交換反応を経由することなく前駆体を合成することができ、この点でヘテロ環アライン前駆体化合物よりも、炭素六員環アライン前駆体を合成することの方がより困難を伴う。こうした背景から、ハロゲン置換された炭素六員環アライン前駆体化合物の系統的合成はほとんど行われていなかった。
また、アラインを経由する各種芳香族化合物の合成においては、置換基を有する非対称なアラインを基質として用いた場合、2つの位置異性体が生成する可能性があるため、より反応位置選択性の高い方法が求められていた。この反応位置制御の目的で、ハロゲン置換されたアラインは有効であるが、従来の方法では、前駆体合成に困難を伴うものであった。
本発明によれば、トリアルキルシリル基と、該トリアルキルシリル基に隣接する両隣の位置に、-OSO2R1基[R1はCmF2m+1(mは整数)あるいはアルキルで置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール基である]と、-X基[XはF、Cl又はBrである]とを有する芳香族化合物が提供される。
何が新しいか?
- より少ない工程数で、簡便に、様々なハロゲン置換されたアライン前駆体を合成することに成功した
- アラインの反応の位置選択性向上と反応性の向上を実現した
他の研究に対する優位性は何か?
- 従来のアラインの生成法と比較して製造コストを低減できる
- 従来のアライン前駆体からでは誘導できない化合物を合成することができる
どのような課題の解決に役立つか?
生物活性物質、医薬品、医薬品中間体や、電子デバイス材料(絶縁膜)などの機能性分子の合成などの合成効率向上
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研究者情報
氏名 | 吉岡 英斗(ヨシオカ エイト) |
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所属 | 兵庫医療大学 薬学部医療薬学科 |
専門分野 | 化学系薬学 物理系薬学 |
リンク | 研究室HP 研究者HP |
学内共同研究者 | 宮部 豪人 |
企業との協業に何を期待するか?
本技術を基盤とした医薬品、農薬、化成品などの研究開発における協業
本研究の問い合わせ先
兵庫医科大学 学務部 研究協力課
E-mail: chizai@hyo-med.ac.jp
Tel: 0798-45-6488