既存薬活性代謝体を活用した革新的膀胱癌治療薬創製
情報更新日 2019年12月20日
シーズ情報
キーワード
膀胱癌 薬物療法 代謝体 予防 ナフトピジル
分野
がん 泌尿器
概要
我々は、α1ブロッカー型経⼝排尿障害治療薬であるナフトピジルが膀胱癌に対して抗腫瘍効果を示すことを既に明らかにしてきた。今回、ナフトピジルおよびその代謝体の抗腫瘍活性の構造活性相関を検討した結果、主要代謝体である1-(4-hydroxy-2-methoxyphenyl)piperazin-1-yl)-3-(naphthalen-1-yloxy) propan-2-ol (HUHS190と命名)が正常細胞に対する作用選択制をもった抗腫瘍活性を示すことを見出した。HUHS190は親水性が高く、膀胱癌内注入に適していると考えられるだけでなく、経口投与後の血中濃度も十分高いことから、経口治療薬としても適していると考えられる。HUHS190はin vitroレベルでは膀胱癌のみならず前立腺癌や腎癌に対しても抗腫瘍活性を示した。膀胱癌同所性移植モデルに対して臨床使用の際に想定される薬物投与経路である膀胱内注入での抗腫瘍活性を検討した結果、膀胱癌薬物治療のゴールドスタンダードであるBCGやピラビシンに優る抗腫瘍活性を示した。一方、明確な副作用は認められなかった。
何が新しいか?
- 排尿障害治療薬ナフトピジルの主要活性代謝体の膀胱癌に対する抗腫瘍効果をin vivoレベルで実証した
- さらに、前立腺癌、腎癌に対する抗腫瘍効果をin vitroレベルで実証した
他の研究に対する優位性は何か?
- 新規抗膀胱癌ADCペイロードとしてHUHS190が親水性、安全性の観点から優れている
- 経口投与されたナフトピジルは未変化体、代謝体(HUHS190)ともに腎排泄されることから、本剤を服用している前立腺肥大患者の膀胱癌移行を予防できる
どのような課題の解決に役立つか?
- HUHS190をペイロードとした新規膀胱癌ADC(抗体薬物複合体)薬など既存薬に優る抗腫瘍活性および少ない副作用を示す新規膀胱癌治療薬の創製
- ナフトピジル服用による膀胱癌予防
他への応用・展開の可能性
前立腺癌や腎癌など他がん種の治療薬創製への応用・展開
関連する特許
- 新規抗がん剤 特許第6590195号(P6590195)
研究者情報
氏名 | 後藤 章暢(ゴトウ アキノブ) |
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所属 | 兵庫医科大学 先端医学研究所 細胞・遺伝子治療部門 |
リンク | 研究室HP |
学内共同研究者 | 松永 渉、田中 明人、馬渕 美雪 |
企業との協業に何を期待するか?
以下の課題での協業を期待する
- HUHS190をペイロードとした新規膀胱癌ADC(抗体薬物複合体)薬など既存薬に優る抗腫瘍活性および少ない副作用を示す新規膀胱癌治療薬の創製
- ナフトピジル服用による膀胱癌予防
本研究の問い合わせ先
兵庫医科大学 学務部 研究協力課
E-mail: chizai@hyo-med.ac.jp
Tel: 0798-45-6488