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がんIVR治療と免疫療法を組み合わせた、新しい治療戦略の開発

情報更新日 2020年1月7日

シーズ情報

キーワード

IVR ラジオ波凝固治療 凍結治療 動脈塞栓術 門脈塞栓術 免疫治療 免疫チェックポイント 低酸素応答 低酸素誘導因子 ドラッグデリバリー

分野

医薬/医療機器 バイオ

概要

Interventional Radiology (IVR)とは、放射線医学の一分野であり、画像診断機器を用いて行う低侵襲医療のことである。代表的なIVR治療として、固形癌に対する動脈塞栓術(Transcatheter arterial embolization, TAE)やアブレーション治療等が挙げられる。

IVR治療後には、局所にとどまる壊死癌細胞が腫瘍抗原供給源となることにより惹起される腫瘍特異的免疫応答や局所炎症により誘導される種々のサイトカインやケモカインにより、腫瘍微小環境における免疫バランスが変化しうる。

我々は、固形癌に対する新しいIVR治療戦略を開発することを目指して、IVR治療後の免疫バランス変化に焦点をあてた研究を進めたところ、IVR治療後の低酸素刺激によりがん免疫逃避機構が助長されることを見出した。 

現在、この現象を基盤とした新しい治療戦略確立を目指している。あわせて、そのために必要となる新たなドラッグデリバリーシステム(DDS)を開発中である。

何が新しいか?

  • IVR治療後の低酸素刺激により、低酸素誘導因子(Hypoxia inducible factor, HIF)依存的にPD-L1やCCL17が発現誘導され、がんの免疫逃避機構を助長することを見出した
  • IVRが腫瘍微小環境や免疫応答に与える影響に関するこの独自の知見に基づき、従来の免疫療法とIVR治療の組み合わせがより効果の高い新しい治療戦略となりうる可能性を着想した
  • IVRの技術を用いることで、内臓動脈にマイクロカテーテルを挿入して様々なモダリティ(薬剤、核酸、細胞等)を臓器選択的に注入したり、超音波ガイド下に細径針を刺し入れて任意の標的に様々なモダリティ(薬剤、核酸、細胞等)を局所注入することが可能であることを実証した
  • さらに、本研究に関連して、細径ラジオ波電極針、薬剤徐放性塞栓物質、担癌ラット光イメージングモデル等の開発も行っており、がんIVR治療の研究以外にも広く応用可能である

他の研究に対する優位性は何か?

戦略の優位性

  • IVR治療後のがんの免疫逃避機構助長というオリジナルの知見 に基づいた新規治療戦略を策定できる


方法論の優位性

  • IVRの技術を用いた新たなDDSにより、肝臓や腎臓等の臓器に選択的に様々なモダリティ(薬剤、核酸、細胞等)の投与を可能とした
  • 従来のマウス皮下腫瘍モデルとは異なり、ラットを用いた同所移植担癌モデルを用いた研究を行っており、より実際の疾患に近いモデルでの研究を行っている
  • ラット肝癌細胞株に蛍光および発光遺伝子を導入した担癌ラット光イメージングモデルを開発しており、がんの進行や治療の効果をIn vivo imaging system (IVIS)により非侵襲的に評価することができる

どのような課題の解決に役立つか?

  • 固形癌に対する新しいIVR治療戦略の開発
  • 免疫治療の治療効果改善や新規治療戦略の開発

他への応用・展開の可能性

  • IVRの技術を用いた新たなDDSにより、肝臓and/or腎に対して臓器選択的に様々なモダリティ(薬剤、核酸、細胞等)の投与を可能としたことにより、悪性腫瘍のみならず代謝性疾患や肝硬変、腎不全など、種々の疾患の治療法開発に応用できる
  • 同様に、肝臓、腎臓の再生医療への応用も期待できる

関連する論文

  1. Ueshima E, Takaki H,  et al. Hepatic Artery Embolization Induces the Local Overexpression of Transforming Growth Factor β1 in a Rat Hepatoma Model. Liver Cancer 2019 (in press)
  2. Avritscher R, Takaki H, et al. Hepatic Arterial Bland Embolization Increases Th17 Cell Infiltration in a Syngeneic Rat Model of Hepatocellular Carcinoma. Cardiovasc Intervent Radiol. 2019 Oct 7.
  3. Hypoxic stress induces the overexpression of programmed death ligand 1 and chemokine ligand 17 on rat hepatoma cell lines. J Vasc Interv Radiol, 2019 29(4), S188–S189
  4. Srimathveeravalli G, Takaki H, et al. Reversible Electroporation-Mediated Liposomal Doxorubicin Delivery to Tumors Can Be Monitored With (89)Zr-Labeled Reporter Nanoparticles.Mol Imaging. 2018 Jan-Dec;17:1536012117749726.
  5. Takaki H, et al. Thermal ablation and immunomodulation: From preclinical experiments to clinical trials. Diagn Interv Imaging. 2017 Sep;98(9):651-659. 
  6. Takaki H, et al. Peripheral Blood Regulatory T-Cell and Type 1 Helper T-Cell Population Decrease after Hepatic Artery Embolization. J Vasc Interv Radiol. 2016;27:1561-8.

参考図表

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研究者情報

氏名

高木 治行(タカキ ハルユキ)

所属 兵庫医科大学 医学研究科 放射線医学講座
専門分野 放射線医学 Interventional Radiology
リンク 研究室HP Research Map
学内共同研究者 平田 豊、児玉 大志、山門 亨一郎

企業との協業に何を期待するか?

がんのInterventional Radiology治療に関する新たな治療戦略の開発(抗体医療、核酸医療等との併用)や、新規デバイスの開発(塞栓物質、アブレーションデバイス等)の研究開発で協業してほしい。

本研究の問い合わせ先

学務部 研究協力課
E-mail: chizai@hyo-med.ac.jp

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