疾患モデル動物を用いた独自の創薬標的分子解析法の確立
(2) 新規NASHモデルマウスを用いた創薬標的分子の探索
情報更新日 2019年12月27日
シーズ情報
キーワード
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD) 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH) 疾患モデル動物
分野
免疫・炎症
概要
高齢化や生活習慣の変化に伴い患者数が急増、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は約1000万人(国内)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は200万人(同)と推定されている。NASHは遊離脂肪酸の脂肪毒性による肝細胞傷害や炎症、線維化により発症、予後は不良であり、有効な新規薬剤へのニーズは高い。もっとも重要な因子は肥満であるが、臨床的に肥満症と相関の無いNAFLD患者も少なからず存在し、進展・予後に未知の多様な因子が存在する可能性がある。
我々は、独自に開発した遺伝子改変マウスが、普通食で加齢に伴いNAFLD*1からNASH*2さらに肝細胞がんHCC*3を発症することを見出した。病理組織の解析から、肝細胞の脂肪変性、炎症性細胞の浸潤、繊維化などNAFLD/NASH様に応じた肝組織病変が確認された。
治療・創薬標的の可能性のある細胞を見出しており、現在その創薬標的の妥当性を検証中である。 なお、本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の創薬総合支援事業(創薬ブースター事業)の支援を受け研究を進めている。
1. 非アルコール性脂肪性肝疾患:nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD
2. 非アルコール性脂肪性肝炎:nonalcoholic steatohepatitis:NASH
3. 肝細胞がん:hepatocellular carcinoma:HCC
何が新しいか?
また、候補標的細胞とNAFLD/NASHとの関連性を示す報告はなく、NAFLD/NASHの新たな創薬標的である。
他の研究に対する優位性は何か?
ヒトの臨床病態とよく一致した症状を示す自然発症のNAFLD/NASHの病態モデルマウスを保有しており、創薬標的や診断バイオマーカーの探索、標的妥当性の検証、さらに治療薬の評価が可能である。
NAFLD/NASHの治療薬に繋がる可能性がある標的細胞を見出しており、治療薬の創製を目指した研究が可能である。
どのような課題の解決に役立つか?
NASHは、治療方法が未確立の疾患の一つであり、新たな治療薬の創成が求められている。しかしながら、ヒトの病態を反映する良いモデルマウスやバイオマーカーが無く、新規治療薬の創製が困難の一因となっている。本研究は、これらの課題解決に繋がることが期待される。
研究者情報
氏名 | 大村谷 昌樹(オオムラヤ マサキ) |
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所属 | 兵庫医科大学 遺伝学 |
専門分野 | 遺伝学 |
リンク | 研究室HP |
学内共同研究者 | 西浦 弘志、山根木 康嗣、今坂 舞 |
企業との協業に何を期待するか?
創薬を目指した共同研究により、化合物スクリーニングや化合物の最適化などで協業して欲しい
本研究の問い合わせ先
兵庫医科大学 学務部 研究協力課
E-mail: chizai@hyo-med.ac.jp
Tel: 0798-45-6488