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本学研究医コース所属学生の研究論文が
アルコール研究分野において国際的に権威のある学術誌に掲載

医学部5年次生 研究医コース所属の江川可純さんが筆頭著者として執筆した英語論文が、2018年11月20日、アルコール研究分野において国際的に権威ある学術誌「Alcohol and Alcoholism」に掲載されました。

江川さんは、生活習慣病に関連した研究(※1)を行っている環境予防医学講座にて3年次から研究を開始し、4年次から同講座の研究医コースに所属。丸茂准教授の指導のもと本格的な実験および研究を行い、多数の学会で発表を経験する中で今回の論文執筆に至りました。
※1 特に動脈硬化のリスク要因や病態に関連した研究

研究テーマは、「血液のずり応力(※2)によって誘発される血小板血栓形成のアルコールによる阻害」。血流下における血液の血栓形成能力を解析する装置を用い、アルコール負荷を受けている血小板の機能がどのように変化するのかをアルコールの濃度を変えながら観察しました。その結果、血液のずり応力の存在下で、アルコールが血栓形成を阻害し、特にずり応力が加わる初期の段階での抑制効果が顕著であることを明らかにしました。
※2 物体内部のある面の平行方向に、すべらせるように作用する抵抗力


5年次 江川可純さん(前列)
若林主任教授(後列左)、丸茂准教授(後列右)

研究背景

お酒を全く飲まない人よりも少量から中程度の量を飲む人の方が、虚血性心疾患や虚血性脳卒中などの動脈の閉塞によって生じる疾患のリスクが低いことがこれまでの研究で明らかになっており、アルコール摂取が血液の凝固に影響し、血小板機能を抑制することが知られていましたが、その詳細なメカニズムは不明でした。そこで、生理学的条件下でのアルコールの血小板凝集への影響に着目し、その機構を解明すべく本研究を始めました。

研究の手法

健常人より採取した血液に、異なる濃度のアルコールを添加したサンプルを作成。作成したサンプルを強さの異なるずり応力の存在下で観察し、血栓形成の時間経過とそれに対するアルコールの効果を評価しました。
※兵庫医科大学倫理審査委員会(第1799号)の承認済み


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図1 エタノール投与無し
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図2 エタノール投与時

図:ずり応力を負荷した際の血小板凝集(画面の白い粒状のものが血小板凝集塊)
動脈硬化の進行した病的血管を模したチャンバー内で、1500 s-1のずり速度にて中程度のずり応力を負荷した際の血小板凝集の比較(図1,2)。エタノール投与無しのときに比べ、エタノール投与により血小板凝集塊が少なくなっていることがわかる。


在学生&担当教員コメント

5年次 研究医コース所属 江川 可純さん
放課後や長期休暇、また研究医コースの制度を利用して毎日のように研究室に通い、やってきたことが形になってとても嬉しいです。若林主任教授、丸茂准教授に優しくご指導いただき、研究の楽しさ、難しさを実感することができました。学生のうちからこのような貴重な経験をさせていただくことができ大変感謝しております。

丸茂 幹雄 准教授(環境予防医学)
動脈での血小板活性化にはずり応力の関与が大きいことが知られています。今回このような生理的な環境下で早期の血栓形成にエタノールが直接的に関与していることを世界で初めて報告できたのは、江川さんが地道な努力を重ねてきたおかげだと考えています。本学の研究医コースでは、学生のうちから自分が得た成果を世界に向けて発信することも可能です。興味のある学生さんはぜひ研究室を訪ねてきてください。

若林 一郎 主任教授(環境予防医学)
本研究は、丸茂准教授がこれまでに精力的に行ってきた血小板機能へのアルコールの作用についての研究を発展させたもので、本学研究医コースの学生が初めて国際専門誌に発表した原著論文という意味で意義深いものです。本学は医科大学の中でも有数の優れた研究環境を有していますので、これからもリサーチマインドのある学生によるハイレベルな研究成果が発表されることを期待しています。


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論題

Inhibition by Ethanol of Shear Stress-Induced Formation of Platelet Thrombi in Whole Blood

著者

江川 可純(兵庫医科大学 医学部5年次)、丸茂 幹雄(兵庫医科大学 環境予防医学 准教授)、若林 一郎(兵庫医科大学 環境予防医学 主任教授)

掲載紙

Alcohol and Alcoholism」(20 Nov,2018)

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