医学部医学科
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兵庫医科大学医学会

内科学(消化管科)

研究内容・専門分野

当科は消化管疾患、主に消化器領域の癌や難病を対象とした診断と治療を行っています。
特に専門としている分野は下記の通りです。

  1. 早期咽頭癌、早期食道癌、早期胃癌の内視鏡的治療(粘膜下層剥離術)
  2. 止血・胃瘻などの内視鏡を使用した処置
  3. 胃食道逆流症(逆流性食道炎)の診断と治療(酸灌流試験、バロスタット検査)
  4. バレット食道の診断と治療
  5. 機能性胃腸症(ディスペプシア)の診断と治療
  6. 食道アカラシアの診断と治療(24時間pHモニタリング、high resolution manometry)
  7. ヘリコバクターピロリ感染症の診断と治療
  8. 十二指腸腺腫に対する内視鏡治療
  9. 消化管粘膜下腫瘍の診断と治療 (EUS-FNAと切開生検)
  10. 進行消化管癌(食道・胃・十二指腸・小腸・大腸・GISTなど)に対する化学療法
  11. 炎症性腸疾患の診断と治療
  12. 鎮静下内視鏡、細径内視鏡、経鼻内視鏡による苦痛軽減の工夫
  13. 薬剤性消化管粘膜傷害に対する治療
  14. 早期大腸癌の診断と内視鏡的治療(ポリペクトミー、粘膜切除術、粘膜下層剥離術)
  15. ダブルバルーン小腸内視鏡による診断と治療
  16. 小腸および大腸カプセル内視鏡を用いた診断
  17. 消化管造影検査による診断
  18. 過敏性腸症候群の診断と治療
  19. 便秘の診断と治療

これらを専門としており、特に逆流性食道炎・ディスペプシア・過敏性腸諸侯群や便秘に関しては本邦の中心メンバーの一員となってガイドライン作成にも従事しております。また、24時間pHモニタリングやhigh resolution manometryでは海外から検査を見学しに来ます。内視鏡治療に関しましても海外でデモンストレーションを行っております。消化管癌の薬物療法では先進医療や治験にも積極的に参加しております。当科のホームページなどで先進医療の情報も公開しております。


  1. 機能性消化管疾患の基礎的・臨床的研究
    • 機能性ディスペプシアは複数の原因による症候群であるため、病態は複雑で、胃底部の適応性弛緩不全、胃排出遅延、知覚過敏、社会心理的因子、胃酸、 Helicobacter pylori (H.pylori)感染、遺伝的要因などが考えられている。我々はそれぞれの因子と症状発現の関連を基礎的・臨床的に検討している。
    • 胃底部の適応性弛緩不全、胃排出能障害については、胃シンチグラフィ、胃バロスタット検査による病態把握を試みている。
    • 機能性ディスペプシアと過敏性腸症候群は合併することもあることからそれぞれの治療に有効な薬剤がそれぞれの病態の症状に与える影響について臨床試験を行っている。
    • 機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群に対する種々の薬剤の治療効果を二重盲検試験等による臨床試験によって検証している。
    • 食道アカラシアなどの機能性食道疾患に対して食道内圧測定検査等の専門的な検査を行い、またバルーン拡張治療を行っている。
  2. 消化管癌の化学療法
    • 食道癌、胃癌をはじめ上部消化管疾患のなかで、悪性腫瘍は大きな比重を占める。 早期診断により低浸襲性治療の恩恵を受ける患者さんがおられる一方で、手術ができない進行癌で発見される患者さんも多い。 最近は殺細胞性抗がん剤だけでなく、分子標的製剤や免疫チェックポイント阻害薬の使用が2次治療以降で使用され、生存期間の延長に期待されている。しかし、大腸がんと比較すると依然十分であるとは言えず、新規薬剤あるいは新規投与法の臨床試験を行っている。
    • 種々の抗がん剤による安全性と有効性を検討することにより患者さんのさらなるQOL改善を目指した治療法の開発に取り組んでいる。特に最近は高齢者の治療が増えており、副作用が強くでる可能性を考慮し、G8 scoreを含めた薬物投与前の全身状態を十分把握したうえでの加療を行っている。
  3. 胃食道逆流症における臨床的検討と食道粘膜防御機構の基礎的検討
    • 胃食道逆流症は、従来欧米に多いと言われていたが、近年の生活習慣の欧米化、酸分泌能の増加、Helicobacter pylori (H.pylori) 感染率の低下、肥満の増加などから、わが国においても増加傾向にある。またQOLが著しく低下していることが指摘されており、より効果的な治療法の開発が必要であり、種々の薬剤の治療効果を臨床試験によって検証している。
    • 胃食道逆流症におけるびらんを認めない非びらん性胃食道逆流症などの病態において食道知覚異常が指摘されており、酸灌流試験、食道バロスタット検査、食道電気刺激検査により病態解明を試みている。さらに食道粘膜における痛みに関連する蛋白の発現解析を基礎的に検討している。
    • この症状発現メカニズムとして酸や胆汁酸の重要性が指摘されているが、これらの逆流による上皮のバリア機能低下が胸やけや食道知覚異常などの症状発生に関与している可能性があり、正常ヒト食道扁平上皮細胞層モデルを開発し、種々の刺激の食道粘膜上皮のバリア機能への影響とバリア機能に重要な細胞層とタイト結合蛋白の同定を試みている。
  4. 早期癌の内視鏡的粘膜下層剥離術
    • 近年、早期癌の治療として内視鏡的粘膜下層剥離術が普及し、我々も積極的に治療を行っている。本治療では、これまでの粘膜切除術に比し穿孔や出血などの術中・術後合併症が問題となりその要因の解析や、切除後の止血術や薬物投与法など術後の出血予防に必要な事項につき検討を行っている。さらに異時性多発についても重要な問題でありその要因・制御の検討を行っている。
    • 胃癌と胃腺腫はその発生について今なお多くの議論が有り、近年、胃粘液形質の違いなどから多くの検討が行われている。我々は、増殖と転移に関連する可能性のある細胞間接着装置に着目し、その発現と腺腫・癌との関連を検証している。
    • 十二指腸腺腫に対する内視鏡的粘膜下層剥離術は有害事象の発生率が高いことが問題である。いかに安全に、かつ確実に治療ができるかが大事である。そこで、Cold polypectomyの有効性・安全性について多施設で研究を開始している。

臨床研究

≪研究課題1≫ 内蔵知覚過敏あるいは上腹部症状の病態に関する研究

【実施期間】
2015年8月〜2020年7月31日

【対象となる患者さん】
機能性ディスペプシア
非びらん性胃食道逆流症

【研究の要旨】
機能性ディスペプシアや、非びらん性胃食道逆流症患者さんの上腹部症状発現メカニズムには、内臓知覚過敏が関与していることが分かっています。その内臓知覚過敏には、消化管粘膜における各種痛み関連受容体の発現変化、あるいはプロスタグランジンを代表とする炎症性メディエータの発現変化により生じている可能性が大きいと考えられていますが、いまだその詳細は分かっておりません。
今回、内臓知覚過敏あるいは上腹部症状がみられる患者さんの、消化管組織中に、痛み感受性受容体や、各種炎症性メディエータの発現に変化があるのかどうかを解析します。この研究により、内臓知覚過敏あるいは上腹部症状の病態解明と、さらに治療へ発展するシーズを検索することを目的としております。この研究は、既に本大学倫理審査委員会で承認された研究(倫ヒ第977号)の継続でもあり、以前、採取した検体も使用し解析を行わせて頂いております。

【実施責任者・担当者】
三輪 洋人(実施責任者)、近藤 隆(実務責任者)

【研究の問い合わせ先】
兵庫医科大学 内科学消化管科 0798 (45) 6111(代)

≪研究課題2≫10mm以下の十二指腸非乳頭部上皮性腫瘍に対するCold Snare Polypectomyの有効性および安全性に関する非ランダム化検証的試験

【実施期間】
2018年3月~2020年3月31日

【対象となる患者さん】
内視鏡検査を行い、10mm以下の十二指腸腫瘍(腺腫)と診断された患者さん

【研究の要旨】
十二指腸腫瘍ではサイズが大きくなったり、がんが進行すると外科手術が必要となりますが、10mm以下の十二指腸腫瘍のように転移の可能性が極めて低いものに対しては、外科手術よりも身体への負担が少なく、術後の胃機能温存の観点からも有用性が高い治療法である内視鏡切除が一般的に選択されています。しかし内視鏡切除の方法には様々な方法があり、胃や大腸などで一般的に行われているESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)やEMR(内視鏡的粘膜切除術)はいずれも通電を行うことにより切除する方法ですが、十二指腸では術後の出血や穿孔(壁に穴が空くこと)が他の臓器より多いことが知られており、現時点で定まった治療方法はなく、種々の方法による内視鏡切除、経過観察、外科切除などが施設または医師の判断により、個々の症例毎にケースバイケースで行われているのが現状です。これまではスネアと呼ばれる金属の輪でポリープの根元をしめた後に通電してポリープを切除してきました。
近年大腸では通電せずにポリープを切除する方法(コールドスネアポリペクトミー:CSP)の安全性および有効性が報告され、現在10mm以下の大腸腺腫に対して第一選択の治療法となっています。この臨床研究でもCSPを十二指腸で行います。CSPにより、術後の出血や穿孔などの偶発症が大腸と同様に十二指腸においてもより少なくなり、かつ有効性も大きな差がなければ、十二指腸においてCSPは安全かつ有用な方法であるということになり、患者さんの治療に伴う身体的負担が軽減するものと考え、全国123施設の共同研究に当科も参加しています。

【実施責任者・担当者】
三輪 洋人(実施責任者)、冨田 寿彦(研究担当者)

【研究の問い合わせ先】
兵庫医科大学 内科学消化管科 0798 (45) 6111(代)

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三輪 洋人 主任教授
主任教授| 三輪 洋人
専門分野:消化管疾患
教授| 渡 二郎
准教授| 福井 広一、大島 忠之
講師| 冨田 寿彦(兼務)
TEL| 0798-45-6665
FAX| 0798-45-6661

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