医学部医学科
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兵庫医科大学医学会

外科学(上部消化管外科)

講座(部署)紹介

  1. 医療光学技術の進歩に対応した局所臨床解剖の解明
  2. 人工知能(Ai)を活用したロボット手術あるいは自動手術の開発に向けた研究
  3. 食道・胃悪性疾患に対する手術術式の開発と集学的治療による予後改善に向けた研究
  4. 食道癌術後のQOL向上を目指した生理学的研究
  5. 腫瘍浸潤性免疫細胞に関する研究
  6. 胃癌治療に関する多施設共同臨床研究
  7. 高度肥満症とその関連健康障害に対する代謝手術の効果に関する研究

研究の現状

概要

当科では、食道・胃・十二指腸からなる上部消化管の外科的疾患に対し、より高精度で安全な手術術式や、化学療法、免疫療法と組み合わせた集学的治療の開発を目指して基礎的、臨床的研究を行っている。外科学の進むべき方向を意識しながら新しい変化に対応し、成果を世界に発信することができる国際性豊かな外科医を育成することを目標としている。

主題

  1. 上部消化管の局所臨床解剖の解明と検証
    近年、進歩した光学技術の導入によって、消化器外科手術は過去に例をみない速さで高度化している。とくに高精細内視鏡がもたらす解像度の高い鮮明な画像によって、従来の古典的解剖学をはるかに凌駕する情報が得られるようになったが、外科医の知識はいまだ追いついていない。これまで内視鏡手術を通じて蓄積してきた消化管、とくに食道、胃の生体における微細解剖を、腸間膜の共通構造の観点から整理しつつ、最新の画像診断技術や形態学的検索法を駆使して検証、可視化し、新しい消化器解剖図を作成することを目指す。
  2. 人工知能(AI)を活用した手術の開発に向けた基礎的研究
    現在いくつかの分野で、人工知能(artificial intelligence、AI)を使ったロボット化、自動化が試みられている。消化器外科の分野でも手術ロボット「da Vinci」が臨床で使われ始め、腹腔鏡手術の弱点である鉗子動作の制限や手振れ、二次元環境での操作といった弱点を克服する革新的手術として注目されている。将来的には患者個々の解剖情報や腫瘍の状態をAIが判読し、あたかも3Dプリンターでものを形成するように最適な層で剥離、切離し対象臓器を摘出する“自動手術”が実現することも期待される。そのような時代に向け、産学あるいは医工連携で基礎的研究を行う。
  3. 食道胃接合部癌の総合的治療戦略に関する研究
    近年、胃食道接合部癌が増加傾向にある.同部は胸腔と腹腔の境界に存在し手術操作が深くなること、目印となる臓器が少なくリンパ節郭清の範囲設定が難しいこと、再建が困難なことより、難易度の高い手術とされ最近注目の分野である.同部の解剖の探求、解剖に基づいた手術手技の確立、手術の効果を最大限に高めるための術前・術後化学療法の開発など、食道胃接合部癌の総合的治療戦略を研究する。
  4. 進行胃癌における腫瘍浸潤性免疫細胞に関する研究
    現在進行胃癌において、T細胞上に発現するprogrammed cell death-1(PD-1)をターゲットとした免疫チェックポイント阻害薬が三次以降の化学療法として標準治療となっている。今後、様々な免疫細胞をターゲットとした治療法が期待されている。当科では、上部消化器癌の原発/転移巣での腫瘍浸潤免疫細胞(主に制御性T細胞)の数量・機能を解析する事で、新たな治療ターゲット分子の探索や、集学的治療での治療効果のバイオマーカーとしての可能性を検討している。
  5. 食道癌術後嚥下機能評価と誤嚥性肺炎に関する生理学的研究
    食道癌術後の誤嚥性肺炎は短期・長期成績に影響するとされている 。この対策として、 “手術手技”と“周術期管理”の向上が求められる. 生理学講座・リハビリ科との共同研究として、 食道癌術後の嚥下機能と誤嚥性肺炎を評価し、 これらを改善・予防する周術期の新しい管理法を構築する。
  6. 胃癌治療に関する多施設共同臨床研究
    2018年4月より臨床研究法が施行され、より厳格な研究計画・実施が必要とされている。当科では法令を遵守し、多施設共同で複数のランダム化比較第3相試験を実施している。より精緻で患者侵襲の少ない手術を目指し、臨床病期I 期胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術の開腹幽門側胃切除に対する非劣性試験を行っている。腫瘍学的根治性を追求し、深達度SS/SE の切除可能胃癌に対する網嚢切除の意義について検証している。80歳以上の高齢者における補助化学療法の有用性は不確定であり、病理学的Stage2/3の高齢者胃癌に対してTS-1の術後補助化学療法の有効性の検証を進めている。また、局所進行胃癌における術前からの補助化学療法の効果を検証するため、術後補助化学療法に対する術前(TS-1+オキサリプラチン)療法を加えた周術期化学療法の優越性試験ならびに根治切除可能な大型3型・4型胃癌に対する術前(TS-1+シスプラチン)併用療法による優越性試験を実施している。
  7. 高度肥満症とその関連健康障害に対する代謝手術の効果に関する研究
    近年、腹腔鏡手術の進歩に伴い、高度肥満症に対する外科療法が再び注目を集めている。代表的な術式であるスリーブ状胃切除術は減量効果のみならず、糖尿病に対する治療効果も高いとされているが、その機序は十分には解明されていない。従来から行われてきたルーYバイパス術も含め、治療効果のさらなる向上を目指した術式の開発を行う。

自己評価・点検及び将来の展望

当講座ではこれまで、上部消化管の悪性腫瘍、特に食道癌、胃癌の外科治療に関する研究を最重点課題として行ってきた。現在、疾患構造の変化と内科的治療法の進歩に伴い、手術適応となる胃癌の症例数は全国的に減少傾向にある。そうした中、最近のトピックスは1)ロボット手術の普及、2)食道胃接合部癌の治療開発、2)化学療法、免疫療法などの集学的治療の進歩に伴うコンバージョン手術の拡大、3)増加する高齢者胃癌への対応、であろう。食道癌に対しても今後ロボット手術が導入され、短期、長期予後のさらなる改善が期待される。また、悪性疾患以外では、糖尿病などの難治性合併症を有する高度肥満症患者に対する減量手術の社会的ニーズも高まることが予想される。臨床に携わる者ならではの発想で、10年後の外科医療を夢想しながら、時代を見据えた医学研究を進めていきたい。

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篠原 尚 主任教授
責任者|
篠原 尚(主任教授)
専門分野:消化器外科学・臨床解剖学・腫瘍外科学
講師| 石田 善敬、倉橋 康典、仁和 浩貴
TEL| 0798-45-6767
FAX| 0798-45-6764

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