医学部医学科
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兵庫医科大学医学会

外科学(肝・胆・膵外科)

講座(部署)紹介

消化器のなかで肝臓・胆道・膵臓・脾臓などの実質臓器における疾病の治療、研究を行っている。膵癌、肝癌、胆道癌による死亡数は癌死亡のうち全体の4位から6位になるが、合計すると肺癌を上回る。また、10年生存率は、胆道癌16.2%、肝癌14.6%、膵癌5.4%と最も低率である。つまり、肝胆膵癌は最も難治癌といえるが、ますます進む超高齢化社会において、「体への負担の少ない治療法」で 、進行がんを「治す」ことが要求されている。
そこで我々は以下をモットーに臨床および研究を実践している。
  • チーム医療による集学的治療
  • 腹腔鏡下手術を中心とした低侵襲手術
  • 蛍光ナビゲーションサージェリーを応用した安全性を追求した精密な手術
  • 患者さんの予後とQOL改善を目的とした臨床研究と基礎研究

研究の現状

概要
難治癌である肝胆膵癌の患者さんの予後とQOL改善を目的とした臨床研究と基礎研究を行っている。


主題
  1. 蛍光ナビゲーションサージェリーの研究:
    インドシアニングリーンの近赤外光で励起すると蛍光を発する現象を用いて、肝切除時における腫瘍の存在位置の同定、肝切離ラインの決定のナビゲーションとして、開腹、腹腔鏡下手術にて応用している。
  2. 肝癌における術中造影超音波の研究:
    術中造影超音波検査の造影パターンと組織学的脈管浸潤、細胞増殖を促すSulfataseの発現との関連を明らかにすることで術式選択、術後補助療法の適応の一助としている。
  3. 人工知能を用いた手術ナビゲーションシステムの研究:
    手術動画から得られる情報を人工知能による深層学習にて解析し、ベテラン外科医の暗黙知を学習させ、肝切除ナビゲーションシステムを開発中である。
  4. 膵手術後の合併症低下に向けた研究:
    膵切除後の膵液漏や遅発性動脈出血は致命的になる可能性がある。軟らかい膵臓は膵液漏の高リスクであるが、触診上の判断で客観性に乏しい。よって術中超音波エラストグラフィーを用いた膵液瘻予測の研究を進行中である。また、膵手術後は膵液漏のモニタリングや治療のため、ドレーンを留置することが一般的である。しかし必要のないドレーンは、逆行性感染のリスクとなる。 膵液漏予測、ドレーン抜去基準の検証、ドレーン非留置の適応に関する後向き、前向き研究を行っている。
  5. 術後腸管癒着形成に関する研究:
    免疫学教室との共同研究で、手術時の組織傷害部位におけるNKT細胞から産生されたIFN-がSTAT1を介して凝固系因子のひとつであるPAI-1の発現を増強させ、癒着形成を促進させるメカニズムを解明して報告した(Nature Medicine 2008)。これらの腸管癒着形成の研究結果を発展させ、新規治療薬の開発に関する研究を継続している。また、超音波を用いた術前癒着診断に関する共同研究も行っている。
  6. 分子標的治療薬の有害事象対策の研究:
    今後、様々な薬物療法が肝胆膵癌に導入されるが、集学的治療の実践には有害事象の対策が肝要である。有害事象のメカニズムを明らかにすることを目的に分子標的治療薬の動物実験モデルを作成している。


自己評価・点検および将来の展望
進行肝胆膵癌の予後向上には、より精緻で安全な手術を追求する必要がある。なぜなら、進行肝胆膵癌の治癒には外科切除が必要であるが、より高度な技能が要求されるのみならず、手術の安全性も担保しなければならない。超高齢者にはより低侵襲で過不足ない手術が要求される。ただし、手術のみで治癒を導くのは困難で、術前、術後の薬物療法やIVRを応用した集学的治療アプローチが要求され、今後は患者の背景に応じて癌の遺伝子情報を用いたprecision medicineを外科に応用する必要がある。
腹腔鏡下手術による低侵襲化、ロボットによるより精緻な手術の次の時代の外科には、患者情報、癌の遺伝子情報、術前画像や手術画像の解析などの情報をAIを用いて患者個人の最適な手術を提供する「DIGITAL SURGERY」の時代となる。積極的な共同研究を通じて次世代外科に貢献したい。

教授| 波多野 悦朗
准教授| 平野 公通(兼任)
講師| 岡田 敏弘、宇山 直樹、鈴村 和大、中村 育夫
TEL| 0798-45-6582
FAX| 0798-45-6581

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