医学部医学科
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兵庫医科大学医学会

内科学(糖尿病・内分泌・代謝科)

講座(部署)紹介

糖尿病・内分泌・代謝科は、糖尿病科と内分泌・代謝科が平成25年度に統合・発足し、平成27年には診療部門も完全に統合した。本講座は、内科学の中で、糖尿病(1型、2型、内分泌性、膵性、肝性、遺伝性、妊娠)、糖尿病性急性合併症(低血糖、ケトアシドーシス、高浸透圧性昏睡、乳酸アシドーシス)、糖尿病性微小血管合併症(網膜症、腎症、神経障害)、糖尿病性大血管合併症(冠動脈疾患、脳血管疾患、末梢動脈疾患)、内分泌疾患(間脳・下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎、性腺)、水・電解質代謝異常(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム)、難治性高血圧、肥満、メタボリックシンドローム、脂質異常症、プリン・ピリミジン代謝異常、栄養障害、遺伝性内分泌代謝疾患など多岐にわたる疾患領域の教育・研究・臨床を担当している。最近では、認知症、睡眠・疲労やストレス応答などの脳神経機能と糖尿病・内分泌・代謝疾患の関連に注目し、神経内分泌・代謝学と呼ぶべき新しい内科学領域にも力を注いでいる。

このような担当疾患領域から私達の講座の特徴をまとめると、内科学の中でも基礎医学に近く、病態理解が重視されること、専門・特殊医学と一般内科学のバランスが要求されることである。具体的には、以下の特徴が挙げられる。

  1. 糖・脂質エネルギー代謝、電解質代謝など基礎と臨床医学の橋渡し
  2. 糖尿病・内分泌・代謝疾患の中核施設として、希少疾患も豊富で実臨床に根ざした内科学の教育・研究にかかわること
  3. 糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満、慢性腎臓病、甲状腺疾患など、ジェネラリストとして対応すべき疾患領域を担当していること
  4. 臨床・基礎研究を通じた国際的研究成果の発信と、臨床医学への応用

研究の現状

概要

大学院講座は2016年度4月1日から、糖尿病学と内分泌・代謝学が統合され、糖尿病・内分泌・代謝学として新たなスタートを切った。研究グループとしても、糖尿病研究グループと内分泌・代謝研究グループが独自性の高い研究成果を発信し続けている。現在教員9名、研究医3名、大学院生12名、研究補助員5名の体制で、学外の多くの施設と共同研究を推進している。
特に2019年4月にスタートした兵庫医科大学内の横断的研究グループによる「脳内ストレス顕在化の評価を通じた疾病予防戦略と実装」と題した、Hyogo Innovative Challenge (HIC)プロジェクトを主導し、数多くの共同研究をスタートしている。

糖尿病研究グループは、先進糖尿病医療の開発、無自覚低血糖・認知機能障害・糖尿病性血管合併症を標的にしたコホート (Hyogo Diabetes Hypoglycemia Cognition Complications, HDHCC) 研究、1型糖尿病コホート研究、認知機能障害を含めた糖尿病合併症・メタボリックメモリーを標的とした基礎研究を精力的に行っている。また、糖尿病療養指導士(看護師、栄養士、薬剤師など)の大学院博士課程の研究サポートにも注力している。

内分泌代謝研究グループは、主に肥満、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性の病因・病態の解明、疲労・睡眠・自律神経機能障害などストレス応答の内分泌・代謝疾患における意義を解明することを目的とした前向きコホート(Hyogo Sleep Cardio-Autonomic Atherosclerosis study, HSCAA)研究、副腎疾患の予後追跡コホート(Hyogo Adrenal Metabolic Registry)研究、睡眠・摂食調節・認知機能と代謝異常に関する基礎研究を中心に、活発な活動をおこなっている。

主題

  1. 夜間低血糖、睡眠、血糖変動などの認知機能障害などへの影響を検討する前向きコホート研究(Hyogo Diabetes Hypoglyceima Cognition Complications (HDHCC) study:
    HICプロジェクトに関連して、阪神地区の17施設で2,000名規模の1型・2型糖尿病患者、耐糖能異常患者を対象に、持続血糖モニター(CGM)、日中活動度・睡眠、酸化ストレス、腸内細菌叢など種々のバイオマーカーを測定し、5年間以上追跡、認知機能障害、糖尿病合併症進展をアウトカムとした前向きコホート研究を実施している。認知機能に関連して、MRIによる脳萎縮、脳血流量、アミロイドPETも実施している。認知症センター、放射線学講座、微生物学講座、理化学研究所との共同研究である。
  2. 疲労・睡眠、自律神経機能などの代謝異常・心血管リスクにおける意義を明らかにすることを目的としたHyogo Sleep Cardio-Autonomic Atherosclerosis (HSCAA)コホート研究:
    HICプロジェクトに関連して、内分泌・代謝疾患の病態・予後における睡眠などの意義を明らかにすることを目的としたコホート研究を実施している。2019年3月末時点で1,098名の患者が登録され、平均36か月の追跡を受けている。本コホート研究から毎年新しい知見を学術論文として発信してきている(PLoS ONE 2014, 2016, 2017; Atherosclerosis 2015, 2018; Cardiovasc Diabetol 2015; Psychoneuroendocrinology 2016; Sci Rep 2017; Int J Mol Sci 総説 2019)。
  3. 1型糖尿病の血糖変動、酸化ストレスと血管障害に関するコホート研究:
    1型糖尿病患者約100名を対象に、血糖変動、酸化ストレスマーカーなどとともに血管内皮機能を測定し、1年毎に追跡評価するコホート研究を実施し、酸化ストレスと血管内皮機能の関連を最近明らかにしました(Acta Diabetol 2019)。健常者(Metabolism 2017)、2型糖尿病患者と比較した解析を行っている。
  4. 持続皮下インスリン注入(CSII)療法など先進的インスリン治療法の開発とその意義に関する研究:
    パッチポンプなど新たなインスリンデバイスの開発や、個々の患者に最適なインスリン投与システムの構築をめざした臨床研究を続けている。
  5. AIを用いた糖尿病臨床に関するデータマインニングに関する研究:
    関西学院大学との共同研究。膨大な臨床データをもとに、臨床的に有用な情報を探索する研究をスタートしている。特に、周術期管理における予後規定因子の探索を計画している。
  6. IoTを用いた糖尿病重症化予防戦略に関するAMED研究:
    IoTをもちいた療養指導法の有用性検討多施設介入臨床試験(PRISM-J)を実施している。
  7. 2型糖尿病におけるメタボリックメモリー・血管炎症と脳機能(摂食・認知機能):
    金沢大学との共同研究。終末糖化産物受容体(receptor for advanced glycation end-products, RAGE)を中心とした、メタボリックメモリー・血管炎症と脳機能の関連に関する基礎研究を進めている。最近RAGEの血管内皮炎症における病態機序を明らかにした(FASEB J 2019)。
  8. 摂食調節異常、認知機能異常と睡眠・代謝異常の関連に関する研究:
    HICプロジェクトと関連した本学解剖学教室、生理学教室、理化学研究所との共同研究。代謝異常や睡眠障害と摂食・認知機能障害との関連を基礎的に検討している。 ラットにおける睡眠リズム障害モデルの作成にすでに成功し(J Neurosci Res 2016)、マウスモデルにも応用している。
  9. 肥満減量手術の代謝への影響に関する検討:
    消化器外科講座と連携で、重症肥満患者に対する減量手術をスタートしている。減量手術の有効性、代謝病態への影響を臨床的に解析している。
  10. 副腎腫瘍の病態と予後に関するコホート研究 (Hyogo Adrenal Metabolic Registry):
    当診療科は副腎腫瘍の精査・加療に関する中核的な役割を担っており、副腎腫瘍患者を睡眠、自律神経機能、骨代謝、動脈硬化などの面から評価・登録し、追跡するコホート研究を実施ししている。
  11. グルカゴンの生理的・病態生理学的意義に関する研究:
    当科で検討してきたグルカゴン新規測定法に関する標準化を目的とした国内多施設臨床試験を実施している。

自己評価・点検及び将来の展望

HICプロジェクトに関連した臨床研究は、主にHSCAAコホート研究、酸化ストレスの臨床的意義などの知見を報告してきた。基礎研究では、脳内リズム破綻マウスモデルの確立し、血管炎症の細胞内機序に関する知見も最近発表し、脳内ストレスのメカニズム解明に向けた緒を進めている。糖尿病患者の認知機能障害などの重大なイベントをアウトカムとしたコホート(HDHCC)研究も2018年5月に開始し、2019年3月末時点、10か月で登録患者254名と、順調に進捗している。HICプロジェクトなどを通じて学内外との共同研究も積極的に推進し、糖尿病・内分泌・代謝疾患の病態制御や治療を目指した研究成果を、これまで以上に臨床に還元するべく益々努力をしていきたい。

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小山 英則 主任教授
責任者| 小山 英則(主任教授)
専門分野:糖尿病・内分泌・代謝学
講師| 庄司 拓仁
専門分野:内分泌・代謝学
講師| 楠 宜樹
専門分野:糖尿病学
講師| 小西 康輔
専門分野:糖尿病学
講師| 角谷 学
専門分野:内分泌・代謝学
TEL| 0798-45-6592、6473
FAX| 0798-45-6443

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