医学部医学科
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兵庫医科大学医学会

病態モデル研究センター

講座(部署)紹介

兵庫医科大学は倫理的動物実験を実践するパイオニアとして、全国的に高い評価を受けている。すなわち、2009年に全国の大学に先駆けて「動物実験に関する相互検証」を受け、さらに2016年にも、これも全国の大学に先駆けて、「動物実験に関する外部検証」を受審した。因みに、2018年6月現在、相互検証と外部検証の2回を受審した動物実験を行う大学は、400あまりの大学中わずかに5校である。

病態モデル研究センターは、2018年4月に開設された実験動物学を科学的基盤とした生命科学研究を行う共同利用施設である。前身の旧動物実験施設は1974年に開設され43年間にわたり兵庫医科大学における動物実験の中心的役割を果たしてきたが、病態モデル研究センターでは、旧動物実験施設のように単に実験動物の飼養保管を行い、動物実験の場所を提供するのみでなく、遺伝子組換え・ゲノム編集等の技術、その他の手法による病態モデルの作出、発生工学技術による研究支援及び実験動物学、動物実験学の教育研究を行うことで、本学における医学研究、医学教育を推進することを目的としている。

研究の現状

概要

実験動物アレルギーに関する調査、実験動物アレルギー対策マニュアルの作成を行った。また、外部検証を行う調査員の人材育成に必要な教材の開発を行っている。さらに、ゲノム編集技術等による病態モデルの作出を開始し、これら病態モデルの評価を行うとともに、発生工学手法による胚や精子の凍結保存に関する研究支援、実験動物配偶子の簡易輸送法の確立に関する研究、遺伝子組換えにより作製した実験動物の評価を行った。



主題
  1. 実験動物アレルギーの現状に関する調査:
    実験動物アレルギーは急性のアレルギー性疾患で、重篤な場合ではアナフィラキシーを起こす例もある。しかし、この実験動物アレルギーの発生状況に関する全国規模の調査は、ここ25年近く行われていなかった。そこで、全国の大学、民間研究機関、動物生産施設等における実験動物アレルギーの現状調査を行い、その結果を報告した。
  2. 実験動物アレルギー対策マニュアルの作成:
    主題1の調査により、実験動物アレルギー対策マニュアルの作成が必要と判断され、日本実験動物学会の中に動物アレルギー検討ワーキンググループが立ち上がり、その中でマニュアルの作成を行うと同時に、関連学協会で積極的に実験動物アレルギーに関する講演や総説の投稿を行い、実験動物アレルギーの危機性を周知した。
  3. 外部検証調査員の人材育成と教材の開発:
    AMEDのナショナルバイオリソースプロジェクト、「外部検証促進のための人材育成」の課題管理協力者となり、調査員の教育研修のための講義資料、模擬訪問調査の教材の開発等を行い、人材の育成を支援している。
  4. ゲノム編集技術等による病態モデルの作出:
    様々な医学研究に有用な病態モデルの作出を開始した。主にはゲノム編集技術を用いて、エレクトロポーレーションもしくはインジェクションにより病態モデルの作製を行っている。
  5. 実験動物の配偶子の国内簡易輸送法の確立に関する研究:
    胚に比べて1個体から非常に多くの配偶子を得られる精子の有用性を利用するため、液体窒素を使用せず、しかも運動性を残す精子の輸送方法の開発は稀少系統の実験動物の普及に非常に有益である。そこで、マウス精子を、他施設に輸送後、体外受精に供することができるように、運動能を保持したまま簡便な低温環境(-80℃~4℃)で輸送する条件を確立するための検討を行った。
  6. 発生工学手法による胚や精子の凍結保存に関する研究支援:
    研究支援として、稀少なミュータントや遺伝子改変動物の遺伝資源の保存や個体復元を実施した。さらに、旧動物実験施設から病態モデル研究センターへの移動の際にこれらの稀少動物は、病態モデル研究センターの高水準な微生物学的清浄レベルに適合するように、すべて発生工学手法による微生物学的クリーニングを実施した。
  7. 遺伝子組換えにより作製した実験動物の評価:
    マウスにヒト家族性認知症の一つFTDPと同様のタウ遺伝子の異常を導入することで、能動的回避学習能、水迷路学習能の異常を示すマウス(SJLB)を作製した。本研究ではSJLBのプロテインプロファイリングをもとに高次脳機能異常を引き起こす原因分子の探索を行うと共に、SJLBを用いた認知症治療薬、効能評価への応用可能性について報告した。


自己評価・評価及び将来の展望

病態モデル研究センターは、最新の飼育機器、空調機、実験設備を導入し実験動物由来のアレルゲンの曝露を極力抑え、実験動物アレルギーの感作や発症を抑制することで、実験動物アレルギーを予防することを目指して設計・施工された。本センターに移設する前の旧動物実験施設では、実験実施者や飼養者に実験動物アレルギーが発症し、動物飼育室に入室するだけでアレルギー症状がでていたが、本センター開設後には、実験実施者や飼養者に実験動物アレルギー症状はでていない。よって、本センターのアレルギー対策については、ハード面では問題なくコントロールされていると思われる。今後は、エアロアレルゲンの測定等により、これらの機器・設備等が更に効率よく抑制効果をあげられる方法を検討する予定である。併せて、遺伝子組換え・ゲノム編集等の技術、その他の手法により病態モデルを作出し、これらの病態モデルにより共同研究を進めていきたい。


准教授 佐加良 英治



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