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はじめに

兵庫医科大学では、「肝硬変に対する遺伝子治療」を計画し、現在学内で実施に向けて検討中です。

 
肝硬変を遺伝子治療の対象とした理由

ウイルスやアルコ−ルなどが原因で肝細胞が障害を受け,その結果肝細胞が破壊され繊維が生じてきます。この繊維化はもとには戻らない変化であり,肝臓自体が硬くなり,肝機能が低下します。肝硬変はこの繊維化が非常に進行した状態であり,腹水・黄疸・食道胃静脈瘤の出血,さらには慢性的に持続する炎症の結果肝癌を合併することも少なくありません。現在、この肝硬変に対しての根本的な治療がないという点が遺伝子治療の対象と考えた理由です。

 


治療に使用する  遺伝子について

肝臓障害があったときに,ヒトの体内では肝臓を再生させようとして生理的に体内で産生される蛋白である肝細胞増殖因子(HGF)が産生させます。このHGFを肝硬変に陥った肝臓で多く産生させるためにHGF遺伝子を使用します。遺伝子が肝臓に取り込まれやすくするためにウイルスを遺伝子の運び役として使われることが多いのですが,今回の遺伝子治療臨床研究では安全性を考え,ベクタ−は使用せず遺伝子そのものを肝臓へ注入します。

 


研究成果

HGF遺伝子の注入方法は本遺伝子治療臨床研究とは異なりますが,薬剤で肝硬変を作ったラットにHGF遺伝子を投与した結果,肝臓の繊維がほぼ消失したことを確認しています。今回は遺伝子そのものを肝臓に注入する方法を用いて行いますが,ラットおよび大型動物を使った実験では肝臓における繊維化の改善が認められています。

 

 

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