チーム医療の紹介
栄養サポートチーム(NST)
チームの役割
栄養サポートチーム(NST:Nutrition Support Team)は低栄養などの栄養管理が必要な患者さんに、医師、歯科医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、言語聴覚士、臨床検査技師など専門スタッフが連携してそれぞれの専門的な知識を生かして患者さんに最もよい栄養管理計画を提案するチームです。
毎週木曜日と金曜日に行われている回診では、病棟スタッフとNSTスタッフの話し合いの中で患者さんの栄養状態を評価し、栄養治療計画を立案しています。
チームにおける薬剤師の役割
チームにおける薬剤師の業務として、主に以下のものが挙げられます。
- 薬学的な知見から患者さんの栄養状態を評価し、処方されている内服薬、経腸栄養剤、注射薬が適正使用されているかを検討します。
- 処方されている薬剤の相互作用の確認や、剤形、輸液の投与速度や投与ルートが適正に選択されているかを確認しています。
- 必要に応じて医療スタッフや患者さんへの薬剤情報の提供を行います。
関連する有資格者
静脈栄養・経腸栄養を用いた臨床栄養学に関する優れた知識と技能を有し、患者さんの栄養管理をサポートすることに特化した資格です。
- NST専門療養士/日本栄養治療学会(当薬剤部の有資格者:3名)
◆ 感染制御チーム(ICT)
チームの役割
感染制御チーム(ICT:Infection Control Team)には医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師などの様々な職種が関わっています。ICTは毎日病棟をラウンドし、チーム医療による感染症診療、院内感染防止対策および職業感染防止対策を行っています。
チームにおける薬剤師の役割
薬剤師の具体的な業務として、主に以下のものが挙げられます。
- 各診療科からの感染症の治療や抗菌薬使用方法の問い合わせに対して、適正な感染症の診断・治療を提案しています。
- 個々の患者さんの様々な病態に合わせて、薬学的な知見から抗菌薬の適正な投与量を設定しています。
- 耐性菌の拡がりを防ぐために、病院内の全職種を対象としたクリーンハンドキャンペーンによって手指衛生を推進しています。
- 院内感染防止対策および職業感染防止対策を適切に行うために、感染防止マニュアル・ガイドラインの作成・更新を行っています。
関連する有資格者
感染症の診断・治療および抗菌薬に関して高度な知識を持ち、感染症治療において安全かつ適正な薬物療法が行われることに貢献することや、院内感染防止対策に貢献することがその使命です。
- 感染制御専門薬剤師(ICPS)/日本病院薬剤師会(当薬剤部の有資格者:1名)
- 抗菌化学療法認定薬剤師/日本化学療法学会(当薬剤部の有資格者:2名)
- ICD制度協議会/infection control doctor(当薬剤部の有資格者:1名)
緩和ケアチーム
チームの役割
緩和ケアチームは、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、ソーシャルワーカー、臨床心理士など多職種で構成され、質の高い緩和医療の提供および緩和医療への医療スタッフの意識の向上を目標として活動を行っています。
チームにおける薬剤師の役割
チームにおける薬剤師の業務として、主に以下のものが挙げられます。
- 個々の患者さんに応じたお薬の選択や他のお薬との飲み合わせなどを考慮した処方を医師とともに検討します。
- 患者さんに対して薬剤(医療用麻薬など)の説明を実施します。
- 医療用麻薬の適正使用など他の医療スタッフへの情報提供を行います。
- 緩和ケアにおける薬剤の具体的な使用方法などを記載したマニュアルの作成を行っています。
関連する有資格者
緩和薬物療法は、必要な薬を効果的に用いて全人的な視点から痛みやその他の苦痛を予防・改善し、患者さんが自らの人生を積極的に生きていかれるよう支える医療活動であり、緩和薬物療法認定薬剤師は多職種と連携して緩和医療の充実・発展に努めています。
- 緩和医療暫定指導薬剤師 /日本緩和医療薬学会(当薬剤部の有資格者:2名)
- 緩和薬物療法認定薬剤師(BCPPP)/日本緩和医療薬学会(当薬剤部の有資格者:3名)
褥瘡対策委員会
委員会の役割
褥瘡対策委員会は、医師と専属の看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、管理栄養士、事務員によって構成されています。褥瘡のある患者さんが入院されたり、入院中、新たに褥瘡が発生した場合に、委員会に介入依頼があり、対象患者さんに対して2週間に1度回診を行います。回診時には委員会より、各病棟看護師および主治医に対し、必要な処置や使用薬剤の選択、耐圧分散寝具の使用、ポジショニングなどについて提案し、提案後は定期的に患者さんの元を訪れ、提案によって結果がどのようになっているかの確認を行っています。2024年度からは、急性期病棟で褥瘡ハイリスク加算が開始され、褥瘡予防に対し週1回カンファレンスを行っています。
委員会における薬剤師の役割
委員会における薬剤師の業務として、主に以下のものが挙げられます。
- 創の状態を評価して、適切な薬剤が選択されているかを確認します。
- 複数の外用剤を同時に使用する場合の薬剤の安定性について情報提供をしています。
- 看護師を対象とした薬剤の講習会を行い、医療スタッフの教育に努めています。
HIV感染症治療チーム
チームの役割
HIV感染症は、抗HIV薬を服用することで治療可能な慢性疾患となりました。しかし、飲み忘れの頻度が多くなると耐性HIVを誘導するため、規則正しく飲み続ける必要があります。医師、看護師、ソーシャルワーカー、精神科医、臨床心理士などとチームを構築して、患者さんが規則正しい服薬を続けることができるようにサポートしています。
チームにおける薬剤師の役割
チームにおける薬剤師の業務として、主に以下のものが挙げられます。
入院患者さんだけでなく、外来患者さんにも同様の業務を行っています。
- 患者さんに規則正しく服薬を続けるための指導や定期的な情報提供を行っています。
- 患者さんの生活スタイルに合わせた抗HIV薬の処方を医師に提案しています。
- 抗HIV薬は相互作用が多いため、併用薬との飲み合わせについて確認しています。
- 抗HIV薬の有効性や副作用などの確認のために抗HIV薬の血中濃度を測定しています。
- 院内のHIVカンファレンスへ参加し、他職種と情報の共有化を図っています。
- 定期的に薬薬連携協議会を開催して保険薬局の薬剤師さんと情報交換をしています。
- 抗HIV薬の適正使用のための研究を積極的に行っています。
関連する有資格者
HIV 感染症治療における薬物療法に関する高度な知識、技術、倫理観を備え、患者の意思を尊重し、最適な治療に貢献することを理念とし、HIV 感染症に対する薬物療法を有効かつ安全に行うことがその使命です。併せてHIV感染症薬物療法認定薬剤師要請研修の認定施設としてHIV感染症に関する薬物療法に精通した薬剤師を養成するための研修や指導も行っています。



- HIV感染症専門薬剤師(HIVPS)/日本病院薬剤師会(当薬剤部の有資格者:1名)
- HIV感染症薬物療法認定薬剤師(PHIVP)/日本病院薬剤師会(当薬剤部の有資格者:2名)