食道アカラシアとは

症状

  • つかえ感
  • 口腔内逆流(酸味なし)
  • 嘔吐
  • 就寝中の枕よごれ
  • 胸痛(循環器科で原因が不明)
  • 体重減少
  • 咳や肺炎

病態

食道は本来、口から入った水分や食べ物を蠕動運動で押し進め、食道と胃との接合部が開いて胃に送り込みます。
しかし食道アカラシアは何らかの原因で食道下部の括約筋 (LES)が緊張し、接合部がほとんど閉じたままになり食道内に食物が溜まってしまう病気です。非常に稀な病気で、約1万人に1人と言われています。
また、食道アカラシアの約5%に食道がんが合併するといわれています。

診断

進行した食道アカラシアの場合はバリウム検査 (写真1)上部消化管内視鏡検査 (写真2,3,4)で診断することが可能ですが、軽度の食道アカラシアの場合、前述の検査ではなかなか診断が困難な例もあります。
その場合、食道内圧検査で初めて診断できることもあります。当科では最新式の食道内圧検査(HRM; High Resolution Manometry)を導入し施行しています(写真5,6,7)

治療

1. 薬物治療

食道アカラシアはLESが閉じたままの状態であるため、この圧を下げる作用のある薬を用います。LESを弛緩させる薬剤は数種類ありますが、自覚症状が強い場合では薬物療法だけでは症状が完全に消失しないことが多く、軽症例や内視鏡治療や外科治療の適応がない場合、そして一時的な症状緩和の治療法として用いています。
カルシウム拮抗薬(アダラート)、亜硝酸薬(ニトロペン)、PDE5阻害剤(バイアグラ)

2. 内視鏡的治療

内視鏡的な治療として、食道胃接合部を風船(バルーン)で広げる、バルーン拡張術があります。バルーン拡張術により、LESに裂創を作り、食道から胃への流れを改善する方法です。40歳以上の人では約70-80%の自覚症状が改善します。拡張後に再発を認めた場合はバルーン径を大きくし、2回目を行う例もあります。しかし、繰り返し行うことで下部食道周囲の炎症をきたし、もし外科治療が必要となった場合に癒着により支障をきたすとも言われています。
また、最近では内視鏡を用いた新しい治療(POEM:Per-Oral Endoscopic Myotomy, 内視鏡的筋層切開術)が開発され,限られた施設で行われ、良好な成績であることが報告されています。しかし、この治療法はまだ新しいため、長期的に治療効果が期待されるものであるのか十分な検討がなされておりません。

3. ボツリヌス菌毒素局注療法 (日本では保険未収載)

4. 外科治療 (腹腔鏡手術)

バルーン拡張術など内科的治療が無効な場合には、当院外科において、腹腔鏡下手術が行われ良好な成績が得られ、もっとも確実な治療方法と言われています。