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兵庫医科大学医学会

外科手術後癒着制御分子機構の解析と治療法の開発

関連疾患・研究領域 医学・外科学・手術後癒着
所属部署名
(医科あるいは医療)
外科学 肝・胆・膵外科
研究代表者 藤元 治朗
研究実施者
(研究内容照会先)
藤元 治朗
検索キーワード 術後癒着・IFN-g・HGF

研究概要

外科手術は近年、臓器移植・拡大手術から低侵襲手術(鏡視下手術)にいたるまで急速な発展を遂げた。しかし術後癒着障害は取り残された領域である。研究実施者らはこれまでに(1)腸管癒着動物モデルの樹立と癒着分子機構の解明(論文リスト(1)・(2)参照)、(2)動物肝切除後癒着モデルおよびヒト肝切除術における癒着における分子機構解明(論文リスト(3)参照),などを発表してきた。概要は、(1)外科手術により出血、または組織において微細な血栓が生じる。(2)凝固した血液よりトロンビンを経てフィブリンが形成される。通常はプラスミノーゲン活性因子(tPA)が働きフィブリンは溶解される(凝固線溶系)。(3)一方で手術侵襲により組織内の微細な末梢神経が切離され、ニューロペプチドのタキキニンが分泌される。タキキニンはNKT細胞(natural killer T cell)に働き多量のIFN-γが分泌される。(4)IFN-γは多量のPAI-1(plasminogen activator inhibitor)の分泌を誘導、tPAの活性を阻害、フィブリン溶解が妨げられ線維組織として遺残し癒着原因となる。(5)またさらに、HGF(hepatocyte growth factor)の術前投与によりPAI-1産生は抑制され、癒着は制御される。という内容である。今回の研究テーマは(1)癒着予防法の開発であり、具体的には臨床応用を考慮し、(1)HGFの投与量設定と安全性確認、(2)CD4-T細胞を抑制する薬剤の検証:臨床ですでに使用されている免疫抑制剤の癒着予防の効果・安全性の検証、(3)臨床ですでに使用されているトロンビン抑制剤の検証、などである。またさらに血液凝固線溶系とは異なり、より強固な線維形成過程を検索する。即ち手術局所における繊維芽細胞の増殖系とそのリガンドの検索であり、現在in vitroの細胞培養系を用いて研究中である。

科学的アピールポイント(独創性・進歩性・新規性等)

  1. 血液凝固線溶系以外の未解決の術後癒着障害の分子機構解明。
  2. 臨床応用可能な癒着防止薬剤の同定と検証。現在癒着防止に有用な方法は無く、HGFをはじめいくつかの新規薬剤候補は 新たな治療法となりえる。

主公表論文(これまでの研究実績)

  1. Interferon-γis a therapeutic molecule for prevention of postoperative adhesion formation. Nat Med 14:437-441, 2008(Kosaka H, Yoshimoto T, Fujimoto J, Nakanishi K. et al.)
  2. Hepatocyte growth factor gene therapy of liver chirrosis in rat s. Nat Med 5:226-230, 1999(Ueki T, Kaneda Y, Nakanishi K, Fujimoto J., et al.)
  3. Interferon-γand plasminogen activator inhivitor 1 regulate adhesion formation after partial hepatectomy. Brit J Surg:101:398-407, 2014

知財情報

発明の名称:腸管癒着抑制剤、特許番号:特許第5530635号、発行日:平成26年6月25日。

研究成果の活用・実用化(提案)

HGFは遺伝子ではなく、リコンビナントHGF注射が現実的である。長期投与は発がん性・腎障害など懸念されるが本投与法は術 前日・術当日を予定しており、安全であると思われる。免疫抑制剤・トロンビン阻害剤は臨床で既に他の用途で使用されており、術 後癒着予防に使用するのは現実的である。

関連情報提供 URL

上記論文参照ください。

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