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兵庫医科大学医学会

術後腸管癒着抑制剤の探索

関連疾患・研究領域 外科手術、腹腔内癒着、薬剤探索研究
所属部署名
(医科あるいは医療)
免疫学、先端医学研究所 アレルギー疾患研究部門
研究代表者 善本 知広
研究実施者
(研究内容照会先)
善本 知広
検索キーワード 術後腸管癒着、モデルマウス、HGF

研究概要

術後腸管癒着抑制剤の探索画像1現在の高度な医療技術を駆使しても、消化器外科手術の実に60%以上に術後腸管癒着が発生し、腸管-腸管、腸管-腹膜などの癒着形成は再手術を困難にするばかりではなく、腸閉塞、腹痛、不妊症などの合併症を高頻度に惹き起こし、臨床的に問題となっ ています。しかし、術後腸管癒着に対する予防法、予防薬は未だ確立されていません。私たちは、手術類似侵襲としてマウスの5mm腹部切開創より、実際に人の手術に使用するバイポーラ電気メスを用 いて盲腸の腸管膜反対側を1秒間焼灼し、閉腹することで、1週間後に強度の腸管癒着を形成するマウスモデルを確立し、その発症機序を解析しました。その結果、手術侵襲による軸索反射を介して腸管に誘導された神経ペプチドの1つタヒキニンが、同じく手術侵襲によって腸管に集積したNKT細胞を刺激して術後3時間をピークにIFN-γ産生を誘導し、このNKT細胞由来IFN-γが凝固系を促進する(plasminogen activator inhibitor 1: PAI-1)の発現を増強し、逆に線溶系を促進するプラスミノーゲン活性化因子(tissue plasminogen activator: tPA)を抑制する結果、癒着形成を促進することを明らかにしました。更に私たちは、抗IFN-γ抗体あるいは肝細胞増殖因子(HGF)蛋白を術前1日前又は術直後に1回皮下投与すると、PAI-1の誘導を抑制し術後腸管癒着の発症を完全に予防できることを発見しました。

科学的アピールポイント(独創性・進歩性・新規性等)

  1. 術後腸管癒着の発症機序(物理的刺激−神経軸索反射−神経ペプチド−NKT細胞−IFN-γ−PAI-1−フィブリン沈着−癒着 形成)が明らかになりました。
  2. バイポーラ電気メスにて盲腸の腸管膜反対側を1秒間焼灼するという、極めて簡易で且つ安定(電圧と時間を設定)な方法 で確実な腸管癒着モデル動物を作製できます。
  3. マウスに限らず大型動物(ラット、ミニブタ)にも癒着を誘導できます。
  4. 術後腸管癒着の発症機序は、肝臓部分切除術など様々な腹腔内手術に普遍的に適応することが明らかになっています。

主公表論文(これまでの研究実績)

  1. Interferon-γ is a therapeutic target molecule for prevention of postoperative adhesion formation. Nat. Med. 14:437-41, 2008. Kosaka H, Yoshimoto Tomohiro, Yoshimoto Takayuki, Fujimoto J, and Nakanishi K.
  2. Interferon γ and plasminogen activator inhibitor 1 regulate adhesion formation after partial hepatectomy. Br J Surg. 101:398-407, 2014. Ohashi K, Yoshimoto T, Kosaka H, Hirano T, Iimuro Y, Nakanishi K, Fujimoto J.

知財情報

発明の名称:腸管癒着抑制剤.
出願番号:特願2008-558089、PCT/JP2008/052299、WO2008/099829
特許番号:4673068号(登録日:2014年4月25日)

研究成果の活用・実用化(提案)

  1. 術後腸管癒着の発症機序(物理的刺激−神経軸索反射−神経ペプチド−NKT細胞−IFN-γ−PAI-1−フィブリン沈着−癒着形 成)を基盤とした癒着予防薬の探索研究に有用です。
  2. モデル動物を用いた癒着予防薬の有用性の確認とスクリーニングに有用です。

関連情報提供 URL

兵庫医科大学 免疫学講座

兵庫医科大学 〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1番1号 TEL:0798-45-6111 (代)

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