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兵庫医科大学医学会

飲酒に伴う高血圧発症の予測用ペプチドおよびそれを用いた飲酒に伴う高血圧発症の予測方法

関連疾患・研究領域 予防医学、循環器病学
所属部署名
(医科あるいは医療)
環境予防医学
研究代表者 若林 一郎
研究実施者
(研究内容照会先)
若林 一郎
検索キーワード アルコール、高血圧、ペプチドーム

研究概要

【研究・技術概要】
BLOTCHIP®を用いた新しいペプチドーム解析の結果、飲酒時の血圧低下と有意な関連性を示す3種類のペプチドを検出しました。このうち2つのペプチドはm/z 1467とm/z 2662で、構造解析の結果、いずれもフィブリノーゲンα鎖の異なる断片ペプチドであり、もう一つはm/z 2380で、補体C4aの断片ペプチドであることが明らかになりました。そして、非飲酒時の血中m/z 2380ペプチドのレベルが高い人ほど、飲酒後急性期の収縮期および拡張期血圧の低下が著しく、血中m/z 2380レベルと飲酒後血圧低下の程度の間に有意な相関を認めました。飲酒による高血圧発症の機序としては、飲酒の急性作用である血圧低下に対する離断作用としての交感神経系の活性化が指摘されています。すなわち、飲酒時の血圧低下が著しい人ほど、繰り返 しの飲酒習慣に伴う血圧上昇が大きくなります。したがって、血中m/z 2380ペプチド濃度が高い人では、習慣性飲酒に伴う高血圧のリスクが高くなると予測され、m/z 2380ペプチドは習慣性飲酒に伴う高血圧の有用なリスクマーカーになると考えられます。

【研究背景・従来技術(解決すべき課題)】
習慣性飲酒は高血圧の重要なリスク要因であり、特に欧米人に比べてアルコール感受性が高い日本人では、飲酒が高血圧の原 因として20~50%程度寄与していると報告されています。そこで高血圧の予防には節酒あるいは禁酒が必要です。東洋人ではALDH2などのアルコール分解酵素の遺伝子多型が存在し、飲酒時のアルコール感受性が個人によって大きく異なることが知られています。しかし、これまでの研究ではアルコール分解酵素の遺伝子多型と飲酒による血圧上昇との間には明らかな関連性は見られなかったと報告されています。そして、各個人で飲酒に伴う高血圧のリスクを評価する方法は開発されていません。

科学的アピールポイント(独創性・進歩性・新規性等)

血中m/z 2380レベルを測定し、その結果から飲酒に伴う高血圧のリスクを評価することは、飲酒習慣の是正による高血圧の予防および治療上、有用と考えられます。高血圧は国民病であり、脳卒中や虚血性心疾患などのさまざまな循環器疾患の重要なリスク要因です。そして飲酒はポピュラーな生活習慣であることから、本方法を用いた飲酒に伴う高血圧のリスク評価には、循環器疾患予防の大きな意義があります。

主公表論文(これまでの研究実績)

I. Wakabayashi et al., Potential biomarker peptides as sociated with acute alcohol-induc ed reduction of blood pressure. PLoS One. 2016;11(1):e0147297.

知財情報

特願2015-133939

研究成果の活用・実用化(提案)

本発明によれば、飲酒に伴う高血圧リスクを迅速・的確に予測することができる。 そのため本発明に基づき、飲酒量や飲酒回数を制限するなどの飲酒による高血圧に対する予防措置を講じることに貢献すること が期待される。
また本発明の検査方法における本発明の高血圧予測用ペプチドの測定は、それに対する抗体を用いて行うこともできる。かかる 方法は、最適化されたイムノアッセイ系を構築してこれをキット化すれば、上記質量分析装置のような特殊な装置を使用すること なく、高感度かつ高精度に該ペプチドを検出することができる点で、特に有用である。

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