研究シーズ集
がんプロフェッショナル養成プラン
科学技術振興調整費中皮腫臨床試験センター
エコチル調査兵庫ユニットセンター
兵庫医科大学医学会

先端医学研究所(細胞移植部門)

研究の現状

概要

平成20-24年度に、文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業に、課題名「次世代型造血細胞療法の基盤整備」で採択され、HLA不適合移植の解析を中心に、次世代型細胞移植療法の開発に着手することとなった。本研究では、同種造血幹細胞移植の病態生理、GVHD (graft-versus-host disease:移植片対宿主病)、GVL (graft-versus-leukemia:移植片対白血病)効果の生じるmechanismにつき、細胞レベル/分子レベルで、1つ1つ明らかにしていく予定である。それを通じて、次世代型細胞療法の基盤を形成していきたい。

主題

  1. HLA不適合移植におけるGVHDを伴わないGVL効果発現mechanismの解析
    HLA不適合移植では、GVHDを生じなくても十分なGVL効果が得られることを、臨床症例を通じて明らかにしてきた。すなわち、これは好ましいGVL効果を、好ましくないGVHから解離できることを意味している。本研究では、マウスのGVH移植モデルを用いて、GVLがGVHと解離するmechanismを、ドナーリンパ球のtrafficking、chemokine/chemokine- receptor/cytokine、接着因子の面から、明らかにしていく。
  2. 移植後の消化器病変の病態解析
    GVHDの発症mechanismに関しては、強力な移植前処置により、消化管の傷害が起こる。消化管粘膜のbarricadeが傷害されることによって、腸内細菌の菌体成分の流入、炎症性cytokineの産生が起こり、GVHDのtriggerになることが報告されている。本研究では、マウスの系と、臨床検体を用いた解析により、腸管局所で起こっている1つ1つのeventを、細胞レベル/分子レベルで追求し、GVHDの制御につなげたい。
  3. 間葉系幹細胞の移植医療への応用
    間葉系幹細胞は骨、軟骨、脂肪、筋肉さらには神経細胞に分化する能力を有する。さらに、GVHDなどの免疫反応に対して、抑制的に働くことが示されている。そのため、ステロイド抵抗性の重症GVHDの治療に応用できる可能性がある。本研究では、GVHDに対する間葉系幹細胞療法の有効性につき、産業技術総合研究所,関西センターの大串主幹研究員との共同研究の形で検討する。
  4. 重症免疫不全患者におけるウイルス感染症のmonitoring方法の確立
    免疫不全患者では、CMV、HHV-6、EBV、ADV、BKVなどの種々の日和見ウイルス感染症を引き起こしやすく、しばしば、それは致死的となる。しかし、これらのウイルス感染症のmonitoring方法は確立されていない。臨床検体を材料とし、real-time PCR法を用いて、各種感染性疾患につき、網羅的、簡便、定量的にmonitoringする方法を確立する。このmonitoring方法が確立すれば、細胞療法そのものが、極めて安全な治療へと変貌する。

自己評価・評価及び将来の展望

造血幹細胞移植は、化学療法で治癒が得られない患者に治癒をもたらす唯一の治療法であるが、GVHDなどの移植合併症、不十分なGVL効果による再発など、予期できないeventも多く、移植医療自体を、科学的に見直す時期に来ている。移植される細胞分画、cytokine、chemokine、接着因子などを切り口とし、移植を細胞療法という観点から見直し、移植後に起こる様々なeventを、細胞レベル/分子レベルから、1つ1つ理解し直す必要がある。それを実現することによって、次世代型細胞療法の基盤が形成されていくものと考えている。

■松山 知弘 研究所教授 (兼任)
■小川 啓恭 主任教授 (兼任)
■藤盛 好啓 主任教授 (兼任)
■後藤 章暢 研究所教授 (兼任)
■相馬 俊裕 臨床准教授(兼任)
■山原 研一 准教授(兼任)
■岡田 昌也 講師(兼任)
■玉置 広哉 講師(兼任)
■池亀 和博 講師(兼任)

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