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「J. Critistian Herr Award」を受賞(産科婦人科学 講師 福井 淳史)

 2016年11月12日から16日にかけて米・ボルチモアで開催された第36回米国生殖免疫学会において、産科婦人科学の福井淳史講師が日本人として初めて「J Cristian Herr Award」を受賞しました。
 本賞は、研究指導を行って10年~15年ほど経過した研究者で、基礎的研究、臨床的(応用的)研究を行って生殖免疫会に貢献した研究者に与えられるとされているものです。1993年より過去・現在の世界の生殖免疫界をリードする方々が毎年1名受賞しています。


産婦人科福井講師.jpg  受賞した福井講師

授与団体名

米国生殖免疫学会
American society for reproductive immunology

概要

 平成28年11月に米国ボルチモアで開催された第36回米国生殖免疫学会においてJ Cristian Herr Awardを受賞いたしました。本賞は研究指導をするようになってから(Faculty positionを得てから)10年~15年くらい経過した研究者に与えられる賞で、基礎的研究、臨床的(応用的)研究を行っている研究者に与えられるとされているものです。1993年より過去・現在の世界の生殖免疫界をリードする方々が毎年1名が受賞しています。今回幸いにも賞を授けて頂きました。日本人としては初受賞です。賞の名前となっているJ Cristian Herr先生は、米国生殖免疫学会長をされていた方であり、残念ながら本年他界されました。生殖生物学、免疫学的な避妊法、がんの免疫療法など多岐にわたってご研究なさっていた方です。このような賞を頂けましたことを本当に嬉しく思いますし、世界に対してデータを発信し続け、世界をリードしていけるようこれからも頑張っていきたいと思います。

研究の背景

 少子高齢化が進む我が国において、受精から分娩に至るいわゆる妊娠機構の解明は極めて重要な領域となって来た。特に受精卵の着床とその後の生育の場となる子宮内膜には精妙な免疫機能の調整機構が介在し、胎芽の拒絶を阻止するとともに、その発育を保証している。我々は、子宮内膜および末梢血の免疫担当細胞、特にNK細胞の妊娠の成立と維持へ関わりをNK細胞表面抗原、特にNatural cytotoxicity receptor(NCR)発現とNK細胞の産生するサイトカインから示してきた。不妊症・不育症・子宮内膜症などの生殖異常、妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病などの妊娠時の異常ではNK細胞における表面抗原発現異常、サイトカイン産生異常が認められ、その異常を是正することにより、良好な妊娠予後を得られる可能性がある。妊娠の維持機構はまだまだ未解明の部分が多く、免疫が関与していると思われる不妊症患者や不育症患者は数多く存在する。少子化対策が強くうたわれている今、我々の研究はこれらの方達に大きな福音を与える可能性を持つものである。

研究手法と成果

 末梢血、子宮内膜、脱落膜、腹水からNK細胞をを回収し、フローサイトメトリーを用いて細胞表面に発現する表面抗原および細胞内サイトカイン産生を測定した。種々の疾患におけるこれらの異常を明らかにした。  我々は、NK細胞の構成比率の変化により不妊や流産を引き起こしていることを示し、さらにはこれらの構成比率は性交時の精漿の作用や、免疫グロブリン、イントラリピッド、ダナゾール、GnRHアゴニストといった薬剤により変化させうることを明らかにし治療への可能性を示した。NK細胞は細胞傷害性とサイトカイン産生に間夜するNatural Cytotoxicity Receptor (NCR)と呼ばれる受容体を発現する。我々はNCRの一つでであるNKp46発現が不育症・不妊症患者で変化し、妊娠の成立や維持にNCR発現が関与することを示した。またNK細胞が産生するサイトカインが不育症・不妊症患者で変化していることも示した。  これらNCR発現やNK細胞産生サイトカインの異常は妊娠成立後も存在し、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病の発症・進展に関連することを示した。さらに不妊症となり得る子宮内膜症患者でも同様にNCRの異常が存在することも示しており、NCRと生殖異常の解明は不妊症・不育症および産科異常の新たな診断法・治療法開発につながると思われる。

今後の課題

 さらに詳細をあきらかにするため研究を継続していく。また後進の指導も行い、さらに研究を発展させる。

研究費等の出処

文部科学省科学研究費、AMEDなど

掲載誌

American Journal of Reproductive Immunology, Journal of Reproductive Immunology, Fertility and Sterilityなど

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