Pressure-clamp パッチクランプ法を用いた多種多様な細胞の生理機能解析
情報更新日 2023年7月31日
シーズ情報
キーワード
イオンチャネル、電気生理学、薬理学
分野
中枢、疼痛
概要
パッチクランプ法とは、細胞膜上のイオンチャネルの機能を直接的に測定する方法です。私たちは、従来のパッチクランプのシステムに電極内圧力を制御するHSPC(High-Speed Pressure-Clamp)ディバイスを組み入れた、Pressure-clamp パッチクランプ法を開発してきました。電極内圧力を制御することによって、これまでのパッチクランプ法では行われてこなかった「結合組織を突き破る、切り込む、細胞をはがす等」といったマニピュレーションをex vivo標本上で容易に行えるようになりました。そのため、これまで実験系として確立されていない組織や細胞へのパッチクランプを行える点が強みとなります。また、繊細な圧調整により、超微細な構造物などからの活動電位等の記録に成功しております。これまでの各種細胞株を用いた培養系での生理学的評価ではなく、実際に生体から摘出した様々な臓器組織のex vivo標本で、多様な細胞をターゲットにすることが可能となります。私たちはこれまで、この技術を応用し、各種神経細胞、皮膚メルケル細胞、シュワン細胞、血管内皮細胞などをターゲットとして電気生理学的解析を行っております。
何が新しいか?
独自の技術(pressure-clamp patch-clamp法)により、従来のパッチクランプ法では行われてこなかった「結合組織を突き破る、切り込む、細胞をはがす等」といったマニピュレーションが組織上で行うことが可能となりました。これにより神経系をはじめ、皮膚等の様々なex vivo標本において多様な細胞から電気活動の計測が行えるようになりました。
他の研究に対する優位性は何か?
これまでパッチクランプ法では、特定の遺伝子を強制発現させた細胞や生体からの急性単離した細胞をターゲットとして行われてきました。本技術では、摘出した生体組織をそのまま使用する為、従来必要だった培養のステップを必要とせず、構造的にもより生理条件に近い状態でパッチクランプ法をおこなえます。またin vivoの実験と比較して、薬理学的または光/化学遺伝学的手技と組み合わせた実験を容易におこなえます。
どのような課題の解決に役立つか?
細胞株として確立していない細胞種や組織から単離することが難しかった細胞種について、生理学的特性やイオンチャネルの機能を直接的に明らかにすることができます。また遺伝子導入した細胞に関して、組織内で直接機能的解析がおこなえます。
特定の細胞の機能的評価に加え、様々な病態モデルにおける機能的変化の可視化、または薬に対する薬理学的評価を行う事が出来ます。
他への応用・展開の可能性
これまで私たちは本技術を用いて、神経細胞、神経線維、グリア細胞、血管内皮細胞、皮膚の細胞、支持細胞など、ex vivo 標本上における様々な細胞へのパッチクランプ法の開発を行ってきました。他の臓器に技術応用する事で、多種多様な細胞におけるパッチクランプ法の開発または生理学的評価が可能です。
関連する特許
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研究者情報
氏名 | 神田 浩里 |
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所属 | 薬学部 病態・薬物治療学分野 |
専門分野 | 中枢、疼痛 |
学内共同研究者 | ― |
関連リンク | ― |
企業との協業に何を期待するか?
pressure-clamp patch-clamp法を用いる共同研究、技術指導
本研究の問い合わせ先
兵庫医科大学 大学事務部 研究推進課
E-mail: chizai@hyo-med.ac.jp
Tel: 0798-45-6488