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~免疫不全やリウマチなど、免疫疾患に対する新たな治療法や創薬に光~
私たちの体を守る“T細胞”の数を調節するメカニズムを解明

兵庫医科大学 病原微生物学 主任教授 石戸聡はメルボルン大学 Jose A. Villadangos、ミュンヘン大学Ludger Kleinのグループとの共同研究により、「MARCH-VIIIとCD83によるT細胞の選択の調節メカニズム」を明らかにしました。なお、本研究は米国科学雑誌The Journal of Experimental Medicine(8月22日号)に掲載されます。

背景

私たちヒトには、体の外から入ってきた異物(微生物やウイルスなど)を排除する免疫機能が備わっており、免疫が開始されると 体の中で様々な細胞が働きます。中でも“T細胞”は「免疫応答の最前線における戦闘員」であり、外敵や異物の種類に合わせて、専門的な細胞に指令を出したり、直接ウイルスやがん細胞を排除したりする機能を持っています。T細胞は人間には無くてはならない細胞ですが、体の中ではT細胞が少なくなったり、逆に多くなったりすることがあります(少なくなると免疫不全、多くなるとリウマチ疾患になる恐れがある)。このようなT細胞調節のメカニズムには未だに多くの謎があり、多くの研究者が日夜、解明に向けて研究を行っています。

研究内容

本研究では、「胸腺皮質上皮細胞(※)におけるT細胞の選択の調節メカニズム」に着目。通常、胸腺皮質上皮細胞は細胞の表面に主要組織適合遺伝子複合体 クラスII(MHC II)を発現することによって正常なT細胞を選別しています。MHC IIは、さまざまなT細胞受容体をもつT細胞群の中から、自らのMHCに合ったT細胞を選別します。胸腺皮質上皮細胞のMHC IIの発現が多いほど、多くのT細胞を選択することができますが、その調節メカニズムについて未だに多くのことが分かっていません。本件ではそのメカニズムの解明に向けて研究を行いました。

(※) 胸腺(正常なT細胞を作るリンパ組織で、心臓の前にある)の中にある上皮細胞

明らかになった点

・選択に必要なMHC IIの数をユビキチン化によって調節している酵素がMARCH­VIIIであることがわかりました。
・胸腺上皮細胞においてMARCH-VIIIとCD83の二つの分子がMHC IIの数を調節しており、体の中のT細胞の数をコントロールしていることがわかりました。

 

<MARCH-VIIIとCD83によるT細胞の選択の調節メカニズム>

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上図:MHC IIがMARCH­VIIIによりユビキチン化されるため、選択される「正常なT細胞」が少ない。

下図:CD83が存在するとMARCH­VIIIによるMHC IIのユビキチン化が抑制される為、より多くの「正常なT細胞」が選択される。

今回の研究成果により期待されること

免疫不全やリウマチなど、さまざまな免疫疾患の原因究明、さらに新たな治療法・創薬の開発への進展が期待されます。

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