ホーム > 最新情報 > バックナンバー > バックナンバー(2013年度) > 米国科学アカデミー紀要電子版に論文が掲載されました。『アトピー性皮膚炎発症の新メカニズムの発見-新しい治療法開発につながる成果-』 皮膚科学 主任教授 山西 清文
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アトピー性皮膚炎発症の新メカニズムの発見~新しい治療法開発につながる成果~

2013年8月6日、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 電子版に皮膚科学 山西 清文主任教授の論文が掲載されました。

山西 清文 皮膚科学  山西 清文 主任教授


論題

「Skin-specific expression of IL-33 activates group 2 innate lymphoid cells and elicits atopic dermatitis-like inflammation in mice」

 

論文著者名

Yasutomo Imai, Koubun Yasuda, Yoshiko Sakaguchi, Takashi Haneda, Hitoshi Mizutani, Tomohiro Yoshimoto, Kenji Nakanishi, and Kiyofumi Yamanishi

 

概要

山西清文 主任教授(皮膚科学)、今井康友 同講師、安田好文 講師(免疫学・医動物学)、善本知広 研究所教授(先端医学研究所・アレルギー疾患研究部門)、中西憲司 学長・前主任教授(免疫学・医動物学)、三重大学大学院皮膚科学 水谷仁教授らの研究グループは、遺伝子改変マウスを用いてインターロイキン33(IL-33)を皮膚に特異的に発現させることにより、特殊な2型自然リンパ球の活性化を誘導し、アトピー性皮膚炎の特徴を再現することに世界で初めて成功しました。  本研究は、IL-33と2型自然リンパ球がアトピー性皮膚炎の病態に極めて重要であることを示すもので、これらを標的とする新しい治療法の開発に大きな貢献が期待されます。なお、この研究成果は、米国科学アカデミー紀要の電子版に2013年8月6日(日本時間)に掲載されました。

 

研究の背景

 アトピー性皮膚炎の患者は人口の約10〜20%にも達しており、世界的に大きな社会問題となっています。アトピー性皮膚炎とは慢性的に繰り返す皮膚炎と激しい“かゆみ”を主症状とする疾患で、肉体的にも精神的にも患者さんの生活の質を著しく低下させますが、生活をともにする家族にとっても大変な苦痛を与えるなど、社会的また経済的に大きな損失を引き起こしています。アトピー性皮膚炎の原因については、多くの学説がありますが、未だ確定的なものはありません。そのため、現在なされている治療も対症療法の域を出ておらず、医療現場や社会において様々な混乱を招いています。このような状況を打開するためには、原因物質の特定と、その物質がどの様なメカニズムでアトピー性皮膚炎を発症させるかを解明することが重要であり、次には実験事実に基づいた適切な治療手段の開発が必要です。  IL-33は、リンパ球、肥満細胞、好塩基球、好酸球など、アレルギーを起こす免疫細胞を活性化するタンパクで、花粉症や喘息、アレルギー性鼻炎などの発症を誘導あるいは症状を悪化させる作用を持つことが、これまでの研究から明らかになっています。一方、IL-33は、アトピー性皮膚炎の皮膚でも多く産生されますが、その病態にIL-33がどのように関わるのか、病因的役割については全く不明でした。

 

研究手法と成果

 研究グループは、皮膚におけるIL-33の役割を調べるために、ケラチン14プロモーターの制御下にIL-33遺伝子を発現する遺伝子改変マウスを作成しました。このマウスでは皮膚のIL-33発現は野生型マウスに比較して約10倍に増加し、6〜8週齢以降にアトピー性皮膚炎の自然発症が認められました。皮膚炎は、顔面、頚部、耳介、足背、尾部など、外界からの刺激を受けやすい部位に生じ、激しい“かゆみ”を伴っていました。皮膚組織では表皮の肥厚と、真皮内に好酸球などの炎症細胞浸潤、肥満細胞の増加、RANTES、Eotaxin 1などのケモカインの増加がみられ、血中IgE、ヒスタミン濃度は著しく高値でした。さらに、このマウスでは、IL-5を産生し好酸球を動員する2型自然リンパ球が皮膚、リンパ節、血液で増加しており、抗IL-5抗体の投与で皮膚炎の症状が抑制されました。以上より、アトピー性皮膚炎の病態として、皮膚で増加したIL-33が肥満細胞を活性化するとともに、2型自然リンパ球の活性化を促して好酸球増多をもたらし、アトピー性皮膚炎を発症するという新しいメカニズムを提唱しました。yamanishi20130805.jpg

 

今後の課題

本研究により、アトピー性皮膚炎の新しい治療標的として、IL-33と2型自然リンパ球の重要性が明らかになりました。今後、IL-33の産生と細胞外への遊離・活性化機構、これを制御する調節分子の解明、2型自然リンパ球の誘導・制御機構の研究を通じて、アトピー性皮膚炎の克服に向けた新しい研究の進展が期待されます。

 

研究費等の出処

文部科学省科学または科学研究費補助金(22791093,23791297,23249022,24791183)

文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「アレルギー性炎症:原因の解明と治療技術の開発」

厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業(H23-難治-一般-028)

厚生労働科学研究費補助金 (創薬基盤推進研究事業)「アジュバント安全性評価データベースの構築研究」

 

掲載新聞等

時事通信(8月6日)、共同通信8月6日、朝日新聞8月6日 朝刊、読売新聞8月6日 朝刊、産経新聞8月6日 朝刊、神戸新聞8月6日 朝刊、日刊工業新聞8月6日、毎日新聞8月6日 朝刊、日本経済新聞8月6日 朝刊

 

記者会見 山西先生 [ 記者発表の様子 ]

 

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