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兵庫医科大学医学会

中国・汕頭大学留学を終えて

原 将輝さん(第2学年次)

以前から海外の医療現場、特に日本で行われている医療との違いに興味があり留学したいと考えていました。また、今までアジアには行ったことがなく、隣国であるにもかかわらずメディアの偏った報道による情報以外に中国のことについてほとんど知らないと感じていたので、今回の研修に応募しました。実際に初めて中国を訪問し、日本にいては関わることのなかった先生方、現地の学生さんとの交流を通して医療・文化など多くのことを学んだので、その一部について紹介させていただきます。
1日目 早朝、関空に集合し出発しました。途中、乗り継ぎの広州空港では入国審査と国内線へのターミナルがわかりにくく、加えて説明が二転三転する現地空港職員に翻弄されましたが、なんとか汕頭に到着しました。ホテルへの移動中も驚きの連続でした。特に交通量の多さと信号無視や割り込み、鳴りやむことのないクラクション、バイクの3〜5人乗りなど日本との違いを、身を持って感じることができました。
2日目 貧困地域での医療ボランティアを見学し、少し参加させていただきました。このボランティアは汕頭大学での講座並びに李嘉誠基金のプログラムの一貫として病院に行くことができない貧困地域の人々のために無料で健康診断、往診、薬の処方などを行うというものでした。日本でも過疎地域などでの医師不足は問題となりますが、汕頭大学のように全学生にそのような地域でのボランティア活動を課すという授業をしている話を聞いたことがなかったので、様々な環境で暮らす患者さんのことを考えてみるということで、とてもよいプログラムだと思いました。午後からはホテル近くの華僑公園に連れて行ってもらいました。公園内には観覧車などアトラクションも少しあり、小さな遊園地と緑地が合わさったようなものでした。ここにはミッキーやドナルドなどのディズニーキャラクターを模倣したオブジェクトなどが多数設置されており、もともと自分が考えていた中国らしさを垣間見ることができてとてもおもしろかったです。また、公園の名前にもなっているようにこの公園は華僑の寄付によりできたそうです。汕頭では人口の約半数が華僑だそうですが、この華僑にせよ李嘉誠氏にせよ中国の人は自身が外国へ行っても故郷の人や貧しい人のためにお金を使える人が多いのかなという印象を受け、素晴らしいと思いました。
3日目 李嘉誠基金と中国での医学部の仕組みについての説明を受けた後、郊外にある汕頭大学の大学施設の見学をしました。李嘉誠基金とは、今年の世界長者番付第20位にもなっている李嘉誠氏によって設立された基金で、主に貧困層の人が適切な医療を受けることができるような仕組みを作るために使われています。今回の研修も多くはこの基金によって行われているプログラムを見学するもので、幅広く様々な分野で社会に還元されているものでありました。日本にもこのように個人の善意によるシステムが整えばいいなと思いました。また、中国と日本の医学部の違いも中国は5年制、1学年の人数も比較的少人数である汕頭大学でも300人、他大学では5,600人になる大学もあるそうです。しかし、中国国内では医学部の人気はそれほど高くなく、むしろ敬遠される傾向にあるそうです。理由としては中国で医師は薄給で、禁止されている裏金でももらわなければやっていけないということ、患者との信頼関係を築くことが難しく患者から直接危害を加えられるようなことも珍しくないということだそうです。いずれにしても中国国内では医師に対するイメージがあまりよくないのかなという印象を受けました。
午後からは大学を見学しましたが、医学部は有名なデザイナーがデザインしたものというだけあって、日本の大学にはないようなスタイリッシュな校舎に驚きました。設備も日本の大学と比較にならないほど整っており、患者の症状をデータ化し人形にダウンロードすることで実際の患者を想定した研修ができるようになっていたり、最新のVRを導入したりといった設備が各科ごとに整っていました。また、診察の練習をできるような自習室が多数用意されていて自信をもって現場に出ていけるような環境が整っていてとても羨ましく思いました。
4~7日目 在宅ケアの見学、形成外科および眼科センター、精神科の見学、潮州観光、産婦人科の見学をさせてもらいました。産婦人科では診察室に次の患者家族も入っていたり、順番が守られていなかったり驚くことが多かったですが、いずれも、貧しい人々のための医療であったり、臨床医療の現場に出ていく前の研修制度がしっかりしていたり良い意味で日本とのちがいがわかりやすい現場を見学させていただきました。
最後になりますが、中国に滞在した8日間、毎日親切に面倒を見てくださった先生方、学生の皆さんのおかげで私自身中国に対する目の向け方が大きく変わりましたし、少しは視野が広がったのではないかと実感しています。特に、この研修を全面的に支援してくれている李嘉誠基金の精神を見習い、様々な立場にある患者さんの役に立てるように今後の勉強に勤しみたいと思います。

研修中の様子

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