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兵庫医科大学医学会

中国・汕頭大学留学を終えて

山本 奈津子さん(第2学年次)

この度1月7日から1月14日、中国汕頭へ留学させていただきました。多くのことを実際にこの目で見て感じられるというかけがえのない、とても充実した8日間でした。
1日目は関西国際空港より広州を経由して汕頭に向かいました。乗り継ぎの広州空港では英語すら通じずに困ったこともありましたが、汕頭空港に着いたときに現地の先生があたたかく迎えてくださり、とても安心しました。Welcome dinnerでは汕頭大学の先生方が歓迎して下さいました。日本への留学経験のある先生がほとんどで、日本語での会話でした。初めて見る本場の中華料理は豪華ですばらしかったです。Welcome dinnerだけに限らず、毎日おいしい中華料理をお腹いっぱいいただきました。
2日目は貧困地域でのボランティア活動を見学させてもらいました。その地域の中心となる集会場のような建物に医師や看護師がいて、地域の患者さんが集まってくるという形でした。複雑な医療行為はなく、血圧測定や視力検査など健康診断に近いものを感じました。西洋医療だけでなく、漢方や鍼などによる中国医療もされていました。見たことのない器具で見たことのない医療行為が行われていたので思わず見入ってしまいました。ある患者さんが診察をうけていてもそれを隠す衝立はなく、他の患者さんもそれをじっと見ていました。日本ではありえない光景だったのでとても驚きました。また、薬が必要な患者さんには無料で処方されていました。貧困家庭への訪問では家の中まで入らせてもらい、中国の格差を目の当たりにしました。
3日目はまず李嘉誠基金会の活動についての説明を聞きました。汕頭大学は公立大学ですが、李嘉誠さんという実業家の多大な寄付によって成り立っており、私たちが2日目に見た貧困地域への医療支援も李嘉誠基金会の活動のひとつでした。李嘉誠さんのおかげで助かる命があり、新たな医師が育つと考えると素晴らしい活動をされている方だなと思いました。汕頭大学には付属病院が5つあり、まずそのうちのひとつを見学しました。病院内でタバコを吸う人が多かったり、病室の外の廊下にベッドが並んでいたりするのには特に驚きました。その後は汕頭大学の学生の方に大学を案内してもらいました。大学は私の知るどんな大学よりも広く、たくさんの学生が利用してもそれ以上に席のある図書館があり、驚きました。それでも中国の中で大学の規模は小さいほうだと聞いたときには耳を疑いました。学生の方とは英語で交流しましたが、日本の医学生よりも流暢に話せるという印象を受けました。医学英語も大切だけれども、まずは日常会話を上手くできるようになりたいと思いました。
4日目はホスピスの家庭訪問について行かせてもらいました。大きな手術をすれば助かる可能性はあるけれど、経済的に余裕がないために終末期医療をうけるしかないという癌患者さんに出会いました。自分の病状は基本知らされないため、まだまだ自分は元気で働きたいとおっしゃっていました。医師は嘘をつくことはないけれど、癌だと宣告することもないようです。この活動も李嘉誠基金会によって行われていました。午後は学生によるボランティア活動についての話を聞きました。汕頭大学ではカリキュラムにボランティアが組み込まれていることもあってか、日本よりもボランティアが盛んなように思いました。
5日目の午前は口唇口蓋裂の病棟を見学させてもらいました。早ければ生後3か月から手術が始まり、美容整形を含む全てを終えるには20年ほどかかるようです。口唇口蓋裂であるかどうかは胎内にいるときからわかるので、親は中絶するか決断を迫られます。自分が医師の立場ならどうするか、また親の立場ならどうするか、とても考えさせられました。そのあと精神科病棟にも行きました。柵の中ではあったけれど、患者さんは自由に散歩したりスポーツしたり手芸や絵ができるようになっていて、素晴らしい作品が並んでいました。柵の中に入らせてもらうと患者さんたちが私たちを取り囲むように集まってきて、私は一人の患者さんに突然手首をつかまれ上下に振られました。お客さんが来たのが嬉しくて歓迎しているのだよと先生が説明してくださいましたが、私はただただ驚きで固まってしまいました。後にも先にも、このように身をもって病気を知ることはないと思います。
6日目はまず潮州へ観光に行き、そこから2時間かけて田舎の眼科病院へ行きました。その病院では白内障の治療が主になっていました。その地域には病院はひとつしかないため眼科以外にも診察できるようにはなっていましたが、その病院に勤める医師が少ないという問題がありました。医師の偏在という問題は日本と同じでした。
7日目は産婦人科を見学させてもらいました。診察室の扉は意味を成しておらず、診察中でもおかまいなしに次々と人が入ってきました。胎児の心臓が動いていないと告知されてシリアスな雰囲気になっている人がいる傍ら、次は我こそが診察してもらおうとぐいぐいと入ってくる赤の他人がいたのです。当たり前のようにそれが起こっていて本当に驚きました。他にもお腹の触診で胎児の頭を触らせてもらえたり、不妊症検査を生で見せてもらえたりと、貴重な経験をさせていただきました。
他にも書ききれないほど様々な経験をさせていただき、医療だけでなく中国の文化や生活にも触れることができました。トイレなどについてはある程度覚悟していたので想定内でしたが、道路の混み具合やバイクの多さやクラクション激しさ、横断歩道を渡ることの難しさには驚きのあまり笑ってしまいました。中華料理は口に合うものとそうでないものがありましたが、種類がとても多かったのでおいしくいただけました。個人的には魚料理と飲茶とごま団子が絶品でした。重要文化財の建物や古いお寺、ショッピングモールや小さな遊園地も楽しかったです。
今回の留学では今までの自分の視野がいかに限られたものであったかを思い知らされました。実際に行ってみることでしか得られないものが本当に多かったです。必ず将来の役に立てたいと思います。最後になりましたが、このような機会を与えてくださった兵庫医科大学の先生方、お忙しい中私たちのために医療の勉強だけでなく食事や観光にも時間を割いてくださった汕頭大学の先生方に心から感謝を申し上げます。

研修中の様子

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