広報
兵庫医科大学医学会

中国・汕頭大学留学を終えて

西村 光平さん(第2学年次)

今回2016年度の汕頭大学医学院への留学に参加しようと思ったきっかけは、昨年度の汕頭への留学に参加された先輩方の発表を聞いた際、とても魅力的に感じ、興味が出てきたからです。ですが実際、自分たちが中国で体験した事はその時に聞いて想像した以上のものであり、本当にいい機会に恵まれたのだと痛感しています。今回の留学プログラムの素晴らしさを先輩方のように伝えられるよう、体験したことを具体的に紹介していきます。
初日は朝から関西空港に集合し、まず広州まで飛び、そこで乗り継ぎをして汕頭まで向かいました。引率の人はいなかったので、自力で次の乗り継ぎの場所にたどり着かなくてはなりませんでしたが、中国の空港の職員は皆、英語が話せなくてすごく大変な思いをしました。汕頭には昼過ぎに到着し、現地の先生にお会いしてすぐ、ウェルカムディナーが行われるホテルまでバスで連れて行ってもらいました。当然そこで初めて中国の交通事情を目の当たりにしたのですが、本当に驚きばかりでした。まず車線を守るという概念がなく、歩行者も全然信号を守ろうとしません。とんでもない所だ、よく事故がおこらないですんでいるな、というのが最初の大きな印象でした。ウェルカムディナーは僕たちの宿泊するホテルのレストランで行われ、これからお世話になる先生方の紹介をしていただきました。かつて日本に留学なさっていた先生がとても多く、日本語が堪能な方が多くて驚きました。どの先生方もとても気さくに話かけていただき、初日にも関わらずあまり緊張することもなく、すぐに時間が過ぎました。
2日目は朝から貧困地域にボランティア活動に参加しに行きました。貧困地域では病院に行くお金がないため、広場のような所に汕頭大学の医師たちが赴き、無料で診察をされています。そこでは無料で漢方薬を配り、その後5軒、さらに貧しい方たちの家庭訪問診断に行ったのですが、その各々の家庭に料理油とお米も配っており、福祉の心得を学ぶことができました。その日の晩は、ホテルの近くの海沿いの公園を案内していただきました。汕頭特有のものなのか、それとも中国の文化なのかは分かりませんが、日本の夜とは全く雰囲気が違っていました。公園では年齢を問わず、様々な人たちが音楽をかけてダンスしていたり、腰かけて話をしていたり、「夜だから家にいる」という考えは全くないようで、とても居心地の良い空間でした。
3日目は汕頭大学の創立までの歴史や、李嘉誠基金の歴史について教えていただきました。僕たちの留学の費用もその李嘉誠基金から出していただいており、李嘉誠氏は中国の医療において非常に大きく貢献されている方なのだという事がわかりました。その後、汕頭大学を見学させていただいたのですが、土地の広さがとてつもなく、さすが中国と感じざるを得ませんでした。大学内の設備は全てにおいてとても充実しており、特に図書館はアジア一と称されるだけあって、その大きさや外見、内容の充実度にいたるまで、どこをとっても賞賛の言葉しか出てこないほどで、日本との違いを痛感させられました。
4日目はホスピス医と共に訪問診療をしました。その日の患者さんは骨に癌があり、自宅に居たきりになってしまっていました。その患者さんは痛み止めをずっと服用していて、どんどん必要量が増えており、癌を治すというよりむしろ、痛みを緩和する方向で治療を進めていたようです。実際にホスピスにかかっている患者さんを見たことがなかったので、あまりホスピスの重要さがよく分かっていなかったのですが、その大切さや、患者さんにとってどれほど生活に大きな役割を果たしているのかを知ることができました。
5日目は口唇口蓋裂治療センター、伝染病・眼科・精神科に見学に行きました。眼科では実際にリアルタイムで行われていた手術を見学させていただいたり、精神科の病院では患者さんが歩いているところを通ったりとすごい経験をさせていただきました。精神科では患者さんを「患者さん」とあまり自覚させないためか、病院内では特に服を制限せず、どの患者さんも私服で生活しており、患者さんとはサンダルを履いているか靴を履いているかで区別をしていました。実際に精神科にかかられている患者さんと接したことはなかったため、軽度の患者さんのみ解放されているとは言え、常に足元を見て「この人は患者さんなのだろうか」とびくびくしていました。終盤になるとあまり気にならなくなりましたが、本当に衝撃的な体験でした。
6日目は午前中に潮州という近くの少し都会の街に観光に行き、午後からは田舎の病院で眼科の先生からお話しを伺いました。僕は日本でもあまり地方の病院は見たことがないので比べられませんが、もう少し施設を充実させることの必要性をとても感じました。日本における地域医療を考える良い機会となりました。
最終日である七日目は午前中にお土産を買うために近くの大きなショッピングモールに連れて行っていただき、午後は産婦人科の病院を見学させていただきました。産婦人科の病院では、案内してくださった先生自らが発明された、造影剤を患者さん自身で注入する方法を見学させていただきました。また胎児の心音も聞かせていただきました。
以上、中国に対する印象は人によって違うと思うのでここでは医療について述べようと思います。全体的に見て一番印象に残ったことは、貧しいところとそうでないところの病院の設備の差です。日本においても同じことが言えるかもしれませんが、特に中国では貧富の差が激しいと聞きます。今までは噂程度でしたがやはり現地の人から実際にそのような話を聞き、自分の目で確かめるとやはりひしひしと感じました。もう一つは日本と中国の環境の差です。やはり日本はとても衛生面が優れています。これもあまり貧しい地域に行ったことがなかったせいだと思いますが、これほど自分の日常の生活が恵まれていると本当の意味で分かっていなかったと思います。「蛇口から出る水が飲める」というただそれだけで、衛生面でどれだけ差があるか測りしれません。直接医療に関係はない事かもしれませんが、そのような事も健康に関わってくる大きな要因なのだと思いました。
様々な偏見を持って経験した留学でしたが本当に偏見は意味のないものだと思いました。自分で実際に経験した事でないとその事に関して本当の意見を述べることはできないし、考える事もあまりできないのだと知りました。これを機に、これからはもっと様々なことに積極的に活動していきたいと思います。
最後になりましたが、今回このような大変貴重な経験の機会を与えてくださった先生方、国際交流センターの鳥井さん、また汕頭でお世話になった先生方、本当にありがとうございました。

研修中の様子

02.jpg

兵庫医科大学 〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1番1号 TEL:0798-45-6111 (代)

Copyright(c) Hyogo College Of Medicine.All Rights Reserved.