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兵庫医科大学医学会

クロアチア・リエカ大学臨床実習留学を終えて

阪尾 衣央さん(第5学年次)

平成28年9月17日から10月15日までの1ヵ月間、クロアチアのリエカ大学病院の精神科に留学させていただきました。住まいは寮で、寮から市バスと徒歩で10分ほどの位置にリエカ大学病院があります。実習時の服装は、特に白衣やケーシーを着なくても大丈夫と言われました。実習を始める前に病院長と精神科の教授に挨拶し、精神科病棟を案内してもらい、1ヶ月間の実習先である思春期病棟に行きました。診察室の奥に円状に並べられた椅子がある部屋があり、そこでグループ療法をしていました。初日から参加、見学させていただきました。実習の1日の流れとしては、9時に病院に到着し、医師が集まる控室でカンファレンスを行い、患者が集まったところでグループ療法を行うということが多いです。そこから昼食をとり、グループ療法でわからなかったところや、患者のカルテを見せていただき、治療法や制度などの日本とクロアチアの違いを話す、というものです。グループ療法は、比較的症状の軽い外来患者や入院患者数人と、医師数人で行われます。まず、主に服薬状況を書いてあるカルテを見ながら、医師が患者一人一人に「今日の調子はどうなのか、昨夜はよく眠れたか、昨日や週末は何をしていたか、薬はこのままでいいのか」などを聞きます。それが終わると、患者同士で自由に話し出します。基本的に医師は聞き役です。患者達の話が途切れた場合や、少し話題が逸れていくと、話題をふり誰かが話し出すきっかけを作ることもあれば、同じ話題について一人一人指名し意見を聞くこともあります。話題は人それぞれで、例えば不眠症がある患者であれば、昨日見た悪夢の内容を覚えている限り話してくれました。神経性食思不振症の患者であれば、スタイルの良い可愛い歌手がうらやましいといった話や、その患者に対して神経性食思不振症の友達の話をしてあげたりしていました。統合失調症の患者であれば、意欲の低下がみられ、皆が話している時でも発言せず、話をふられても話が弾まず、表情が独特で固いということが確認できました。言語はクロアチア語でしたが、英語が話せる人がいれば英語で話してくれる時もありました。その時には、私も患者に質問しました。
日本の精神医療との違いは、クロアチアでは精神病の症状に対して治療を行っているところだと感じました。日本では主に、まず診断し病名を明らかにしてから、疾患に対する治療を行います。それに対しクロアチアでは、まずどういう症状があるか聞き、その症状についていつから、どのような経緯なのか、などを詳しく傾聴し、治療をしていくという形でした。例えば、日本では、この方はうつ病の患者です、自殺企図がありますなどというような説明をしていただきますが、クロアチアでは、この方は幼少期に両親から虐待を受けています、愛情を注いでもらったことがないために、親しい人からの愛情表現を受け入れられずに、関係を断ってしまいます。というような説明を受けます。病名という点では、日本はわかりやすいですが、どのような患者背景があるのか、どのような患者なのか、という点ではクロアチアの方がわかりやすいと感じます。患者との距離は日本より近いように思えましたが、その分医師の負担は大きいように思えました。患者を第一に考えるのは医師として良い点ですが、自分のストレスとの向き合い方も大事だと思いました。また、日本は文化的背景から謙虚で控えめな面があるため、グループ療法で無言になる時間が増えてしまう可能性や、気を遣いすぎて自分の思っていることが素直に言えない、などのことから、自分の元々ある症状が悪化する可能性もあると思えました。どちらの国にもよい面とそうでない面があると思えました。日本では学べなかったことが学べたと思います。
クロアチアはプリトヴィツェ公園やドブロブニクなどの観光地が有名で、休日に息抜きするにはとてもいい場所でした。先生方には、おすすめの景色の綺麗な場所や、クロアチアで有名なものを教えてもらったりしました。今度は、観光客としてまた訪れたいと思いました。
最後に、1ヶ月間母国語ではない英語でたくさんのことを教えていただいた先生方、お土産までいただいて、感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

研修中の様子

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