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兵庫医科大学医学会

クロアチア・リエカ大学臨床実習留学を終えて

楠本 拓哉さん(第5学年次)

9月17日〜10月16日の4週間、クロアチアのリエカという都市に留学させていただく機会を得ました。クロアチアという国はそれほど知名度が高くはなく、実際私自身も国の名前は知っていたものの、それ以上の詳しいことは知りませんでした。クロアチアはイタリアの東アドリア海沿岸に位置し、スロベニア、ハンガリー、ボスニアヘルツェゴビナなどの国が隣接しています。また、EUに所属しているが通貨はユーロではなくクーナという独自の通貨が流通しており、ヨーロッパ屈指の観光地でもあります。今回留学で訪れたリエカという都市は、首都ザグレブからバスで約2時間半の場所に位置しており、クロアチア屈指の港町で造船も盛んな町です。日本の川崎市と姉妹都市であるからか、親日家の方が多く大変過ごしやすいところでした。
今回のクロアチア留学期間中は、リエカにあるKBCrijekaという病院の消化器内科で勉強させてもらいました。日本の病院とは異なり科によって病院の場所が違い、私は宿舎からバスで約10分のもっとも市内に近い病院に通っていました。見た目は博物館のようで、はじめはどれが病院か分からなかったほどです。病院の土地は広く、建物から建物までも遠いと感じました。KBCrijekaはリエカの中で最も大きな病院であり、いつもたくさんの患者さんがいらっしゃいました。病院での具体的な実習内容としては、主に入院患者の血圧測定や身体診察、一般外来,救急外来の見学、内視鏡室やエコー室の見学などをさせていただきました。エコー室では何度も腹部エコーをトライさせてもらう機会をいただき、大変勉強になりました言語がクロアチア語ということもあり、英語を話すことのできない患者さんとのコミュニケーションを図ることは困難でしたが、言葉が通じなくても皆さん快く実習に協力してくださり、ありがたかったです。
さて、クロアチアの病院には日本の病院と比べ、良い意味でも悪い意味でもたくさんの違いがありました。まず一番の驚きは入院患者のベッド間にカーテンが存在しないことです。ベッドの間隔も狭く、回診内容や看護師による介助内容なども全て同室の患者に隠すことができません。プライバシーを重視する日本では考えられないことですが、クロアチアの方は全く気にしていませんでした。我々からすると一見良くない点にも見えますが、別の視点から捉えてみると患者同士も仲が良く回診中も皆フレンドリーで明るく、良い点でもあるのかもしれません。教授と話をしている最中に隣の患者が話に加わってくるような場面を何度も見たほどです。内視鏡室でも別の患者さんが同室で待機している中、処置を施したり、プライバシーの考え方に国民性の違いを感じました。他に良かった点としては、先生方そしてスタッフの方々との仲の良さが挙げられると思います。朝ごはんや昼ごはんは皆同じ部屋に集まり、一緒にパンやピザを食べていました。そういったこともあり、医師同士スタッフ同士の距離感が近く感じました。次にマイナス面での驚きとしては、やはり機材や設備の違いが挙げられます。血圧計は水銀柱、車椅子は日本で見るようなものではなく椅子に車輪を付けただけのようなもの、そしてエコーは何十年も前のものも現役で使われていました。やはり何でも最新機器が揃っている日本の病院は恵まれていると改めて実感しました。内視鏡の練習モデルすらなく、新人医師が自作した穴を開けただけの箱に内視鏡を入れて練習していたのにはとても驚きました。
現地の医学生の友人もたくさんでき、いろいろな話を聞くことができました。その中で最も驚いたのはクロアチアの医師の年収はかなり低いということです。シニアドクターですら年収約400万円だと言っていました。そういった理由で、クロアチアの若いドクターはドイツなどのより給料の良い他国に働きに行くそうです。医師として働くだけでも大変なのにもかかわらず、外国で母国語とは異なる言語を使って仕事をすることはすごく努力が必要なことだと思います。日本の医師はほとんどが外国には行かず日本で働くと伝えたところ、とても驚いていました。そのようなこともあってか、現地の医学生は皆知的で効率的な考え方の持ち主が多くいました。クロアチアには私立の医学部はなく、医学部は三つの国立大学しかないそうで、おそらく賢い人だけが入学を許可されるのだと思います。病院は綺麗で、卒業してからもある程度の収入が確保された働き口があり、レールが敷かれた道を進めば医師になることができる大学がたくさんある、ここでも日本の環境は恵まれていると改めて感じました。
初めての留学ということで多少の不安はあったものの、たくさんの支えがあって無事に一ヶ月やり遂げることができて良かったと思います。病院からも、そして関わった現地の方々からも数え切れないほどたくさんの刺激を受けることができ、今後の人生に役に立つような本当にかけがえのない経験をさせていただくことができました。この留学をもって何か自分の中で変わることができたと感じています。関わってくださった方々には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
また機会があればクロアチアにもう一度訪れたいと思っています。

研修中の様子

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