広報
兵庫医科大学医学会
海外研修報告

ワシントン大学での研修を終えて

平野 佳伸さん(第5学年次)

今回、私は8月6日から8月13日の8日間にわたって、シアトル・ワシントン大学医学部における生命倫理プログラムに参加させていただきました。4日間、数多くの先生方の素晴らしい講義を受けさせていただき、その中でも印象に残っている講義についていくつか述べたいと思います。
まず、印象にあるのは一番初めに受けたMcCormick先生の“Clinical Decision Making : The Four Boxes”の講義である。Four boxesとはMedical Indication, Patient Preference, Quality Of Life, Contextual Features,の4つの項目に患者の情報を分けて整理して問題点を考えるというものである。この講義を受けるまでこの事を私はよく知らず、日本でもあまり言われていない事柄であった。今回の講義で初めて知り、このようにすることで患者の情報や問題点が分かりやすくなり、すごく考えやすくなると感じました。また倫理的問題が生じるような状況では色々な要素が複雑に絡み合っていることが多いので、この方法を使うにはどの情報がどこの項目に当てはまるかをきちんと判断する必要があると思いました。きちんと扱うことができれば、分かりやすく整理できるこの方法は将来医師になって判断が迫られる時にかなり有効であると感じたので、これから少しずつ活用していき、将来使えるようになればいいなと思いました。また、この講義の中でMcCormick先生がおっしゃっていた状況を気球の上から俯瞰してみることや判断は路線に沿って行うといったなど、このような倫理的問題を考える姿勢や見方はとても大事なことだと思いました。
次に印象に残っている内容としてはKing先生やO’Mahoney先生の講義であった“Chaplaincy”についてである。聞きなれない言葉であったが、先輩方の報告書の中にいくつか出てきていた事と自分の母親がメンタルに関する仕事しているので、研修前から気になっていました。Chaplainという職業がアメリカには存在し、mentalとはまた少し違う宗教や信念といった人のspiritualな部分を扱う専門家であり、患者の価値観や人生観に向き合う職業である。患者の考え方に向き合う為には患者のよりプライベートな部分に踏み込まなければならず、日本人はあまり個人的な話をしない印象があるので、話し方や態度、身だしなみなどに気を付けて患者が心を開ける気遣いが重要になってくると思いました。また日本ではそういったことも医師や看護師、臨床心理士などがそれぞれ行っている状況であるので、医師になる自分たちもこのようなspiritualな部分もケアする必要があると思いました。そうすることで患者を孤独感や喪失感をやわらげ、患者のQOLを向上させる手伝いができればと思いました。また日本にもChaplainのような専門職があってもといいなと感じました。
三つ目に印象に残っている内容としてはAllen先生の講義の中であった“WWAMI”などのアメリカ、特にシアトル周囲の医学生の授業あるいは研修についてである。WWAMIとはWashington、Wyoming、Alaska、Montana、Idahoの5つの州が連携してそれぞれの州にある病院に医学部の学生が研修に行くことができるプログラムである。このプログラムでは様々な地域に行くことができるので、それぞれの地域で異なる環境で研修をうけることができる。またこのWWAMIは今自分たちが受けているカリキュラムとは異なり、最初の2週間で患者に問診を行うなど日本より早期に患者と接する機会があるように感じました。 またこのプログラムで行った病院に残る確率が高いため、地域にも医師が残るので日本のような地域の医療問題の解決につながると思いました。
最後に講義の中で印象に残っているフレーズがWes先生の中にあった“Think Globally Act Locally”という言葉である。今自分のいる地域のことだけでなく世界のことにも目を向けることも大事であると改めて感じました。日本国内にいても海外のことに目を向け、新しいことにチャレンジし、情報を得ることも今後のグローバルになっていく世界で重要な考えだと思いました。この言葉は今後も忘れず胸に刻んで勉学に精進したいと思いました。
これらの講義だけでなく、今回のプログラムでは様々な施設を見学させていただきました。Northwest Kidney centerは人工透析が初めて行われた場所であり、透析の歴史について学ぶことができました。また透析が実際に行われているところも見学させていただき、そこには医師が常駐しておらず看護師や技師が行っていることに驚きました。またHarborview Medical CenterやSeattle Cancer Care Allianceでは宗教的なスペースが必ずあり日本にはないところであり、さまざまな宗教の人がいるアメリカならではだと思いました。どの施設も日本のものより大きくきれいで素晴らしい施設であると感じました。また、ワシントン大学ではキャンパスの広大さや綺麗さ、その雰囲気に圧倒されました。
今回の研修の全体を通して感じた事は,アメリカの医療と日本の医療の違いである。アメリカでは日本よりもホスピスなどのシステムが確立されていることや、オバマケアの中にある医療費のコストダウンなど日本の医療にも活かしていきたい部分が多くみられました。また健康保険の加入の問題や州ごとに法律が異なっていることなどアメリカならではの問題もいくつか存在していることにも気づかされました。さらにアメリカでは多くの宗教があるためかこのような倫理的問題に対しての関心が強いように感じました。日本にはChaplainもいなければ移植も否定的な考えの人が多いので、こういった倫理的なことを考える機会や関心も少ないように感じました。移植や生殖医療が今後進歩していくと必ずこのような倫理的問題に出会うことになると思うので、今回の経験を活かして考えていきたいと思いました。
この研修は私の人生でとても貴重な体験でした。このプログラムに参加できたことを心より嬉しく誇りに思います。初めは英語を話せるかなど不安な気持ちもありましたが、先生方や仲間のおかげで本当に有意義な時間を過ごすことができました。今後、後輩にこの研修のことを聞かれたらぜひ勧めて参加してほしいと思います。
最後になりましたが、今回このような機会を与えてくださった枚方療育園の山西先生、引率してくださった古山先生、蒲生先生、古瀬先生、現地で講義をしてくださったMcCormick先生やKing先生を始めとする多くの先生方、見学させていただいた施設の方々、現地でサポートしてくださったガイドのYoshikoさん、通訳のTuridさん、枚方療育園の山下さん、金沢さん、この研修を一緒に行った仲間たち、この研修にかかわったすべての人に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。この研修で得た経験や知識を活かして今後も精進して、いいドクターになりたいと思います。

研修中の様子

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