広報
兵庫医科大学医学会
海外研修報告

Robert Wood Johnson Medical Schoolでの実習を終えて

西川 美紗代さん(第6学年次)

今回、私はアメリカのニュージャージー州にあるRutgers Robert Wood Johnson Medical School ( RWJMS ) にて2016年4月2日から5月1日までの1か月間、臨床実習をさせていただきました。私はアメリカの医療システムや日本にはあまり馴染のないFamily Medicineについてとても興味があり、実際の医療の現場でこれらを学びたいと思い、応募させていただきました。何度か留学の経験がありましたが、医療の現場に踏み込むのは初めてだったので最初はとても不安がありました。しかし、Dr. Linをはじめとする多くの先生方のサポートのおかげで充実した1ヶ月を経験する事が出来ました。
私たちが住んでいたアパートはRWJMSから歩いて15分ほどのところにあり、Rutgersの学生がたくさん住んでいるCollege Avenueが近くにありました。週末にはたくさんの学生たちで街はとても賑わっていました。
1週目と2週目はDr. Linに付いてFamily Medicine Monument SquareというビルでFamily Medicineを学びました。Dr. Linは鍼治療を専門に外来患者を診察していました。日本で実際の医療現場での鍼治療を見たことがなく、今回初めて見学することが出来ました。アメリカでは日本の保険医療システムと大きく異なっており、日本のように国民皆保険ではなく、公的な健康保険または民間の保険会社が提供する健康保険へ個人の意思で加入します。そのような制度の中で、鍼治療は幅広い疾患に適応されており、治療費も安く、治療効果も高いため、多くの患者に利用されていました。直接患者に話を聞く機会があった際に鍼治療によって痛みが解消されたという声も聴くことが出来ました。
また、Family Medicineは子どもからお年寄りまでの様々な疾患を幅広く扱っており、とても驚きました。日本では小児科や産婦人科、内科や外科などに行くところをFamily Medicineでは子どもの予防接種から婦人科疾患、慢性疾患などたくさんの症例を扱っていたためたくさんの症例を見学する事が出来ました。Family Medicineの実習で感じたのは信頼関係の重要性でした。そのため、初診の患者にはたくさんの時間を使って説明していました。慢性疾患をもつ患者とは、信頼関係ができているからこそ円滑に診療を行えるのだと感じました。
Family Medicineの外来が終わった後は、Promise Kitchenというホームレスの人々や低所得者に対して食べ物を無償で提供する施設に案内してもらいました。その施設はRWJMSの学生やレジデント、ボランティアによって運営されていました。2年生の医学生たちが利用者の血圧を測り、現在の彼らの生活状況を聞き、運動や食事などによってできる改善方法を説明していました。
毎週木曜日にはPromise ClinicというRWJMSが経営しているホームレスの人々に対する施設に行きました。そこでは1年生から4年生の医学生たち2~3人が1チームになり、学生だけで問診から身体診察、薬の処方まで行っていました。私はそのチームの1つに参加させてもらい、一緒に患者の診察をしました。そこでは4年生が3年生に、3年生が2年生にと屋根瓦式に診察方法を指導していました。低学年の頃より患者と話し、身体診察を学ぶ機会があることにとてもうらやましく思いました。上級生も下級生に教えることで自分自身も学ぶことが出来る機会だと感じました。
Promise Clinicでたくさんの学生と友達になりました。日本の医療制度や医学教育システムにとても興味をもってくれており、お互いの国の違いについてたくさん話すことが出来ました。医学に限らず、日本の好きなアニメや音楽についても話しました。
CROHN’S AND COLITIS CENTERという消化器内科を扱うDr. Dasの研究室での実習もありました。研究室の先生方に今研究している内容について講義していただきました。ここでは臨床医だけが患者を診ているのではなく、研究医も共に協力して患者を診ていくことで、さらによりよい医療を患者に提供できることを学びました。
1日だけDr. Dasの外来を見学させていただきました。そこではクローン病と潰瘍性大腸炎の患者を診ていました。 Family MedicineとDr. Dasの外来どちらも、患者が診察室で待機しており、そこに医師が伺うというシステムでした。
3週目はFamily Medicineの入院患者をDr. Linのチームに参加して診させてもらいました。朝7時から入院患者のカンファレンスがあり、その後チームでラウンドしました。午後からは入院患者の退院手続きや退院後の管理などについてソーシャルワーカーと医師が打ち合わせをしていました。一人一人の患者にとても時間をかけ、身の回りの生活環境についてもとても配慮されていました。Family Medicineで診た入院患者にはリウマチ性多発筋痛症や子宮体癌など、さまざまな疾患をもった患者がいました。
夕方にはERに運ばれてきた患者をFamily Medicineのチームと一緒に診ました。 Family Medicineが救急に携わっていることに驚きました。レジデントの先生方にFamily Medicineを選択した理由を聞いてみたところ、小さな子どもから大人まで様々な人を診察できるからとおっしゃっていました。日本では見たことのない病的肥満の患者も診ました。たくさんの疾患を抱えており、先生方は生活面まで気を配った診察を行っていました。
4週目は放射線科の臨床実習に参加させていただきました。Dr. Amorosa とレジデントの先生にレントゲンやCTの読み方を教えていただきました。呼吸器と消化器、脳神経など分野別に読影がなされていました。食道造影法や脳血管造影を見学させていただきました。 最終週はDr. LinやGlobal Health Officeの方に、4週間で学んだことをプレゼンテーションしました。
この4週間を通じて思ったのは、最初は聞いたことのない医療英単語がたくさん飛び交い戸惑うこともありましたが、目標だったFamily Medicineについて、日本とアメリカの医療システムの違いについて学べたのはもちろんのこと、それ以上のものを得ることが出来ました。
最後になりましたが、このような貴重な機会を与えてくださった小谷先生、渡先生、Dr. Escobar、Dr. Lin、留学の手続きや医療英会話に御尽力くださった古瀬先生、鳥井さんに心から感謝いたします。今回の経験を通して幅広い視野を持つことができました。また、医療への関心がさらに高まりました。先生方に次回お会いする際には、成長した姿を見て頂けるよう、これから精進したいと思います。

研修中の様子

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