広報
兵庫医科大学医学会
海外研修報告

Robert Wood Johnson Medical School での実習を終えて

中嶋 万季さん(第6学年次)

今回、私たちは4月2日から5月2日の1ヶ月間、アメリカのニュージャージー州にあるRobert Wood Johnson Medical Schoolでの留学プログラムに参加しました。1ヶ月にわたる研修で、日本とアメリカの相違点や類似点をたくさん見ることができました。初めての海外長期滞在であり、初めての海外病院実習で右も左もわからない中、私たちをリードしてくださったDr. Lin、Dr. Escobar、Ms. Rozarioをはじめとするたくさんの方々に感謝します。言葉の壁や、国民性の違いに苦労したりもしましたが、この1ヶ月、とても刺激的に楽しく過ごすことができ、あっという間でした。
私たちはRobert Wood Johnson Medical SchoolでDr. Linのもと、日本にはない、Family Medicineという科で実習をしました。Family medicineは家庭医と訳されたりもしますが、実際は日本で言う総合診療科に近いです。しかし、Family medicineではより深く患者と関わり、その患者の主治医となり、長期にわたって管理します。また、救急搬送されてきた患者を受け持ち、退院まで管理することもあり、とても広い範囲で専門的な治療を行っていました。院内実習の際に見学した中では、肺腺癌転移の患者、背景に糖尿病のある、嘔吐を主訴とした患者、蜂窩織炎による下肢痛の患者などさまざまで、Family medicineの医師たちだけですべての患者を診ることができるのではないかと思った程でした。
はじめの2週間は、外来の見学や施設の案内などをしていただき、3週目は入院患者を担当している先生のもとで院内実習、4週目は放射線科の見学をさせていただきました。外来でまず驚いたのは、そのシステムです。アメリカでは、診察室がいくつかあり、中で患者がそれぞれ待っていて、そこに医者が訪ねていきます。また、診察においても日常会話が多く、英語に日本語のような厳密な敬語がないからなのか、よりフランクに感じました。英語では予約診のことをappointmentと言いますが、全くその単語のニュアンスに合致するように感じました。2、3週目の課題として英語でカルテ(SOAP)を書きましたが、どちらも不慣れでとても苦労しました。この実習で一番困ったのは、早口の英語や、医師同士で話を遮って話しだしたりするのについていくことでした。
また、そこでは私たちと同様に外来を見学に来ているRobert Wood Johnson Medical Schoolの医学生たちに会いました。アメリカでは、一般の4年制大学を卒業してから4年制のmedical schoolに入学します。またmedical schoolや国家試験の制度も異なるので、medical schoolの3、4年生はおそらく日本での研修医に相当するのだと思いますが、それにしても学生はみんな意識が高く、見習わなければならない点がたくさんあるように思いました。そのひとつがPromise Clinicです。
Promise Clinicは、保険未加入者や非就業者などの低所得者に対して、医学生が主となり診療を行う施設です。1年生から4年生の学生が数人で1つのチームとなり、ディスカッションを重ねて1人の患者を診察します。その後、担当の医師に診断と治療方針を伝え、アドバイスやフィードバックを受けます。日本では、全国民は保険に入ることが義務付けられているため、保険に入っていない人はアメリカに比べ少ないですが、低所得者に向けたこのようなシステムはとても画期的であると思いました。医学生においても、1年生のうちからこのように臨床現場に積極的に参加でき、上級生とともに考える良いトレーニングの機会となります。また、それだけではなく、いかに安価に治療するかといった課題も彼らは持っており、患者のニーズに見合った治療が提供されなければなりません。このようにさまざまな利点のあるPromise Clinicが日本にもあればと思いました。1年生の頃から臨床的なトレーニングを受けることができ、医学生としてのモチベーションを保つことができるRobert Wood Johnson Medical Schoolの学生が羨ましいです。
この1ヶ月間、一緒にこのプログラムに参加した友人とルームシェアしましたが、隣に住むオーナー夫妻にはとてもよくしていただき、何不自由なく過ごすことができました。スーパーの食材やアメリカの食事に戸惑うことはありましたが、次第に慣れました。休みの日には電車で1時間ほどかけてNew Yorkに遊びに出かけました。アメリカはやはり土地が広大なのできちんと下調べしてから向かうことをお勧めします。また、交換留学プログラムで兵庫医科大学に来ることになっているRobert Wood Johnson Medical Schoolの生徒を紹介していただき、滞在中に何度か食事に行ったり、彼の友人の家に遊びにいったりと、向こうの学生の生活を垣間見ることができました。
今回のアメリカ留学を通じて、これまでの環境を一歩出て新しい環境に挑戦することの重要さを感じました。また、アメリカの医療に直に触れて、これから医師になって患者と接し治療していくにあたり、大きな視野を持ち、さらにFamily medicineの医師たちを見習い、どのような患者にも対応できる力を持った医師を目指したいと思います。
このような機会を与えてくださったDr. Escobar、渡先生、小谷先生、留学準備を手伝ってくださった古瀬先生、鳥井さん、私たちの見学にたくさんの時間と労力を割いてくださり、ご指導くださったDr. Lin をはじめとするRobert Wood Johnsonの先生方、今回の留学に関わってくださったすべての方々のおかげで、非常に有意義で、実りある1ヶ月を過ごすことができました。心より感謝申し上げます。

研修中の様子

01.jpg02.jpg

兵庫医科大学 〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1番1号 TEL:0798-45-6111 (代)

Copyright(c) Hyogo College Of Medicine.All Rights Reserved.