広報
兵庫医科大学医学会
海外研修報告

クロアチア・リエカ大学留学を終えて

● 友岡 瑞貴さん(第5学年次)

01.jpg2015年9月25日から10月25日までの1ヶ月の間、リエカ大学の循環器内科で2週間、腎透析内科、血液内科でそれぞれ1週間ずつ臨床実習を行いましたので、ここにその報告をさせていただきます。 私はもともと海外に興味があり、日本で医学を学び病院実習を行ううちに海外の医学教育や臨床現場の様子を見てみたいと強く思うようになり今回このプログラムに応募しました。正直に言うと留学前はクロアチアという国の場所も曖昧でしたが、1ヶ月間の留学を終えた今、クロアチアの医療や歴史や文化など想像していたよりもはるかに多くのことを学ぶことができました。
クロアチアは東ヨーロッパのバルカン半島に位置し、人口440万人の九州と四国を合わせたくらいの大きさの国です。今回実習を行ったリエカ大学は首都ザグレブからバスで2時間ほどのリエカというクロアチアで3番目に大きな街にあります。アドリア海に面していて、晴れた日にはとても綺麗な海を眺めることができました。滞在中、私たちはリエカ大学の学生と一緒に学生寮に住んでいました。リエカ大学は総合大学なので学生の数が多く何人かの留学生を見かけましたが、アジア人は私たち3人しかおらず珍しかったようで、度々「こんにちは」と日本語で話しかけられることがありました。病院は兵庫医科大学病院のように一つの大きな病院の中に全ての科がそろっているのではなく、いくつかの科ごとに病院がいくつも建てられていました。循環器内科と腎透析内科は学生寮からバスで20分ほどのところに、血液内科は学生寮からバスで5分ほどのところにありました。
02.jpg初めの2週間を過ごした循環器内科では、毎朝8時15分から教授を含む循環器内科全員でカンファレンスが行われていました。カンファレンスの行われ方や雰囲気は日本と同じように感じられ、もちろんクロアチア語で行われていましたが隣に座っている先生が話の内容を英語で訳して下さったので何となく理解することができました。その後ICUスタッフが集まりその日の患者さんの全身状態を検討するミニカンファレンスとICUの回診に参加しました。ICUには急性心筋梗塞で救急搬送となった患者さんが5~6人入院されていました。回診がおわると医師や看護師はそれぞれの業務に分かれて忙しく走り回っていました。循環器内科には心エコー室2室と冠動脈造影室2室があり、興味のあるところを好きなように見学していいよといわれました。初めのうちはどうしていいのか分からず部屋に座って見ているだけでしたが、これではいけないと思い、先生に色々質問をしてみるととても丁寧にわかりやすく説明していただけました。循環器内科だけでなく全ての科であてはまることですが、こちらの実習は自分がどうしたいかが最も重視されていて、やる気のある生徒には何でも教えるし、さぼっている生徒がいても何も言わないという環境でした。日本での受け身な実習に慣れていて最初はとまどってしまいましたが、自分が何かを学ぶためには積極性が必要というのはよく考えれば当たり前のことだなと感じました。
03.jpg3週目に回った腎透析内科の病院は循環器内科の病院のすぐ隣にあり、たくさんの病院のなかで一番新しい近代的な建物でした。透析は午前と午後の2タームに分けて行われていて、透析室は全部で4部屋あり、1部屋で約8人の患者さんがベッドに横になりながら透析を受けていました。午前中の透析を見学しましたが、看護師が透析の機械やそのしくみ、処置について詳しく説明してくれたのでとても分かりやすかったです。また透析前後の体重測定、1時間ごとの血圧測定、カルテ記載などをさせてもらいました。午後からはリエカの学生のポリクリに参加し、病棟に入院中の患者さんのベッドサイドに行き問診や身体所見をとらせてもらいました。必要な身体所見を自分たちでとった後、その患者さんに見られた所見を先生に発表して答え合わせを行い、もう一度先生と一緒に患者さんのところに行き異常所見の確認をするといった流れでした。自分で考える力がつき実際の異常所見をその場で理解できるので、とても分かりやすく有意義な実習だなと感じました。リエカで内科の実習を行うのは4年生ですが、年下のみんながてきぱきと身体所見をとり異常所見を見つけていく様子を見て、クロアチアの医大生のレベルの高さを感じるとともに、私もがんばろうというモチベーションにつながりました。
03.jpg最後の週の血液内科は、朝のカンファレンスを行ったあと病棟回診をしました。その後その日にある骨髄検査やカテーテル導入などその日に行われている処置を見学したり、外来化学療法を見学したりしました。また、空いた時間にはノンホジキンリンパ腫の患者さんの身体所見を取らせていただきました。血液内科の病棟には、男性用と女性用の大部屋がそれぞれ1部屋ずつと、無菌室のような個室が4部屋ありました。私は留学前に日本で血液内科での実習を行いましたが、日本では当たり前だと思っていた陽圧に保たれた無菌室は無く、入室前にマスクと靴のカバーをつけて一般の病室よりは清潔に気を付けている部屋を無菌室のように使っていたことにとても驚きました。また鎖骨下静脈にカテーテルを導入する時にエコーを使わずに先生の勘を頼りに行われているのを見て、日本の恵まれた環境に改めて気付かされました。
今回私は3つの科で実習を行いましたが、どの科でも印象的だったのは女性医師がとても多いことです。実際の割合はわかりませんが、私が見た限り医師のうち3分の2くらいが女性であるように感じられました。クロアチアで医師という職業は、多くの勉強量を必要とし責任感の重い大変な仕事の割に給料が安く、最近の若い人たちはオーストリアやドイツなど近隣のEU加盟国で働くことも多いそうです。次に印象に残っていることは、病棟には個室がなく、ベッドとベッドの間にカーテンなどの仕切りも無いことです。どの部屋でも患者さん同士が仲良くおしゃべりをしていて、文化や国民性の違いを感じました。また、ベッドサイドにナースコールが無かったこともとても印象に残っています。仕切りが無くオープンな環境や、常に看護師をはじめとする医療スタッフが病室に出入りしているのであまり必要ないのかなと感じました。さらに実習で冠動脈造影、透析、中心静脈カテーテルなどの手技を見学しましたが、いたるところで日本の医療器具が使われていて驚きました。今回このような機会を頂き、異文化にふれ、多くの新しいことを発見するとともに、今まで当たり前だと感じていた日本の良さにも気づくことができました。
05.jpg出発前は自分の拙い英語力で海外での臨床実習を行えるのか不安に思っていましたが、行っている間はそんな不安を忘れてしまうくらい毎日が刺激的であっという間の1ヶ月を過ごすことができました。これを読んで少しでもリエカ留学に興味を持ってくれた後輩がいたら是非勇気を出して行ってみて下さい。学生の間に日本とは全く違う環境で臨床実習を行えたことやクロアチアでの出会いは、私にとって一生の宝物になりました。これからも機会を見つけていろいろな国で学び、自分の視野を広げていきたいと感じています。
最後になりましたが、今回のリエカ実習を行うにあたりご尽力頂いた兵庫医科大学の先生方、国際交流センターの皆様、リエカ大学の先生方、病院スタッフの皆様、1ヶ月共に過ごした阪本さん、李君、リエカ大学の学生の皆様、全ての方々にこの場をお借りして感謝申しあげます。この1ヶ月の間に感じ学んだことを自分の将来に活かせるようにこれからも頑張っていきたいと思います。大変貴重な経験をさせて頂き、本当にありがとうございました。

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