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兵庫医科大学医学会
海外研修報告

UCSDでの実習を終えて

● 三林 聡子さん(第6学年次)

01.jpg今回、3月30日~4月24日の4週間、アメリカ・サンディエゴにあるUniversity of California, San Diego(UCSD)のHillcrest Medical Centerの病理解剖部門にて実習をさせていただきました。私は病理に興味があったので、今回のUCSDでの研修プログラムに病理部門の実習の募集があることを知って、ぜひアメリカの病理がどんな感じなのかみてみたいと思い応募しました。
私が実習していたHillcrest Medical Centerの病理解剖部門では、解剖と胎盤病理が主な業務で、基本的にレジデントの先生が一人でそれらを行っていました。解剖があるかどうかはレジデントが毎朝チェックし、症例がある場合には、Autopsy assistantという解剖専門のテクニシャンとアテンドの先生にアポイントを取り日程を決めます。病理解剖は主にAutopsy assistantと二人で行い、最終的なチェックをアテンドの先生にしてもらうという形をとっていました。特徴的な所見以外は殆ど写真を撮らなかったり、解剖中はずっとロックが流れていたりするなど、日本とは異なる部分も多くありました。
Hillcrest Medical Centerでは年間約140件の病理解剖があり、週1~2回解剖があると聞いていました。実習期間中、3週目までは週に1件の解剖だったのですが、4週目に1日に2件の日と3件の日があって、そのときは朝から午後までずっと解剖で、本当に疲れました。体力って大事だなと痛切に感じました。
胎盤病理はほぼ毎日あり、多いときは1日に8件の症例を見学しました。珍しい症例などもみせていただきとても勉強になりました。
レジデントの先生は毎日かなりの数の症例をこなし、それらについてすべてレポートにまとめなければならないので、いつもとても忙しそうにしていました。しかし、こちらが質問したことについてはとても丁寧に答えてくださるし、また解剖中や切り出し中も病態について詳しく説明してくれたり、珍しい病態のときには「これは見ておいたほうがいいよ」と教えてくれたりして、大変お世話になりました。他の部門も見てみたいと伝えたときには、surgical pathologyの先生を紹介してくださって、手術標本の切り出しを見学したり、生検のカンファレンスに参加したりすることができました。
02.jpg標本の切り出しでは、ディクテーションにより所見を記録していて、写真はほとんど撮っていませんでした。このため作業自体がとてもスピーディーに感じました。ただ、組織標本をみるときにどの部位から採取した標本なのか、写真があるとすぐわかるので便利だなと、日本の病理科で実習して思います。
また、カンファレンスではそれぞれの先生が持ち寄った症例について、活発に議論が行われていて、あるときにはきれいに染まった蛍光染色をみて歓声が上がり、先生方が口々に「きれいだねー」「すばらしい」などとおっしゃって盛り上がっていたのが印象的でした。なんだかとても楽しそうに仕事をしているようにみえて、こういう環境で仕事ができたらいいなと感じました。
03.jpgこの他にも、neuro pathologyのカンファレンスや医学生向けの朝のレクチャーなどにも参加したり、過去の解剖症例の組織標本をみて勉強したりしました。
UCSDで実習中は、日本とは環境が全く異なる中で毎日が目まぐるしく過ぎていき、自分はこの実習から得ているものはちゃんとあるのだろうかと不安に思うこともあったのですが、帰国してからの病院実習で、また日々の生活の中でも、留学中に学んだことを実践できるたび、UCSDでの1か月は本当に価値のあるものだと実感できるようになりました。
さらに、今回の海外研修では病理についての日本とアメリカの認識の違いについてもひしひしと感じました。向こうでは、病理のことを知らないという人にほとんど会わなくて、そのことに驚いたと同時に嬉しくも思いました。設備も充実していて病理医の数も多く、そのような環境で働けることがとても羨ましく感じました。これは、アメリカでは病理がメジャーな科であり重要視されているためだと思います。日本でも、病理とはどのような科なのか、何をしているのか、何のためにあるのかをもっと多くの方たちに知ってもらう必要があるのではないかと感じます。
04.jpg私は英語があまり得意ではなく、日本にいる間は英語の古瀬先生にレッスンしていただいたり英会話の学校に通ったりしていたのですが、あまり真面目ではなかったため英語に関して不安を残したまま渡米してしまいました。はじめの頃は向こうの人たちの会話が速すぎて聞き取れず苦労することも多かったのですが、それでもサンディエゴで生活するうちに、繰り返し耳にする言い回しなど少しずつ聞き取れるようになっていきました。実習中は、目の前に所見があるのでそれに助けられたことも多くありました。自分が考えていることを伝えたいという気持ちがあれば相手は何とか理解しようとしてくれるのですが、それでもやはり自分の考えがうまく伝わらないもどかしさを感じることもあり、自分の不勉強さを反省しています。
今回の留学にあたっては、兵庫医大のご出身でサンディエゴ在住の林先生にも大変お世話になりました。日本にいる間からもいろいろとアドバイスをいただいたりお食事をご一緒させていただいたり、またホームステイ先も紹介していただき、サンディエゴにいる間もできるだけ不安を感じず充実した留学生活が送れるようご配慮してくださいました。サンディエゴ滞在中には林先生が勤めておられる研究所も見学させていただき、ここでも日本とアメリカの違いを感じました。さらに、同じく兵庫医大のご出身の石先生ともお話しする機会をいただき、そのご縁でUCSDの病理科にずっといらっしゃる宮井先生という方にもお会いすることができました。
サンディエゴ滞在中はホームステイをしたのですが、私はホームステイをしたことがなく1か月うまくやっていけるのだろうかと不安に思っていたところ、林先生が紹介してくださったホストファミリーがとてもいい方たちで、お会いした初日にそのような不安は払拭されました。ステイ先から実習のある病院まで片道2時間かかるというのが唯一の問題でしたが、規則正しい生活を心がけたり、ホストファミリーが時間の合うときには最寄りのバス停まで送り迎えをしてくださったおかげで1か月無事通うことができました。基本的には自炊をしていたのですが、週に何回かはごはんをつくって一緒に食べたり、いろいろなお店に連れて行ってくれたり、帰国する日にはお土産にバナナケーキを焼いてくれたり、家族の一員のように接してくださったことがとても嬉しかったです。
同時期にUCSDに留学していた金本さんとはステイ先も一緒で、いろいろ助けられたり励ましてもらったり、ごはんつくってくれたりで感謝の気持ちでいっぱいです。金本さんの手料理は絶品だと思います。
また、週末には金本さんや同じ病院で実習していた他大学の学生さんたちとサンディエゴ動物園やディズニーランドに行ったり、メジャーリーグを観に行ったりして、サンディエゴ滞在を存分に楽しみました。
今回の体験を通じて、多くの人に助けられていることを改めて実感しました。出会った方々はみな親切で、慣れない環境でも1か月無事に実習を終了できたのは多くの方の支えがあったからだと痛感しています。この経験をこれからの人生においても存分に活かしていきたいと思います。
最後になりますが、中西学長、廣田先生、羽尾先生、林先生、古瀬先生、鳥井さんをはじめとする先生方、関係者の皆様、Hillcrest Medical Centerの先生方、ホームステイ先のご家族、今回のUCSD留学にあたりお世話になりました全ての方々に心より感謝いたします。
ありがとうございました。

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