広報
兵庫医科大学医学会
海外研修報告

汕頭大学医学院での研修を終えて

● 濵田 一磨さん(第2学年次)

01.jpg2016年1月9日から1月16日の8日間、私は同級生5人と共に中国の汕頭大学医学院での研修に参加した。この1週間で私は、普段の旅行では決して経験することができないような貴重な経験をすることができ、この研修に参加して良かったと思った。

1日目:初日は、早朝より、関西国際空港から飛行機を乗り継ぎ、中国の汕頭市へ向かった。現地に到着したときにはもう日も暮れており、その日は後にお世話になる方々との夕食に参加させて頂いた。そこでの料理もとてもおいしく、今後の1週間の滞在が楽しみになった。宿舎は3人部屋で、部屋も広く家具が充実しており、1週間寝泊りするには十分すぎる環境だった。

2日目:午前は汕頭大学にて、汕頭大学の設立をはじめとする様々な慈善活動を支える李嘉誠基金の歴史や仕組みについての説明を聞き、その後、大学の臨床技能訓練センターを見学した。ここは学生が人形を用いて臨床における技術を学ぶ所で、かなりリアルな人形や模型が陳列していた。この日の昼ごはんは大学の食堂だったので、私は兵庫医科大学の食堂の雰囲気を想像していたが、中国で高級食材とされるアワビや干したナマコをはじめとするおいしい料理が次々とでてきてレストラン並みのクオリティーの高さに驚かされた。午後は、汕頭大学医学院を大学の学生と先生に案内してもらった。汕頭大学の施設はほぼすべての点において兵庫医科大学より綺麗で規模が大きく驚いた。なかでも医学院の新校舎のなかにあった人間生命科学館は一同度肝を抜かれた。それはまさに一昔前に日本であった「人体の不思議展」が学校の中にあるようだった。学校にこのような施設があったら学生の医療に対する理解や関心がより深まることは間違いない。

02.jpg3日目:午前は汕頭のすぐ近くの潮州にて古い城跡や寺院を観光した。伝統的な刺繍の店などは見ていて飽きることはなかった。朝から降っていた豪雨が昼過ぎには止み、午後からの観光では運よく晴れ、Charity Eye Center のある山岳地帯では綺麗な景色の写真を多くとることができた。

4日目:この日はホスピスの職員の方と、貧困で十分な治療が受けられない末期のがん患者のための訪問診療に同行させてもらった。ホスピスから車で1時間、かなり田舎の地区だった。家の外装は想像していたよりもきれいな雰囲気だったが、中に入ると収入が少なく、生活に困っている様子が感じとれた。若い夫婦のふたり暮らしで働き手の夫が末期のがん患者という悲惨な状況だった。診療中に交わされる言葉は中国語なのでもちろん私たちには理解できなかったが、通訳がなくとも深刻な状況を感じとることは難しくなかった。午後は汕頭大学のボランティア団体の学生たちと交流した。中国では日本よりもボランティアに対する意識が高く、ほとんどの学生が参加すると知り、驚いた。

5日目:汕頭大学の形成外科を見学した。ここでは主に口唇口蓋裂の治療が行われていた。一昔前まで、口唇口蓋裂は命にはかかわらないため治療しない子供がいたらしいが、やはり成長して社会に出るときに周囲にうまく馴染めないので、そのような人を少しでも減らすため李嘉誠基金からの補助で安く治療が行えるようになったそうだ。このような体制が貧富の差が激しい中国において、大きな役割を担っていることを改めて知った。また、病院内の漢方薬を調合する部屋を見学した。セミの抜け殻や木の根っこなど薬に使うとは思えないようなものがたくさんあり目新しかった。午後は精神病棟と眼科病棟を見学した。精神病棟は正直、とても衝撃を受けた。日本のようにひとりひとり隔離するのではなく、大人数の患者が共同のスペースで生活していた。はじめ患者のいる空間に入った時、大人数が一斉に無言で近づいてきて少し恐怖を感じたが、そうすることで患者を集団の中のひとりの人間として治療を行うという当たり前ではあるが画期的な方法を目の当たりにした。また、その患者たちのつくった芸術作品などがどれも天才的であり衝撃を受けた。眼科病棟では日本の病院にはないものを見た。それはメガネ屋である。確かに病院のなかにメガネ屋があったらとても便利だと思う。

03.jpg6日目:僻地医療に参加した。そこでは無料で健康診断を行い、また、貧しい家には無料で訪問診療と支援を行っていた。病院までの距離が遠いため、僻地の人々にとってこの定期的な健康診断や訪問診療は生きていく上で不可欠だった。この体制も李嘉誠基金で行われていて、利用する人はとても多かった。また、医者ではないが、健康診断や訪問診療に協力するボランティアも多く、改めて中国のボランティアへの意識の高さを認識した。汕頭に戻ってきてから夕食まで時間があったので、大学の体育館で、みんなで卓球をした。汕頭大学の学生とも卓球をし、とてもいい思い出になった。

04.jpg7日目:午前中はフリータイムでお土産を買いに行った。6人でスーパーの大きなカートがいっぱいになるまでお酒や食べ物や刺繍を爆買いした。午後は汕頭大学の産婦人科を見学した。これは初日から思っていたことだが、中国の人たちは日本人に比べていい意味でとてもオープンだった。日本の産婦人科のデリケートな雰囲気はそこにはまったくなかった。日本では普通、先生と1対1で行うような検査も私たちの前で堂々と行われ、戸惑った。この日の夕食ではみんなで餃子を手作りして食べた。とても量が多く、次から次に際限なく出てくる餃子に私たちは少からず恐れを抱いていた。間違いなく私の人生の中で一番餃子を食べた日だ。

この研修全体を通して私は普段の生活では得ることができないような経験をした。医療に対する見方が広くなったのはもちろんだが、自分の国以外の国の状況や考え方の理解を得たと思う。今ではインターネットなどが使えるので簡単にある程度の知識は得ることが出来るが、実際に経験してみて得るものの方が多いし、正しい。私は今回の研修で多くのことを知り、また、多くのことの見方が変わった。まさに百聞は一見にしかずの体験だった。このような貴重の経験ができたのは、様々な方々のご協力のおかげです。その方々に心から感謝を申し上げます。

兵庫医科大学 〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1番1号 TEL:0798-45-6111 (代)

Copyright(c) Hyogo College Of Medicine.All Rights Reserved.