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兵庫医科大学医学会
海外研修報告

ワシントン大学の研修を終えて

● 田邉 晶さん(第5学年次)

01.jpgまず、今回のワシントン大学への研修で過ごした一週間は私にとって、とても有意義なものであり、医学や英語に対する勉強の意欲をさらに駆り立てられました。今回応募した理由として、まず私自身、英語に対して関心が強かったことと、世界的にもランクの高いワシントン大学で、生命倫理という日本ではあまり受ける機会のない概念について、日本とアメリカの文化などの違いを通して直接現場で働いてらっしゃる先生方から聞いて学べるということに強く興味を惹かれたからです。実際に過ごした一週間で経験したことは全てが素晴らしいものでした。シアトルに到着した土曜日と翌日の日曜日には、時差解消のため観光がメインでした。アウトレットやショッピングモール、Pike Place Market、スターバックスの1号店などに行きました。私は依然、中学二年と高校一年の時にシアトルにホームステイしたことがあり、今回のシアトルは3度目でした。ですが約7年ぶりということもあり、なかなか会話をする勇気がでず、緊張してしまって、店員さんに声をかけられたりしたのですが、上手に喋れませんでした。そして日曜日のWelcome Partyで先生方と、依然日本に交換留学できたAliciaをはじめとする学生三人と話をし、英語で話すことで、いよいよ明日からなのだなと月曜日からの講義に対する緊張感がさらに高まりました。

講義が始まってからの四日間は瞬く間に過ぎていきました。月曜日は、講義がメインの1日でした。5人の先生方の講義があり、以下に特に印象に残ったものについて述べたいと思います。まずMcCormick先生から教えて頂いた生命倫理の誕生についての講義です。アメリカでは21周未満の早産の場合、医師には新生児を治療する義務はありません。ですが22週を超えると治療義務が生じます。これは、呼吸器が十分に発生しているかどうかの違いだそうです。私は、何週目であれ、治療を行わなければならないと思っていたので驚きました。医療倫理の原則は(1)患者の自立性を尊重する(2)危害を加えない(3)患者にとって有益なことをする(4)平等なことを行うといった正義の4つから成ります。そこでMcCormick先生に、万が一患者、または患者が未成年の場合はその両親が、医学的には患者本人に危害が及ぶことを望んだ場合、その希望をきくのか尋ねたところ、その内容にもよるが、裁判所に提出することもあり得るとおっしゃっていました。講義の後、大学を少しだけ散策しました。図書館に行ったのですが、とても広くて趣があって、まるで映画の世界のようでした。

火曜日は午前の講義のあと、McCormick先生おすすめのレストランに行き、昼食を食べてからSeattle Cancer Care Alliance に行きました。昼食もMcCormick先生と共に食べることで世間話もして、さらに親睦を深めることができました。SCCAでKing先生に、がん患者の精神面でのサポートについて講義していただきました。King先生はチャプレンの分野で働いていらっしゃるため、チャプレンの仕事などについて詳しく教えて頂きました。チャプレンの1番大事な役割は神の愛を感じることです。患者さんがどうしたいか一番に考えます。チャプレンという役職については、どういった職業なのかというざっくりした概念しかわからず、日本ではあまり馴染みがないため理解が十分にできていませんでした。今回King先生という臨床で働いていらっしゃる方の講義を直接聞くことで理解が深まりました。Cancer Centerから大学に戻った後、Wilfond先生による小児科の講義を受けました。そこで、アメリカでは予防接種を反対する親がいるいため、その親にワクチンの重要性を理解してもらうのが難しいということを知りました。私は普段生活している中で、ワクチンは接種するものだと思っていたので、驚きました。アメリカは多種多様な人種・宗教があるため、それによる問題も多くあるという事を感じました。

水曜日は、まずGreen先生による尊厳死の講義を受けました。アメリカでは尊厳死を認めている法律があるということは知っていましたが、西部の一部にしかすぎないそうです。そこで先生に、尊厳死が認められているところに行って、尊厳死を施行する人はいないのかと聞いたところ、アメリカでは、納税や選挙といったそこの住民としての任務を果たさないと認められないためあまり起こってないのですが、オランダ、ベルギー、スイスといったヨーロッパの尊厳死が認められている国では”death tourism”というものが、実際に問題となっているそうです。尊厳死を認めるにあたって十分な規制が重要だなと思いました。講義の後はKidney Centerに行きました。透析患者は仕事の合間などに来ることが多いそうで、基本的には透析の間は寝ている方が多いそうですが、テレビや本といったものが十分にあり、また仕事を持ってきてできるような環境に整えられていました。Jackson先生から、透析の歴史や病院の見学をさせていただきました。透析機器の初期から現在に至るまでの発展の流れが展示されていて、技術の発達を体感しました。Kidney Centerの後講義を受け、そしてHarborviewへ向かいPublic Hospitalへと向かいました。Public Hospitalは公立であり、携帯で写真を撮るといった行動は禁止されています。病院の見学をさせてもらった際に、ドクターヘリに乗らせていただくことができました。ドクターヘリをあんなに間近に見たことはなかったので、中の仕組みや飛び立つ瞬間を見ることができとても貴重な経験をすることができました。

02.jpg木曜日、いよいよ最終日となりました。この日はまず、Lane先生による”ACA”についての講義を受けました。”ACA”とは、”Affordable Care Act”の略でObamacareとも呼ばれいてます。その後Children’s Hospitalに行きました。院内の内装はとても可愛らしく、また子供たちが弦楽器を用いて演奏をしていてとても雰囲気が良かったです。Hays先生のPalliative Care in Pediatricsの講義を聞き、私は小児科に興味があったのでとても勉強になりました。午後は、Providence Hospice of SeattleでJones先生からホスピスケアについての講義を受けました。ホテルに戻り、Farewell Dinnerでした。ここで今まで講義してくださった先生方や、初めて会う研修医などに会うことができ、たくさんの人と会話する機会を持つことができました。私の席の隣にいた男性は、小児科のホスピスで働きたい研修医の方で、子供が大好きで、ローテーションの時も患者のところばかり行ってとても楽しかったとおっしゃっていました。日本の医大生として、アメリカの医大生や医者の方々と喋る機会はとても貴重なもので、様々な意見を聞くことができました。一週間が瞬く間に過ぎていったため、もっと残っていたかったです。毎日がとても貴重な経験ばかりで、勉強になる事ばかりで、本当に楽しかったです。小児科の他に、国際内科に興味を持っていたのですが、自信がなく、諦めていましたが、今回の一週間の経験から諦めずに挑戦してみようと思いました。

最後になりましたが、今回のこのシアトル・ワシントン大学研修旅行の機会をくださった山西先生、今回引率してくださった古山先生、古瀬先生、枚方療育園のスタッフのみなさん、ワシントン大学で受け入れてくださったDr. McCormick、Dr. King ワシントン大学で講義をしてくださったすべての先生方、その他施設で私たちを受け入れてくださったすべてのみなさん、また今回の研修旅行に関わったすべてのみなさんに深く感謝したいと思います。今回の経験をもとに、さらに勉強にはげみたいと思います。本当にありがとうございました。

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