広報
兵庫医科大学医学会
海外研修報告

Rutgers Universityでの留学を通して

●藤岡 知夫さん(第6学年次)

01.jpgロバートウッドジョンソン医科大学留学を終え,一番心に残ったPromise Clinicについて報告します。まず、1週目の木曜日にpromise clinicという学生が運営をしているクリニックに参加させていただきました。僕はteam 36に入れてもらったのですが,彼らは3週に1度,継続して患者さんを見ているそうです。その日は4年生の学生がいなかったので,1〜3年生が一人ずつの3人チームの中に混ぜてもらいました。
大まかな流れとしては,まず患者さんと一緒に診察室に入って,問診を始めていました。基本的には3年生が大まかな会話の流れを進めて,一緒になって他の二人がどんどん質問していくという感じでした。問診が一通り終わったら,身体診察をしていました。1年生が身体所見を取るのを,他の学年の人がいろいろ教えているという感じでした。それが終わるとどのような評価をしたのかを患者さんに伝え,ディスカッションをし,そこからアテンディングの先生のところに行って,2年生が患者さんに関するプレゼンテーションをしていました。その内容をもとに,アテンディングの先生と一緒に患者さんのところに行って,チェックをして評価を伝えていました。そこから再度,方針について3年生が中心に患者さんとディスカッションをして,方針が決まったら終わり。という感じでした。そのあと,ひとつの部屋に入ってチームでproblem list を話し合い,それぞれに対して今後どうしていくべきかを話あっていました。いろんな面で感じたところがありました。
【問診】:患者さんは診察用の椅子に座っているのですが,それを囲うように学生が立ったり座ったりして(自由だなと思います。) 患者さんに細かく質問していました。質問しているときは、基本的にカルテは打っておらず,話を聞くことに集中しているようでした。こんなに時間をかけて患者さんから話を聞いているところを見たことがないという話をしたら,学生だからこれだけ時間をかけられるけど,医者になったら忙しいからできないのではないかと言っていました。学生のうちにゆっくり話を聞いて丁寧に考える練習をしていないと忙しくなった時に,作業になってしまうのではないかと思います。日本の研修医の先生方がどのような感じで働いてらっしゃるのかわかりませんが,忙しい病院では業務が勉強というよりも作業になってしまい,つらいという話を聞くこともあるので,こういうトレーニングが学生の時からできるのは素晴らしいと思いました。チームの人たちと違って僕は始めての人だったのでバックグラウンドが分からず,少し戸惑いましたが,なんとか患者さんに質問することができました。一番心に残ったのが,患者さんの病気ではなく生活や人生を考えて問診しているんだと感じたことです。今回の患者さんは右足が重たい感じがするということが主訴だったのですが,日本でそういう患者さんが来た時にその原因となる疾患を特定することが目的となりがちで,分かったらそれに対する処方,治療をして終わり!という感じだと思うのですが,そうした時に,患者さんからすると生活でこんな不安があるとか,なんとなく先生に足しかみてもらってないような気持ちになると思います。問診を聞いていて,「今,どれくらい幸せですか?」と聞いたり、「Do you feel guilty or welfareness?」などと質問をしており,逆に患者さんが「Let’s talk about my knee.」と言ってしまうくらいでした,それでも,足の問題が精神的なところからくる問題でないにしてもあなたの足を治すことが目的ではないからといって,医学生はそういう質問をしていました。僕は患者さんのバックグラウンドが分からないこともひとつですが,その時に膝の問題,鑑別にどういうものがあるのかということについてばかり考えていたことに気がつきました。こういうことを実際に臨床の現場で考える習慣がないと,病気ばっかり見てしまう医者になってしまうなと感じました。もちろん,このクリニックの役割,時間的な問題を考慮する必要があり,日本の医療と対比することがナンセンスかもしれませんが,なんとなく自分がこういう医療がいいなと思っているものがここにあるような気がして,こっちで勉強してみたいと少し羨ましく感じました。
【身体診察】:患者さんも学生さんもとても親切で,一緒に診察させてもらいました。神経の診察も1年生が取っていましたが,脳神経を思い出しながら,上級生に教えてもらって診察をしていました。基礎の勉強が臨床ですぐにどういう意味があるのか勉強するきっかけになるというのが素晴らしいと思いました。時間をかけてきっちり上から下まで診察していました。
【教育面】:上級生が下級生に教えながら問診,診察をするという意味で上級生はしっかり知識がないとわからないから勉強すると思うし,実際に患者さんの治療方針を決めるわけだから,責任感を持って勉強するようになるのだろうと思いました。2年生は情報をまとめてプレゼンテーションをする能力がつくだろうし,1年生にとっては早い段階で臨床現場を能動的に経験することができることが素晴らしいと思います。
【学生のレベル】:低学年の学生の医学の知識という意味では僕たちとそこまで差はないのかなというのが正直な印象です。上級生は薬の量の事まで決めていたのでその点は研修医レベルなのかなと感じました。Common diseaseに関しての知識がしっかりしているのと,圧倒的に違うのは考える力と患者さんとのコミュニケーション能力,堂々とした態度,責任感ではないかと思います。
とてもこの活動に興味を持ったので毎週参加させてもらい,最後の週にもpromise clinicに参加しました。Team 36にもう一度加わることができました。同じ患者さんを見ていました。3週ごとに継続的に同じ患者さんを見るというのは,その患者さんにとって長期的にどういうことが大切なのか,今何が問題なのかという風に患者さんを丸ごとみるような練習になるのだなと感じました。短期的な問題として慢性静脈不全があり,弾性ストッキングをしても足のだるさはよくならないとのことだったので,こういうときに患者さんに何かできることはないのかと感じました。
02.jpg他にも,家庭医の外来・入院,内分泌科の外来,放射線科,消化器内科の外来・研究室,老人ホームの見学pastoral careの見学など本当に色々なことを勉強させていただきました。担当の先生にレポートのメールを送った時に,印象的な言葉が返ってきました。” It did take a village to educate a competent doctor.” 有能な医者を育てるのにみんなで育てて行く必要があるという意味だと思うのですが,英語でのコミュニケーションも完璧ではない,外国からいきなりやってきた医学生に対して,どの科の先生方も親切に指導してくださいました。本当に教育を大切にしているのだと感じました。
最後になりますが,今回このような素晴らしい機会を与えてくださった国際交流センターの先生方,鳥井さん,古瀬先生,小谷先生,渡先生,ロバートウッドジョンソン大学の,リン先生,エスコバール先生をはじめ,お世話になった先生方,職員の方々には心から感謝しております。本当に素晴らしい経験をすることができました。今回の経験を生かせるように今後も精進していこうと思います。これからもこの交換留学が続き,ロバートウッドジョンソン医科大学と兵庫医科大学の関係が続いていくことを願っています。

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