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兵庫医科大学医学会
海外研修報告

汕頭大学研修を終えて

● 松井 萌さん (第2学年次)

saita01.jpg 私は海外に渡航したことがなく、以前から海外の文化や医療を見てみたいと思っていました。2年前にこのプログラムに参加した先輩に中国に対する見方が変わる研修になると薦められたため今回の留学に応募しました。中国に対してはテレビや本を通しての印象しかなく不安な面もたくさんありましたがこの留学でなければ渡航することも中国の医療について知ることもなかったと思います。

1日目は上海経由で汕頭に向かいました。汕頭に着くと、この留学で大変お世話になった程先生が迎えに来て下さっていてバスでwelcome dinnerに向かいました。汕頭では交通ルールを守る人が少なく逆走や信号無視が当たり前の状況で大変驚きました。Welcome dinnerで出会った先生方は優しく、翌日からの研修内容が楽しみになりました。

2日目は汕頭大学医学院の紹介を聞いてから臨床技能センターを見学しに行きました。中国では日本と違って臓器ごとに病理、薬理、臨床を学ぶそうです。そのためセンターには様々な部位の人形がありました。また学生用に手術室も作られていて手洗いから内視鏡まで練習でき、低学年の時から学生は技能も身に付けられる様になっていて日本でもこのように学べたらよいのにと思いました。午後は他の学部が集まる汕頭大学を見学しに行きました。最も印象的だったのはアジアで最も贅沢と言われる図書館です。図書館だけで一つの建物になっていて学生の自習環境が整っていて羨ましかったです。

3日目は貧しい人へのホスピスケアの見学でした。貧しい村で家から出られない人へのホスピスケアの見学に行きました。私はこれから治療を始める人の家を訪ねるのに同行しました。肺癌の患者さんが寝ている横で家族がタバコを吸っていたり、家族が在宅介護の方法を知らないため寝返りをうたせてもらえず痛みを訴えていたりして医師らは基本的な知識を教えるところから始めていました。貧しい人もできるだけ平等に治療が受けられるようになるこのシステムは素晴らしいと思いましたが、まだまだ補助を受けられていない患者さんが多いらしく、早く多くの人がホスピスケアを受けられるようになることを願いました。

saita01.jpg4日目は潮州を観光しに行きました。2000年の歴史のある街で歴史のある寺院や円形の建物にいくつもの家族が暮らすRound Houseを見学しました。雨のため見通しが悪かったことが残念でしたが、日本とは違った歴史を感じることが出来ました。

5日目は口唇裂、口蓋裂の治療センター、伝染病科、眼科センターを見学しました。印象的だったのは私と同い年の口蓋裂の患者さんに会ったことです。口蓋裂の治療は手術から発声訓練まで何年もかかるそうなのですが、その方はお金がなかったためこの年になってから治療を受けるそうです。また中国では口唇・口蓋裂の患者さんは先祖が悪いことをした証だとして隠されることが多く、まだまだ治療が受けられていない人が多いそうです。早く正しい知識と補助が広まって患者さんが小さいうちに治療を受けられるようになってほしいです。眼科センターは眼鏡をかける習慣のない地域にあるため白内障の患者さんがすごく多く、眼鏡屋も併設されていて予防医療を実践しているようでした。

6日目は貧しい村での医療ボランティアの見学をしました。週一回無料で村での診療をしているそうです。日本と違って漢方がまず処方されることが多くたくさんの漢方医の方も同行していました。数時間の間にたくさんの患者さんが並んでいましたが、医師は一人ひとりに時間をとって話を聞いていました。看護婦さんの中には17歳の子もいて真剣に検査をしている姿は印象的でした。

7日目の産婦人科見学は驚くことが多かったです。日本と違って外来のドアが開けっ放しで患者さんが座ることもなく次々に先生と話をしていました。並んでいる人に診察内容が聞こえるプライバシーのない状況で一人当たりの時間も数分しかなく、中国の産婦人科の患者の多さを感じました。このような状況できちんと治療が受けられるのか、また先生も疲れている様子で医師の労働環境も心配になりました。

8日目は香港経由で日本へ帰りました。

あっという間の 7泊8日でした。留学を終えて、中国の医学を学ぶ環境は日本よりも充実している面が多いと感じましたが、実際の医療の環境は人口に追いついていなくてまだまだ患者さんにとっても医師にとっても不十分な部分が多いと思いました。このプログラムは大学の見学も観光もできていろいろな面から中国を知ることができました。1週間中国で過ごしてみて、私の中国に対する考えは大きく変わり、まだまだこの国についても知りたいと思いました。

最後になりましたがこの留学に関わってくださった方々には本当に感謝しています。今までは海外で働くわけではないからと他の国について知ることを遠ざけていましたが、留学を終えてほかの国への興味も湧いて視野を広げるきっかけとなりました。この留学中たくさんの学生と交流する機会がありましたが英語が苦手だったためにあまりコミュニケーションを取れなかったことをすごく後悔しています。これから勉強して他の国の留学にも参加してみたいと思いました。貴重な体験をさせて頂き、ありがとうございました。

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