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兵庫医科大学医学会
海外研修報告

汕頭大学訪問

● 熊本 友子さん (第2学年次)

saita01.jpg 1週間の中国汕頭大学訪問。一言で述べるならば「参加してよかった」。旅行では決して見ることのできない、現地の人々の生活を全てではないが知ることができ、貴重な体験ができた。私の文章力では全てをお伝えすることが出来ないが、興味を持って頂ける方が増えることを願って報告しようと思う。

初日。総進の翌日の始発レベルでの出発。上海乗継で汕頭に向かう。汕頭空港に着くと、これから1週間私達が一番お世話になる程先生に連れられてwelcome dinnerへ。そこでは日本への留学経験がある先生方が10名ほど集まっておられ、初日から心温まる歓迎をして頂いた。右も左も分からなかったが、先生方から話しかけて下さり話が弾んだ。食事後、宿舎に着いたが、想像していたよりも遥かによい部屋を用意して下さっており、謝謝。水回りはやはり不便な点もあったが、7日間、快適に過ごすことができた。

2日目。汕頭大学医学部の説明と見学。汕頭大学は、李嘉誠という方の寄付金で設立した大学で、皆さん李嘉誠先生のことを大変尊敬しておられる様子。また、この日は汕頭大学医学部の設備に驚愕することにもなる。患者さんで実習する前に、人形を用いて練習するのだが、これがすごい。内科、外科、産科等々、あらゆる科の練習を、色々な病状に設定できる人形があるのだ。手術室も本物と同じ部屋で、違うのは人間が人形かの違いだけらしい。これには驚いた。低学年のうちから臨床に触れることで医学に対する興味を抱かせることが大事だそうな、ごもっともである。

3日目。汕頭大学病院は、貧しさ故に満足な治療を受けられない方々の為、訪問治療をしているとのことで、それに同行させてもらった。中国の貧困層の方々は、家もまともにないような家庭を想像していたが、今回私が訪問させて頂いた家庭はそこまで貧しい家庭はなく、しかし満足な治療が受けられず苦しんでらっしゃった。無料でできる治療はやはり限界があり、また患者さんも末期がんだったこともあるせいか、問診・触診するだけだったり、薬を提供するだけだったりの簡単なものであったが、それでも感謝しておられることが分かり、色々考えさせられた。

saita01.jpg4日目。楽しみにしていた汕頭観光だが、生憎の雨。冬はあまり雨が降らない汕頭で、これでもかというほどに降られた。それでも色々なところに連れて行って下さり、帰りは汕頭名物牛肉のしゃぶしゃぶを頂いた。

5日目。汕頭大学病院の形成外科見学。汕頭大学病院では、new life projectと称して口唇口蓋裂の患者さんを対象に治療費の補助を行っているらしい。これも李嘉誠先生の意向で、毎年多くの患者さんがこの補助を受けているそうだが、以前は政府と協力して無料で手術できていたとのこと。今は政府からの援助が打ち切られ、李嘉誠先生の基金だけで行っているため金銭的な理由から治療を受けられない人がまた増えてきたと嘆いてらっしゃった。口唇口蓋裂は、生命に関わる疾患ではないものの、放置すると上手く話せず、就職が難しい。出産前健診で判明することができるそうで、中国の合法的な堕胎がいつまでかはよく知らないが、中国では判明すると堕胎するケースが多いらしい。1~4人/1000人とそれほど珍しい疾患ではないにも関わらず、私がこれまでの人生で口唇口蓋裂と思わしき方に出会ったことがないのは、日本の場合は適切な時期に治療が出来るため傷跡もほとんどわからなくなり、言語障害も残らないからであろう。他にも感染症や眼科、精神科などを見学した。

6日目。僻地医療。汕頭界隈で貧しい地域を選択し、無料で健康診断などを行っているそうで、それに参加した。血圧測定をしてみないかと勧められたが、デジタルではなく聴診器でコロトコフ音を聞くタイプのものだったため、上手く測る自信がなく結局見学だけになってしまった。言葉も通じず、何もお手伝いも出来ない自分がもどかしかった。

saita01.jpg7日目。汕頭大学病院の産婦人科を訪問。衝撃的だった。日本ならば最もプライバシーが重要視されるであろう(クリニックですら予約制である)産婦人科で、その欠片もなかった。Aさんが問診を受けているすぐ後ろに次のBさん、Cさん、いやD,E,Fさんまでいる。自分の問診内容や、性的な事を他の患者さんに聞かれてしまうことに抵抗はないのだろうかと驚いた。と同時に、我々学生に対しても医学の勉強のためだからと理解して下さった患者さんには感謝の念でいっぱいである。この日の夕食は手作り餃子を皆で作って食べた。今までの食事から今年の学生はよく食べると思われたのだろうか、これでもかというほどの餃子の量を拵えテーブルは餃子の山だ。あんなに沢山の餃子を見ることは後にも先にもないだろう。最後には成人式を振ってまでこのプログラムに参加した白石くんの誕生日ということで、先生方が特大誕生日ケーキを用意して下さった。

短い間だったが、本当に多くの方にお世話になった。「謝謝」としか中国語では感謝の念を伝えられない自分が情けないこと極まりない。もっと中国語を勉強していくべきだった。病院見学や食事は勿論のこと、先生方とのお話は興味深いもので、色々なことを考えさせられた。「楽しかった」だけでは終わらせてはならず、ここからたくさん学んでいくことで今後の自分にプラスになってくれるはずだ。

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