広報
兵庫医科大学医学会
海外研修報告

汕頭大学訪問

● 小林 潤一さん (第2学年次)

saita01.jpg 2015年1月10日から17日にかけて、中国の汕頭大学医学院で研修を受けさせて頂いた。この様な一般の観光客としては味わえない体験をできたことは大変有意義であり、よかったと思う。

1日目、飛行機に乗り、関西国際空港から、上海へ向かった。中国の本土への入国は初であり、楽しみであった。上海空港で、初めに受けた印象は、人の多さであった。上海は世界でも有数の大都市であり、ビルや商店、単車、車両が多く、乱立していた。空港の税関のゲートを出た途端に中国に入国したという印象を得た。日本と建物や電車などの様子は全く違い、手荷物検査があった。その後、上海で飛行機を乗り継ぎ汕頭へ夜たどり着いた。現地の先生方に迎えられ、夕食を頂いた。レストランに到着すると、中華料理店で見かける回転するテーブルのある部屋で料理を食べた。そこで頂いた料理は日本で食べる料理とはまた違った味付けで、東北地方の味付けという。汕頭でお世話になる先生方とそこで対面し、自己紹介を行った。現地にいらっしゃる先生方はインターネットのニュースを読んでいらっしゃり、日本のニュースについて良く知っていらっしゃった。

2日目、朝から汕頭大学医学院の見学に行かせて頂いた。まず、大学の幹部の方々から大学の成り立ちや、口蓋口唇裂の手術のボランティアについて説明をうけた。口蓋口唇裂の手術では多くの子供の将来が開けたという。その後、臨床のトレーニングセンターを見学し、分娩や内視鏡手術、バイタルチェックを行うための人形を見学し、中でも心臓の鼓動が聞こえる臨床検査のトレーニング機器は、症状に合わせて鼓動が変わるという。このような機械を用いたトレーニングは有意義であると思う。午後は、汕頭大学の見学に向かった。図書館は安藤忠雄氏の設計で、設備はとても整っており、自習ブースは充実しているように見えた。本学も更に学習環境を充実させることが良いと思う。学生が大勢勉強しており、日本の学生も海外の学生も知識を身に付けるには勉強しかないと思った。

3日目、在宅ホスピスの施設へ向かった。ホスピスでは末期がんの症状を持つ患者さんの家を訪問し、痛みを緩和する薬や改善のための指導を行っていた。私が訪れた患者さんは様々な方面のサポートを利用し生活してらっしゃった。月に一回の訪問診療が定期的になされており、定期的にモニターされている。このような方式のホスピスは、家で生活をするという事が重視されており、QOLを高めるには良いと思う。午後はボランティアの学生の活動について紹介を受けた。学生の方々は世間の人のために働いており、感銘を受けた。辛い立場にある人の傍に寄り添い、助けることは大変なことであると思う。ひとりひとりの動作が草の根的に世間を動かすのだと思う。

saita01.jpg4日目、この日は朝から雨が降っていたが、潮州への観光に出かけた。歴史的な景観の城や街並みを観光した。雨が降っていたため、石畳の水たまりに城が反射し映し出されており綺麗であった。雨に濡れ建物の瓦のコントラストが明確で美しかった。そこで、お土産を買った。手作りの像や交通安全のキーホルダーを購入した。土産物街で思ったことは、漢方薬のような乾物店があり、日本と様子が違うという事である。潮州を抜けたのち、眼科病院へ訪れた。そこでは、その地域で良く出る白内障の手術を重点的に行っていて、多くの人が診察にやってきていた。地域医療の充実は、どの国においても解決すべき最重要の課題である。眼科病院から次に、環状の歴史的住宅を観光した。住宅が環状になっているのは、敵の侵入を防ぐことが出来るという利点がある為である。

5日目、口蓋口唇裂の手術をする、汕頭市内の拠点病院へ向かいどのような活動を行うかについて講義をうけた。口蓋口唇裂の手術は費用の高い手術であり、一般の所得の人では払うことができる額ではないため費用の扶助をして、その手術を行うということであった。この手術はその患者にとってさまざまな影響を与えて、QOLを上げる。医学の人への関与というのは計り知れないものである。その後、伝染病などの病気を扱う医療施設の見学を行った。中国の病院と日本の病院では診療のシステムが異なる、患者が医師を指定し予約するのである。病院の様子も日本の公立病院とは異なり、漢方の処方も調合も院内で行っていた。昼食を摂った後、病院の周りを散歩した。この日は快晴でとてもあたたかく1月の始めであるのに日本での5月の気候であった。植物を取り扱うお店の並ぶ商店街へ行き、景色をながめた、半そでTシャツでも十分温かくとても気持ちが良かった。その日最後の研修場所は精神病院であった。精神病院では病室のドアが解放されており入院患者が限られた敷地であるが自由に立ち歩けるようになっていた。その広場を見学し、日本の精神病院のイメージとは異なる自由な雰囲気であった。作業を行う療法や、運動場があるなど、主体性を重んじ治療をしていた。

6日目、この日は汕頭市内から高速道路に乗って、地方へ行き貧しい人々を無償で診療するボランティアの見学に行った。ボランティアの先生には80才を越えてもボランティアをつづけてらっしゃる先生がいた。先生は色々なことを若いうちから学ぶことが大切で広く視点を持つことが大切であるとおっしゃっていた。午前はその町の役所で移動診療所を開設し、そこでボランティアの先生が地元の人々を診療していた。地元の人は汕頭市内の人たちと言葉の違いがあり、汕頭の人にとって外国語に聞こえるほど言葉に差があるという。このようなところも、中国の土地が広いことにより生じることで日本と異なった点であると思う。大勢の人が診療を受けていた。午後は、貧しい家庭の患者さんを診療することを見学した。訪問診療では、診療すると同時に米を届けており、援助していた。無料で医療、物資の支援を受けることは所得の低い世帯では助かることであると思う。このような支援を広く行うことが出来ればよいと思う。

saita01.jpg7日目、午前は病院の見学へ向かい、一般的な診療の様子や、白内障手術とその設備、エコーについてなどを見学した。中国の病院ではやはり人口が世界でもかなり多い国であるだけあって、多くの人が診療を待っていた。中国において都市部と地方での医師の数にかなりの偏りがあり、これが大きな問題となっているという。日本でも地方では医師不足が叫ばれており、地域医療の充実を行う事が急務の課題となっている。やはり、この問題は中国、日本、そのほかの国でも起こっているのである。地方の人口も維持するためには地方産業も活発となるよう政策を行うことであると思う。午後は、汕頭市内に汕頭では有名な刺繍などのお土産を購入したり、地元のスーパーマーケットへ行ったりした。旧正月前とだけあって、スーパーマーケットはかなりの賑わいであり、正月の飾りや食品で溢れており面白かった。その後、お世話になった先生方と水餃子を作り、いただいた。先生方と様々なことを話せたことは貴重な体験である。視点を広く持ち概観として物事を見ることが出来るようになれることは今後生きていく上で自分の中で大切であると気付いた。先生方はケーキをサプライズとして、プレゼントして下さり、驚くとともに、ありがたいと思った。先生方には、本当に良くしていただいた。

最終日、この日は日本へ帰国する日である。朝早く宿舎を出て、空港へ向かった。七日間泊まった宿舎を出るのは少しさびしい気がしたが、七日間無事に事故や病気をすることが無く過ごせたのはありがたいことで、先生方に大変お世話になったからであると思う。汕頭の空港を出発した。乗継ぎで香港空港を経由し、日本へ帰る便に乗った時、飛行機の中は日本人だらけで日本に帰る実感が一層湧いた。関西空港に夜つき、無事帰宅した。

今回の汕頭の研修で、一般の旅行客としては見ることのできないことを沢山見ることができ、考えさせられることもあった。地元の一般の人と話をする機会に恵まれ、色々な立場にある人の話や様子を自分の目で見て、その人たちはどのようなことを考えているかについて、一部分ながらも知ることが出来た。これからも、自分の知っている世界にのみ凝り固まるのではなく、広い視点で物事を感じ考えることを心掛けようと意識を新たにした。

汕頭でお世話になった先生方には感謝しており、とてもよくして頂いて私達学生も有意義に研修を行うことができた。どんな些細な質問にも答えていただいて、大変勉強になり、見聞を広げることが出来た。研修以外の観光と言った時間も付き添っていただき、食事も毎回美味しい所へ連れて行って下さった。研修中戴いた食事は日本で食べる味と味付けが異なるがどれもおいしかった。特に茸を使った郷土料理やエビ、チャーハンが気に入った。宿舎は家財道具や歯ブラシもそろえていただいており、快適に過ごせた。このような手配をしていただきありがたかった。関係者の皆様には感謝している。

兵庫医科大学 〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1番1号 TEL:0798-45-6111 (代)

Copyright(c) Hyogo College Of Medicine.All Rights Reserved.